第125話 夢で逢えたら
「にゃ!綺麗になったにゃ!?どうにゃ!」
ずいっとそーちゃんを目の前に、いや、苦しい形で持つんじゃねーよ!おこ!だぞっ
「ご、ごめんにゃ?許してにゃ!」
そーちゃんをそっと床に降ろす、実はベス避けの道具にしましたなんて言えないし綺麗にもなったので。
凄く綺麗にもなったね!宝石も一層輝いて見えるよ!流石美人さんっ!
「きゅいぃ!」さすがびじん!そーはびじん!
「にゃーは!?誉めてにゃよ!」
何でだよ?いつも誰が洗ってやってると思ってんだ?こら。
「ポチ様ですにゃ!図々しいにゃよね!」
ほんとですの!逃げ足以外にも得意なもの持ちなさい!いい加減大人なんだから!
「にゃい、考えにゃす、大人にゃ……」
そう言えば宰相怒ってたよ?服脱いで抜け出したの、良い大人が下半身丸出しもどーよ?
「……にゃっ!?ま、丸出しにゃ!?」
そらそーでしょ!男も女も隠すとこはちゃんと隠してるよ?お前の兄妹も?見てなかったの?むしろ堂々と見せたかったの?
「にゃゎ!大変にゃ変態にゃよ!どうしようにゃー取り敢えず葉っぱで隠すにゃ?」
いいんじゃない?
「きゅい」へんたいこえたよ
いいんだよ恥かいて初めて身に染みる事もあらーな、カラオケではな、開き直りってスキルが必要なんだよ、ない奴は無理に行くな。
その日の夕食にマジで葉っぱを着けて出席したベスに王妃がマジおこ、教育のなんたるかを教える教師と一週間部屋に缶詰め。
「流石に予想を遥かに超えて常識がないのを思い知りましたわ!ポチ殿のお陰さまで主人も目を覚ましましたわ!」
良かったですぅ、お礼はミルクでいいです!
「ええ、宰相から聞いています、ポーズは私にはなしですか?」
ふふ、そーちゃん!「きゅい!」
シンクロお願いポーズ!完成なりぃ!
「ピゃー可愛いすぎますわー!!」
ぎゅと抱き締められて、おこ、鎮まる。
その背後で宰相が無理にグッショブしてた。
にゃーにゃー五月蝿いのが居ないので静かだ、こういう時は物思いに耽る、シンクロやったとき何か違和感がなかった、初めてじゃない気がしたんだ、これも記憶の底の一部だろうか?……何故思い出せない?
「きゅい?」おもいで?わすれた?
そうみたいだよ、何か大事な事だったような気がするのに、何で思い出したくないんだろう?思い出したくないのか?……本当に?
「きゅいー」ねるといいよ、あたまつかれるよ
そうだね、寝ようかな?まだお昼だけど。
「きゅる」いっしょにねてあげる
優しいねーありがとう……
そーちゃんが俺の額に宝石をくっ付ける、暖かい……そーちゃんは俺の一部……だから?
「きゅい」いいこはねんねー
良い子じゃないけど、ねんねするわ。
スヤスヤ眠ってるにぃーを見つめる、もう一度額に宝石をくっ付ける、思い出を溶かすのだ、そーの使命は思い出させる事、その為に産まれて来たんだよ?にぃー
夢の中だろうか?一面真っ白い空間が広がっている、見渡す限り何もない。
神様でも出そうだ、そしてあなたは勇者で魔王を倒すのですとか言いつつチートをくれるのだ、何処にいるの?神様?
キョロキョロ見回すけど何も出てこない、これは本当に夢の中だろうか?
何かの声が聞こえる……かすかに、小さくか弱く……一生懸命に何かを言ってる。
と、前方にポツンと影が真っ白な空間に真っ白い何か、何だろう……近づくと子猫の様だ、肩を落として寂しそう、どうしたの?何でそんなに寂しそうなの?泣いてるの?
クルリと振り向く子猫、可愛いね?どうしたの?はぐれちゃったの?何で泣きそうなの?
にぃに?ほんもの?あえたの……やっとなの、みぃのことわすれた?
え?……知り合いだった?ごめんね、覚えてなくて……いつ会ったんだろう?
みぃがうまれてすぐにあったよ?
え、そうなんだ?こんなに可愛い子猫忘れるなんて酷いね?俺ってば。
ちがうの、わるいのはみぃなの、ぴぃとけんかしたら、にぃにいなくなったの
へぇ?にぃにって誰?俺も知ってるかな?
にぃにはにぃになの、めのまえにいるの
ぎょっとしてキョロキョロする、な、何だ、誰も居ないよ……ビックリした。
ひゃくねんずっといっしょしてたの、みぃのこと、わすれたの?かなしいの
もしかして俺に言ってる?勘違いだと思うよ?だって君の事知らないもの、ごめん。
にぃにーいいこにしてるの、まってるの、かえってきてほしいの!
一生懸命話すんだけど、分からない……何で俺に言うの?分かんないよ……
白い子猫が段々と霞んで行く、ずっとにぃに、って呼んでる、そーちゃんみたい。
やがて真っ白な空間に戻る、目の前に居た子猫はもういない……居ないのに、何で悲しいと思うんだろう?……
ウトウト目が覚めたら夜になっていた、直ぐ側にそーちゃんが寝ている、変な夢を見た、変なのに何だか懐かしい感じ、いつも思い出せそうで思い出せない記憶の断片に出会った気分だ
「きゅる?」めがさめた?ゆめをみた?
うん、ぐっすり、変な夢を見たよ、子猫が俺の事にぃにって一生懸命呼ぶんだ、でも俺じゃないのに、可哀想な子猫だよね……
「きゅい」わすれたきおくのいちぶかもね?
む?そーちゃん賢いね!そうかもしれないけど、分からないからしょうがないよ。
「ポチ殿、晩御飯の時間です、開けても?」
いいよーお腹空いたね、そーちゃん食堂にれっつらごー!
「きゅい?」わすれるじかんがながいともどれないよ?いいの?
え、何どうしたの?何かを忘れたの?
「きゅい」なんでもないよ、ごはんー
うん……行こう?……そーちゃんが変。
「あ、みーちゃんが泣いてる!どうしたの?何処か痛いの?どうしょう!?」
「店長空気読め」
「どういう事!?」
「ミャア!ミャア!」にぃにあえたの!ゆめであえたの!でもおぼえてないの!かなしいの!
「ピーッ!ピピ」ねぇね!おちついて、ゆめであえたならまたあえる!
「ミャウ?ミァ」ほんとう?ぴぃ……たにんをみるめだったの、かなしいの……
「ピー……」ざんねんだ、おにぃはばか、おおばか……
ックシ!……何だ?馬鹿にされた気分だ!まだ夢を引きずってるのかなー?
「どうしました?ミルク飽きました?」
ちがうのー!飲むの!ペロペロ……
「何だか幼児返りしました?」
あう、子猫の影響か……もう、誰だよあんな可愛い子猫忘れるなんてー!プンプン!
「ポチ殿が何だかオカシイ……」
「きゅる」……ておくれに、なるまえに。
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