第124話 犬族の企み

 門から出て村を通り抜ける、結界も用心してるのでのんびり散歩。


「ままーわんわんよー?可愛いー」


「そうねぇー……でも近づいちゃ駄目よ、犬は野蛮なの、噛まれるわよ?」


 ぬっ!何で二足の犬と比べるのだ!こんなに可愛いのに!


 そーちゃんを前足で抱っこ、二足に踏ん張る!そーちゃんが?な顔をしてるが、お姫様抱っこにょよ!


「わー!可愛いのが増えた!ままー」


「そ、そうね?何かしら……」


 二足でテトテト歩く、難しい。


「きゅい?」なにがしたいの?


 男の子の意地?


「きゅいー」わかんない


 ははは、女の子はそれでいいのさ!


 段々ロボットみたいにぎこちなくなってきた、クソウッ俺の限界は此処までかっ!


「にゃにしてるにゃ?」


 ベスに見つかった……恥ずかしい。


 そーちゃんを下ろして、背中に戻ってもらう、俺の限界はたかが知れてるのさ、二足の弊害でぎこちなく歩く、おまた、が痛い。


「ポチはたまに変になるにゃね?」


 うるせーぞ、ベスの癖に!


「にゃんなゃ!当たるのは良くないにゃ!」


 つーかお前さ、子供の格好のまま飛び出したのにまだ服着ないの?いつまで長靴に甘えてんの?もう子供じゃないのよ! 


「にゃ、着たなゃよ?何か違和感あって脱いだにゃ、長靴だけでいいにゃ、個性にゃ!」


 個性じゃないよ、裸族だよ。


「そんにゃことないにゃ!ポチも裸にゃ!」


 二足と一緒にされても困ります、犬なんで。


「言い訳にゃよ、さっき二足だったにゃ!」


 三分も持たないんですけど!おまた、が痛いの!犬はやっぱ、犬なんです!


「にゃ、にゃー歩きがぎこちないにゃ…」


 若干がに股で歩く犬と長靴を履いた猫は村の外に向かう、村人の奇妙な視線がイタイ。


 チッ俺とそーちゃんだけならこんな奇妙な目線されないのに!


「がに股の犬が興味深いんにゃ?」


「きゅいー?」まほうは?


 ……そうだった、羞恥で忘れてた、ヒールーポワッとおまたに光が……ちょ!


「にゃ!?光ったにゃよ!きんた「きゃん!」


 馬鹿か!それ以上言うな!下ネタ禁止っ


「にゃうっ危なかったにゃ……」


「きゅい?」きんた?なに?


 駄目よ!おにゃのこは知らなくていいの!


「きゅい」はーい



 羞恥でダッシュ!もうっお嫁に行けないっ!警備の猫を振り切って走る!


「まっ待つにゃーー!!」


 ベスは警備に捕まった。


 探知しながら二足の犬を探す、居ないな、帰ったのかな?探知だけじゃなく地面の匂いも嗅いでみる、フンフン、フンフ、ん?


 何か此処に居たらしい匂いがする、獣臭い?やだ、犬族って不潔なの……そもまま歩いただろう道をフンフン、探知に反応、村から離れてる、チッ遅かったか……どうする?追いかける?気配消して追いかけるか、そーちゃんも気配消しといて?


「きゅる!」はいーけしたよ!


 ええ子ええ子、ソソソと犬族に近づいて行く、ボソボソ聞こえる、もう少し近くに行かないと聞こえないな……



「チッ猫族がびびりやがって!」


「元々びびりだろ?しょうがねーよ、ははっ」


「作戦も中々上手く行かないな、そろそろお怒りになるんじゃないか?王が。」


 何?王様が絡んでるの?やーねー?


「んな事言われてもよ?あいつらの方から何かしてこないと手が出せないぜ?」


「猫族の子供でも人質に取るか?」


「ばっか、それじゃ駄目なんだよ、俺たちが先に手出した事になるんだ、狼族が黙ってないぜ?俺たちが殺られちまう。」


 新情報、狼族も居るらしい、犬と分ける必要あるかな?


「あー狼族さえいなけりゃ猫族なんて絶滅させんのによ?上で睨んでるからタチ悪いよな」


 お前らのがタチ悪いって気がつかないの。


「かと言って俺達犬族がどーにか出来る相手じゃないのがな、また厄介」


 ふむ、二本足でもルールは有るみたいだけど、用は子供の喧嘩みたいなルールだよね、先に手出した方が負け的な?


 大人で言えば正当防衛、だからウロウロして猫族をイラつかせてる訳ね、狼はよっぽど怖いらしい、そっちも気になるじゃないかー。


 他の種族は居ないのかな?熊族とか!肩に乗って見る景色はさぞええもんやろな?


「きゅい?」にぃー?きづいてる?


 ん?何が?


「きゅる」いぬぞくが、みてるよ


 え、あー他族の事考えながら歩いてたら隣に並んで歩いてた、不覚なりぃ!


「何だ?この犬……何で背中に何か乗せてんの?」「ちょっとまてよ、この白い奴の額見ろよ!」「めっちゃでかい宝石!?」


 俺よりそーちゃんに焦点が……


「この白いの王様に献上すりゃ少しは許して貰えるんじゃねぇか?」


「ははっお前天才!王様はがめついから!」


「おいー犬、それ寄越しな?」


 なんて?そーちゃんはあげませんよ?大事な……大事な?にぃにって呼んだの誰だっけ?…………


「きゅる!?」にぃー!?


 ハッ!記憶に引っ掛かってる間にそーちゃんが奴等に取られた!


「ははっちょろいわ、ただの犬だしな?」


 残念です、ただの犬じゃないんで?


