第130話 チビ犬に好かれたい

 新しい山奥で貰った犬、聞いた話二年前に貰った犬だから、あれはもう大人の犬なんだよね?チワワみたいにちっちゃいから、つい子犬のつもりで接してしまう、が未だに微妙に俺に慣れてくれないのが落ち込んじゃう……俺の何が悪いの?


「ミゥ」みぃがいれば、いいの


 おう!関白宣言ですかっ!もちこーす!


「きゅい」しすこんー


 だまらっしゃいー!いいのよ、もう俺は立派なシスコンマスターになってみせる!


「きゅい」なにいってるかわかんない


 俺もー


(何その会話内容がな……ね?)


 駄洒落を誤魔化しただとぅ?


 取り敢えず可愛い犬と仲良くしたいんだ、どうすればいいと思う?


「ンミ!?」みぃでふまん!?


 そ、そんなこと言ってないよ?でもみーちゃんはほら、あの犬とも仲良いじゃない?俺だけハブるのは悲しいですぅ……


「ミー」それはだめなのーみぃがんばるの


 お?何するの?


「ミッ!」ぼすはぜったい!


 ちょまって、俺もうボスは譲ったよ?


「ミッ」そうだったのっ


((ボスー?遊びませんか?))


 ん?何でまだボスなの?


((正直ボスは誰でもいいって言うか、ボスが引退するまではボスでいてほしいー))


 熱い戦いなんだったのっ!!


((ノリですかねー?))


 俺の悪い癖が皆に感染しておるわ!


「ミッミッ」ぼすが、まだならいけるのっ


 いやいや、みーちゃん、あの子達群れ作らないらしいよ?ボスの意味ないから。


「ンミー」おもいつかないのー


 いいんだよ、俺が何とか自力で仲良くなるんだ!友達百人出来ないなっ!


「きゅい」できないんかーい、でいいかな


 そうだね、何かアレだね、自分に突っ込みしてる気分になるね……


「きゅる」しょうがないですー


「ミゥ」そーちゃ、ほうせき、みせて?


「きゅる」いいよ?ほうせき、すき?


「ミャウ」にぃにのめとおなじいろ、すき


(チッチッ!犬の癖にっ!)


 ケケケケお空で悔しがってな!


 おし、おちび犬と仲良し作戦ー!


 結界でボールを作りますーコロコロ投げますー十匹居るから何個か作りますー。


 わちゃわちゃしてる所に近づいて、ボールで遊びませんか?


 ちび犬達がわらわら逃げた……泣きたい。


(ケケケケざまぁー)


 何よ!二年前がいけないの!?そんなに大事ですかねっ!!友達に月日なんて関係ないの!


 ボールで気を引きたいのに、引けない!ーボールで遊んでるの見るのに……


 何があったかな、犬の玩具……玩具……フリスビーは小さくて無理、そうだ、ボーンを一緒にカミカミしませんかね?召喚!


 白いボーンを咥えて近づく、少し興味があるようだ、お手本でカジカジ、そっとつき出してやりませんか?


 ピューンと逃げた、俺も逃げたい!


 くやちぃ!ボーンをカミカミカミ!




「きゅーちゃんが寂しそうだよ……」


「哀愁ですね。」


「あの子達結構犬見知りするからねー……急に戻ったきゅーちゃんに慣れてないんだ。」


「ワンコさんも可愛い子好きですからね。」



 そうだ、ご飯隣で食べるってどうかな?


「きゅい」おいしいごはん、となりでたべられたら、むかつく


 ……そっそうだよねー!


「ンミー!」みぃがいうの!なかよくなるの!


 それじゃ強制じゃないっすか!


「ミ?」だめなの?


 だって俺が無理矢理したみたいになるから……俺みーちゃんのボスでしょ?


「ミィ?」ぼすじゃないの、にぃになの?

 

 う、うん!分かる分かるー!


「きゅい」むりすんな


 わかるー……



 もう分かんないよ、十歳年下なら何とか会話成立すると思ったら想像以上に会話が噛み合わなかった気分だよ!


(わ、分からない!)


 うっせーババア!


(あんだとー!こらーぁ!)





「おおー何かヤケ起こしてる?」


「大体不貞腐れますよね。」






「ミィーミ」みぃがいるの、いいこなのー


 ナデナデが今は痛い……


「きゅる」おおきいから、こわいんだよ


 俺がっ!?大きい!?何処がっ


「きゅい」あいてより、ばいは、おおきいよね


 え、まぁそんな大きさかな?え?威圧感じゃなくて大きさの問題ですか?


「きゅい」なかよしは、ちびばっか


 え?そこまで観察してなかった!



 と言うわけで観察します、ヨーンの中でも倍は大きい大将は避けられてる、おお、確かに。


 同じか、より小さいヨーンが近づくとテトテト犬の方から近づいていく、た、確かに!


 ヘールストレームが二匹通りかかると速攻で逃げる、肩を落としてるけど、アレ顔の可能性も捨てきれない……


 マドロンさんが近づく、逃げられる、肩を落として去っていく、仕事しろ。


 ネズミが近づく、おい、まだ居たのか、ダッシッで結界に閉じ込めて蹴りあげる、ゴール!


 チビ犬達がわらわら集まる、普通の犬でも俺なら声が聞こえるけど、躊躇いが!


 でも聞いちゃう「すぎょい!」「かくいい」「いっかいいっかい」「おおきけどかくいい」


 おおう、拙いな……でも何かカッコいいらしいよー!やったー!サッカーしようぜ!


