第31話 強襲、スフィンクス!

 マミちゃんを乗せたまま、スフィンクスはドラゴンにのし掛かった。


 たやすくドラゴンは攻撃をよける。

 が、瞬時に迫った二度目の攻撃に対応できない。

 カウンターで炎のブレスを吐く。


 相手の動きを読んでいたかのように、スフィンクスはアッパーでドラゴンの口を塞ぐ。


 脳しんとうを起こしたのか、ドラゴンがふらついた。


「ギャアア!」

 スフィンクスに飛びかかられ、ドラゴンの翼がもがれる。


「戻れドラゴン」

 ドラゴンが引き返す。


「回復」

 領土に帰ってきたドラゴンを、チサちゃんのコマが治療する。


 一瞬で、ドラゴンの傷が消えた。


「相変わらず、チサのヒーリングはとんでもないわね。その玉座のおかげでしょ?」

「そっちのスフィンクスも、戦闘力三倍アップしている。それも玉座の力。お互い様」

「くー、これでもっと攻撃力が高いコマが大量にあればーっ!」


 贅沢な悩みだ。

 マミちゃんは、攻撃は最大の防御と思っているらしい。

 力の強いコマがいる陣地ばかりに、ケンカを売っているという。

 チサちゃんとは遊んでいる程度なのだとか。


 チサちゃんの魔法を浴びて、ドラゴンが元気を取り戻す。チサちゃんに迫ろうとしたスフィンクスを食い止めた。

 スフィンクスに向けて慎重に攻め込む。アッパーをかわして、マミちゃんに直接ブレスを吐いた。


 なんと、スフィンクスはマミちゃんを振り落とし、自らがブレスの餌食に。


 ドラゴンは勝った、と思っただろう。


 しかし瞬間、倒れていたのはドラゴンの方だった。

 スフィンクスが最後の力を振り絞り、カウンターでみぞおちに体当たりしたのだ。


 スフィンクスが、ドラゴンを退ける。

 勝ったとはいえ、相打ちだ。


 ドラゴンもスフィンクスも、同時に消滅する。


「おお、我ながら強い!」


 え、今、なんて言った?


「あの、我ながらとは? あれはスフィンクスですよね?」


「実は私、正体がスフィンクスでして」


 知らなかった。人間だけが玉座になるものだとばかり。


「え? じゃあ、その姿は?」

「人の形を取った方が、意思疎通が容易なので」

「玉座って、てっきり人間がなるものだとばかり」

「現地のモンスターでも、選ばれたら玉座になりますよ」


 そうだったのか。


 とはいえ、チサちゃんはもう後がなくなった。


「こちらも、直接本丸を狙う」

 意を決して、チサちゃんが宣言する。


「そうこなくっちゃ!」

 マミちゃんはうれしそうだ。


 チサちゃんはボクの方に向き直る。


「ダイキ手を貸して」

「いいよ。何をすればいい?」

「目をつむって念じるだけ。あとはこっちでやる」 

「分かった」



 ボクは両目を閉じた。

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