 ふわっと空を飛ぶ、汚い手で触りおってからに!浄化ブッパしたるわ綺麗になーれ!


「そっ!空を飛んでる!?」


「ちょなんだよ!キラキラしてる?」


「うおっ!!掠め取られた!!」


 はは、野生臭さが消えたなりぃ!でもドーベルマンっぽい顔は変わんないー。


 ふわふわ、空を飛んでそーちゃんも背中に乗ってバイバイー!手は出さないよー。


「ぬあっ!どこ行きやがる!」


「何で犬が飛んでんだよ!」


「あれ?何か綺麗になってない?俺ら?」



 見えない位高く昇る、雲まで隠れたら猫族の方へ帰る、俺が猫族の仲間と思われるのは良くないし、そーちゃんもよく手ださなかったね?


「きゅる!」そんなはなししてたから!


 やだー!家の子天才過ぎるぅー!



 ふわふわ飛んで十分程で猫族の門が見えた、降下しながら、門で引き留められてるベスを見る、何してんですかね?


「にゃっ!ポチにゃ!帰ったにゃ!」


「おおっ!飛んでいる?す、凄い……」


 門の前にスタっと降りる、何かありました?的にすっとぼけてみる。


「にゃ!この顔は何かを誤魔化してるにゃ!騙されないにゃよ!?」


 やだ、散歩してただけのに、駄目だったの?


「にゃ?散歩だったのにゃ?つい犬族を追ったのかとおもったにゃー」


 正解だけど誤魔化すのはチョロイ。


「あのー勝手に外に出られると困ります、お客人ですから、今後は許可取ってください。」


 あい、すいません、ペコペコ


「にゃんだーつまんにゃい、帰るにゃ?」


 そうだねー帰ろうーふわふわ浮いて帰ろー


「にゃーよく飛べるにゃ怖いにゃよー」


 案の定村中が空飛ぶ犬の話題で持ちきりになった、これでいい。



 城に帰ると宰相さんがお迎えに来た、メガネしてない……何で?


「……割られるのは困るので?」


 ですよねー!チッ


「にゃ!また舌打ちにゃよ!駄目にゃ!」


「体の構造が違うのですかね?難しい……」


 宰相は舌打ちの練習を始めた。


「駄目にゃよ、舌打ちは良くないにゃ!」


「試す位はいいではないですか?興味深い。」


「んにゃー好奇心は止められないにゃー」


「ああ、所で牢屋に何か透明な壁があったのですが、犬殿がやったとか?」


「そうにゃー結界って言うにゃ、魔法にゃ!」


「ほう、やはり便利ですね、しかし……食事を出せなくて困っているのです。」


 いいの、食事は三食なしで、今とても良い匂い嗅いで拷問中。


「え……良い臭い?」


「マタタビより魅力的なあれにゃ……」


「なっ!なんと!……ムゴイ刑罰ですね!」


 猫にはやはり効きすぎた。



 おいーベス、そーちゃんお風呂に入れて?


「にゃ!?紳士が女子を洗うにゃんて!」


「きゅい」おとことしても、みてない


 んだって、安心しな?ベスが手出したら俺様がおこ、だから?覚悟しよ?


「悲しくて怖いにゃ…………」


 そーちゃんを連れて離れるベス。


「犬族は拝見できましたか?」


 やはり突っ込んで来ましたねー、会いましたよ、そーちゃん誘拐されそうになっちゃって?何も手出しせずに帰りましたけど。


「…………成る程、先に手を出させる予定なんですね……全くズル賢い……」


 流石読めますねー狼さんが怖いんだって?


「狼族は中立派なんです、仲間意識が強いので、一人足りとも手を出すと厄介になるんですよ、また何かの緊急事態に動く、そんな一面もある寡黙な頼もしい一族です。」


 ふうん?他の種族も居るの?狼以外


「そうですね、狐族は居ますがズル賢いので要注意ですね、貴方程ではないと思いますが」


 なんやねん、可愛いだけの犬だがにゃ!


「そうですね、他には何を期待したのか、居ませんね?」


 超絶スルー!流石読める男!


「……それで、私から質問ですが、貴方は本当は相当神に近いのでは?」


 そう言いましたけど?


「……そうですか、どうにもどっちなのか、そうですか、分かりました、情報も。」


 いいって事よーどーせベス信じないから?


「ふふはは、そうですね、坊っちゃんがあんな姿で帰るとは……ふふふっ」


 何だよ笑い上戸だったの、ムッツリじゃねーか!早く服に慣れさせな、おまた堂々と見せてるのを何時までも許してると怒るよ!王妃が。


「ハッ!!そっそうでした!着せたはずだったのに!また脱いで出たんですねっくっ!」


 良い事教えてあげようか?


「な、何ですかいきなり、見返りは?」


 イラン!欲しい物は自分で賄うのよ!で良い事ってのはね、ベスの癖ですよ。


「何かと思えば下ネタですか?」


 ちゃうわ!アイツはな、形から入るスタイルなのよ、何でもね、カッコいいと思えれば、どんな形でも無理して入るんだよ、そこを利用するんだ、分かったか?


「やはり狐族より恐ろしい方です……」


 心外です!で俺から良い案があるんだ、聞くか?おん?報酬はミルクでいいぜ?


「ミルク好きなんですね?」


 子供じゃないと中々飲めないからーハズイじゃん?で、良い案ってのはな…………


「そう来ましたか…………かなり時間が掛かりそうですね、猫族は器用ではないので。」


 だよねーのんびり好きよね、二足だからって手が人間みたいに動く訳じゃないし。


 まあ、やるかどうかはそっちに任せる、けどミルクは頂戴?お願いポーズ付き!


「くっ……ふふっかわ、可愛いっ!」


 

 想像以上に笑い上戸だった宰相。

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