 もう無理矢理サッカーゴール召喚しちゃう、仲良くなれるなら異物でも置いてやる!


(もはや全て投げたな……)



 広くなった裏庭の両端に設置、距離があるけど本物の倍は狭い、や?もっとか?犬目線の距離感ってたまに分かんなくなるよねー!



「ンミィ!」みぃもいっしょ、するのー!


「きゅる!」てきたいちーむ!


「ミ?」にぃにのてき?


「きゅる?」にぃにが、ちびとなかよくなりたいから、よいしょするよ?


「ミゥ」ふまんなの、いっしょがいい



 みーちゃん!!今だけ敵チームになったら今日のオヤツ倍にしてあげる!


「ミッ!?」やるきでた!?


「きゅい」げんきん、ヨーンくるべし



 何だと!相手は姉妹とヨーンだ!ずるい!数が合わない!一匹足りない!ヘル!カモン!


「きゅい!」おおきさがずるい!


「ミー」なんでもいいのー



 よし、十一匹に揃った、ハンデは十分でしょ!こっちチビッ子なの!


「きゅる」そうだった、だんぜん、ゆうり




 

「騒がしいと思ったら……何か見慣れない物があるんですけど……」


「どうせワンコさんでしょう?」


「あれ?サッカーゴールだっ!」一号


「しってんの?ならいいかー?」


「店長も大概適当になりましたね。」





 ピーのホイッスルがないから、俺の吠えで合図やで!向こうのゴールにボールを入れるの、わかるー?チビっ子達?


「きゅん」「きゅう?」「きゃん!」


 色んな鳴き声あるけど、理解はしてないのが解った、ヘル!協力するのよー!


((あいあいさー!))


「おー!サッカー?ほんとだ!」二号


「懐かしいなー……動物終わったらやる?」


「おお、いいね、三号と勝負!」一号


「え、俺は?」二号


「「見られてもいいなら?」」


「え、あー……はい。」二号




 センターにボールを置いて、俺対そーちゃん、なんと、やる気ですな。


「きゅい」しょうぶなりぃ


 本当に似てきたよ……


 よし、始めるよ!「きゃん!!」


 さっとボールを取ったのはそーちゃん!素早い!ヘル!止めろー!


((あいさー!))


 ちゃこまか動くそーちゃんに釣られてる!そーちゃんがみーちゃんにパス!


 へい!みーちゃんボールを頂戴!


「ミィッ!」わかったのー!


「きゅい!?」ちがうってば!?


 ふははは!敵にみーちゃんが居れば無双なり!貰ったボールで駆け抜ける、ヨーンがわらわら止めに来るが足の早さなら負けない!


 ゴールに近づくとヘルがサイドに、今はヨーンが俺に釣られている!パス!


 蹴ったボールが途中でそーちゃんに止められるっ!くっ!影に隠れておったな!?


 みーちゃん!そーちゃんからボールを奪うのよ!そしたらにぃに頂戴ー


「ンミッ」やるのーっ


「きゅる!!」ちがうのー!!


 みーちゃん対そーちゃん、サイズはほぼ同じ、運動能力も変わらない!どっちが取る?


 ポンっとそーちゃんがみーちゃんの二倍のでかさに変化!そーちゃん!違反!


「きゅい!」そっちがさきにした!


 言い返せない!からみーちゃんと二人でマーク、でかくなった分取りやすいんだぜ!


 ちょろっとみーちゃんが素早くボールを取る、そして俺に渡す、いい子ね!


「ミッ」そうなのっ


「きゅいっ」ひきょうものーっ






「何か違う気がする……」一号


「ボスとみーちゃん敵対させたら、あーなるって見本だな」三号


「てか、そーちゃんが大きくなったのは無視するんだ……」二号





 もはや、相手はそーちゃんとヨーンだけよ!チビッ子がたまに入ってくるから踏まないように気を付ける、混ざって来たよ、うれちぃ!


 と、そーちゃんが今度はミニマムサイズになってボールを狙ってくる、くっ!ヨーンに隠れて分からない!


「ミーッ」そこなのーっ


「きゅい!?」なぜわかった!?


「ミィ」においなのー


「きゅい!」その手があったか!


 そうか、俺犬だったわ、マジのサッカーしてたわ……はっ!そーちゃんが気配を消した!だが匂いは逃がさないっ


「きゅいー!」アウェイかんはんぱない!


 試合は四十分!気合いいれろよ!ヘル!


((つ、ついていけないっす!))


 しまった、運動能力の差が!


 みーちゃん!カバーしてー!


「ミゥ!」わかったの!


(もはや交流より勝負じゃん?)


 

 結果は予想通り俺たちの勝ち!チビッ子!勝ったお!みーちゃんもヘルもやったよ!!


((はぁはぁはぁついてけない……)) 

 

 ヘルも訓練しとこーな?


「ミッー!」かったの!にぃにとかったの!


「きゃん」「きゅん?」「きゃう!」


 チビッ子は何と無く嬉しそうな気配が感じる、交流会の甲斐があったぜ!


「きゅいきゅい!」ずるい!にぃに!ひきょう!もういっかい!


 駄目です、もう皆に体力ないから。


「きゅぎ!」なんてやつ!


 強いのが勝つのではない!勝った方が強いのだっ!……だっけ?


(大人げないわ!)


 ふん!交流の為だもんっ!




「うん、何か違うのは理解したー」


「大人げない……」

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