第120話 ベスの村で足止め

 待たされる時間が長いので、ちょうど眠かったからそーちゃんと一緒に丸まって寝る。


「ポチ…………へるぺすみゃーにゃ」


 へるぷみーな?


「にゃんでなゃ?にゃ付けたくらいでにゃんで王子の事は忘れるにゃ?」


 おま、キャラ無理矢理付けた二足の長靴履いた頭オカシイ猫としか見られないって?


「それでも顔だけは変わらにゃいにゃ!」


 俺百五十年前のベスの顔知らないし?修行してる間にイケメンになっててあらビックリとか?


「ま、マジか!……にゃー!」


 驚きで剥がれるなコイツ……


「百五十年前はまだ仔猫だったにゃ……」


 そうだよな、百五十年前は子猫……子猫?子猫で今は大人で……背中に乗って……違うそーちゃんだ、違う?誰だっけ?


「ポチ?どうしたにゃ?首傾げてばっかりにゃと首痛めるにゃよ?」


 んーんー何だろう凄いモヤモヤするー!


「にゃー、また記憶が暴れてるにゃ?一旦冷静になろう、にゃ。」


 そうだな、それも誰かが言ってた気がする。


「なんにゃ、ネタの宝庫にゃね……」


 そうだ、寝るんだった、おやすみ、すやぁー


「置いてかないで欲しいにゃ……」


 置いてかないよ?だって大事な……


 大事な……


 ……


 …


 ‥


 にぃに?



 ハッ!飛び起きると周りを見回す、誰?そーちゃんが起きてた、びっくりした顔してる、ごめんね?俺の事呼んだ?


「きゅい?」しずかにしてたよ?


 そっか、ごめん……にぃに?俺はそうだよそーちゃんにのにぃに、なんだ……いや兄妹じゃないし?何だよコレ意味分かんない、頭の中ごちゃごちゃしてる!


 ペロペロされて、見るとそーちゃんが心配な顔で俺の頭の毛繕いしてた、ごめん、心配ないよ、記憶喪失なんだ、たまに記憶がごちゃごちゃになるんだ……


 そーちゃんが額の宝石を俺の額にくっ付ける、暖かい、穏やかな気分になる、これが温泉効果か……そーちゃん凄いね?


「きゅう!」すごいのはにぃーだよ?にぃーのちからもらってるだけ!


 そうなの?だからチートも同じなんだね。


「にゃ!もう半日も過ぎてるにゃ!」


 え?もうそんなに待ってるの?


「申し訳ありませんが、王が帰還するまで此処はから出す事は出来ません。」


「にゃんでにゃ!父上に確認させるのにゃ?」


「はい、その、分かるのは実の親しか居ないと思いまして……流石に子猫で百五十年前は私ども顔が分かりません。」


「にゃに!そんなにイケメンになってるにゃ!?にゃーは成長したにゃ!」


 カッコいいのがいいの?可愛いのがいいの?


「うーむ、難しい質問にゃ、どっちも欲しいにゃ?カッコ可愛いってどうにゃ?」


 ベス(可愛い)で?分かったよ、面倒だな。


「な、何か違う気がするにゃ……」


 お腹空いたなーチラッと警備さんを見るともう一人の警備さんが裏に入っていく、ミルクを用意している様子、ふっチョロい。


「にゃ、視線だけで人を動かす魔法があるのにゃ?凄いにゃ欲しいにゃ!」


 そんなのねーよ?人望?可愛さ?


「にゃぬ!にゃーも可愛くにゃる、カッコいいは諦めるにゃり、お腹空いたなー?チラッ」


「干し肉しか有りませんが、どうぞ。」


「飽きたにゃー、ちゃんとご飯ほしいにゃ。」


「今は用意出来ません。」


 あ、俺干し肉欲しいなー?


「はい、どうぞ。」


「にゃーの!干し肉にゃ!」


 飽きた言うたやん?ペロペロとミルクをそーちゃんと一緒に飲みながら、ついでに干し肉も齧る、少し硬いけど、歯の健康には良い。


「きゅる?」そうなの?欲しいな?チラッ


「干し肉ですか?有りますが大丈夫ですか?」


 コクコクと頷く、そーちゃん大人だよね?


 クルリと一回転して嬉しいアピール!俺も知らぬ間に尻尾がフリフリしてた……


 そーちゃんと並んでお食事、特にこの噛みきれそうで噛みきれないのが何か良い!たまにはこんな干し肉作って歯の健康維持せねば!


 カミカミ両前足で干し肉持って格闘、コロコロするが気にしない!今は歯の健康と戦ってるのだ!そーちゃんも同じ事してるぅカワカワ。



「お連れ様は大変可愛らしい……」


「にゃ……なんと言う人心掌握にゃ……」



 カミカミで疲れてしまった……そーちゃんも同じなのかウトウトしている、下手したら何日間か拘留される可能性もあるな、すぐに入れると思ったのに使えないベス(笑)だな。


「(笑)はもういいにゃ!お腹すいたにゃ!」


 しゃーねーな、もう世話が焼けるぜ、熊肉を煮込んだ鍋を空間庫から取り出す、まだ熱々です、空間庫様々ですわ、皿とスプーンを出して、勝手によそって食いな?


「にゃ!ありがとにゃ流石ポチにゃ!」


 よそってふぅふぅしなが食べる、猫って本当に猫舌なのかな?


 二人の警備の人を……猫が熊鍋をじっと見てる、そういえば熊はご馳走なんだっけ?しゃーねーな、ミルクと干し肉の恩だ食いな、と皿二枚とスプーン二つをそっと渡す。


「えっ?……いいんですか?」


「にゃ!?にゃーの鍋にゃよ!?」


「きゃん!」沢山あるでしょうがっ!!


「にゃい、すみませんにゃー……」



「で、では、ご相伴に……」


 二人の猫警備さんがよそってハグハグ食べる、熱いのに冷ましてない、何だよベスはそこまでキャラ作りたいの?必死杉!


「そんにゃんにゃんぐ、にゃいにゃ!ただ苦手なだけにゃ!モグモグ。」


 そーですか、鍋は空にしてもいいよ、まだストックあるから、存分にお食べ。


「なんとお優しい、感謝致します!」


「ああ、美味しいです、久しぶりのご馳走」


 ふむふむ、やはり熊はご馳走か、もっと狩れればよかったのに、ベスが、へたれだから。


「なんと?これはお犬殿が仕留めたので?」


 そうなんですよーベスが使えなくて、狩りは俺が何時もしてます。


「おおっ熊をやっつけるとは、流石ですな!」


「にゃーも仕留めてるにゃ!」


 弱らせてから掠めとるのを仕留めるとは言えません、一人で狩れてから言って?


「にゃぐぅー!」


「きゅるー」べすは、つかえない


 どうやって百五十年前きてたのか不思議?


「にゃ、モグモグ、そこら辺に、んぐ、果物あるにゃ、それで腹を満たしたにゃ。」


 果物だけでも生きていけると思うけど、百五十年もよく飽きなかったな?日帰りで食事すれば良かったのに?


「にゃー今にしてはそう思うにゃー。」


 親も駄目そうだ。










「ミィー」しあわせなゆめ、みたの、にぃにのこえがきこえたの


「ピ?」みてないーずるいねぇね


「ミゥ」いつもにぃにをおもうの、ねがいはかなうのー


「ピピ?」ならぴぃもがんばる

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