第105話 流すのよー!

 ドラゴンも売れたし、後やる事と言えばー!流す!を覚える、なので三号の魔法使いに使い方を教えて貰うのです。


「うーん、そうですね、ボスは流すってイメージ分かりますか?」


 俺何時からボスになったの?


「え、ペットの皆がそう呼んでるらしいので、きゅーちゃんもアレかなー、なんて?」


 まぁいいか、だから流すのは分かるよ?水を流すとかそういう意味だろ?


「そうです、例えれば血の巡りが悪くなると肩こりだとか痛くなるじゃないですか。」


 君そんな年上だった?


「いや、学生でしたけど、スマホで肩凝りとかあるある、じゃないですか?あ、スマホはわからないか。」


 分かるよ?俺地球産の犬だから。


「え!?そうなんですか?だからポメラニアンだったんですか!」


 そうなんですー何か死ぬ最後のイメージでこうなったみたいでー?


「じゃあ勇者でもなく……なぜ異世界に?」


 まぁ簡単に言えば召喚の失敗の調整みたいな感じで選ばれたらしいよ?


「失敗の……そんなことあるんですね、じゃあもしかしてヒヨコさんも?」


 あれは、ここの召喚の巻き込まれ?


「あー人間が巻き込まれなんて読みますけど、ヒヨコが巻き込まれるって何してたんでしょうね……」


 さあ?動物スキーな女だったから、何処が動物居る場所に居たんじゃないの?


「へぇーここの勇者も居ませんもんね」


 ま、まあな、色々あったんだよ。


「は、はい、でその肩凝りをほぐすのって血流の滞りじゃないですか、暖めると血の巡りが良くなるとか。」


 ほむほむ、肩凝りは万年だったから。


「何て言うのかな、こう、血を魔力だと思って、血液の流れの様なイメージをするんです、それを手に集める、みたいな……」


 ほうほう、ちょっとやってみる!


 あー会社勤めで体ぼろぼろだったからな、湿布やら、磁気やら、ほぐすってのに結構気にしてた、暖めるといいとか、でも炎症の場合は冷やす方がいいとか、って考えが違う!


 三号が言ってた血の巡りってのは、イメージ出来る、魔力ってどんな形してんの?空気的なイメージでなの?ドロドロなの?サラサラなの?どんなタイプ?


「そう言うのは違うかなって……でも空気みたいな存在だと思います、はい。」


 空気は空気じゃん!魔力って何よ!


「うええ!そ、そんな事言われても……」


(んーまぁ空気?と混じってる空気とは違うナニカって考えれば?常に漂ってる感じ?)


 混じりもん吸ってんの?よくないよ?そういうの!


「何か意味違って聞こえるんですけど!」


 そうだね、ここは危ない橋だ。


 空気と一緒に存在してる魔力って考えればいいのか、なら空気と一緒になれよって!


(あんたは!屁理屈ばっか!素直に考えればいいたけでしょ!)


 へいへいーどうせひねくれてますよ!


「……あのー誰と話してるんですか?」


 ここの神様のアドリアナってポンコツ二号


(うおい!ポンコツじゃないから!)


「……神様と随分近いんですね?」


 まーね、何か愛し子っていうポジ?一世紀は生きるらしいよ、神の眷属みたいな?


「ええ!もはや神に近いって事ですよね、凄いですボスは!」


 ははは!だが不本意よ!勝手に落とされたんだからね!ポンコツにっ!


「え?あーそうなんですか……もはや流すの話から離れてるんですけど……」


 お前が話振ったんだろう!


「すっ、すいません!」


 むん!血液の流れを魔力という何かに置き換えて、それを体に巡らせて、手に集める、むん!むん!地面ベシベシ!出来てない!


「う、あ!魔法使いますよね?それ出すとき手に集中するじゃないですか!それで!」


 んー魔法?基本ブッパだからそんな事考えて使ったことないな!


「むしろブッパのやり方ってどんな?」


 魔法よー出てこいー!的な?


「それイメージじゃないですよね、命令とかそんな感じですよね、よく使えますね……」


 はは、天才?


「ど、とうなんですかね?天才と言うか適当と言うか?」


 ガキがナマいってんじゃないよ!出来るんだから天才でしょ!


(大人げない!相手年下なんだろが!)


 うっせー!もう!遊んでくる!


「ええええ!」



 小屋から飛び出してヨーンの群れに突っ込む!うあーん!三号がいじめるのー!


(おっ!大人げない……)


 ヨーンとわちゃわちゃして慰めてもらう、あれ?姉妹はどこ?


((な、なんか副店長が連れて行きました!))


 なっなんだってー!


 急いでお店の扉に張り付く!あっ!副店長の机の上に姉妹が!!なにしてんねん!


 ガラスを……避けて木枠をべしべし!


「こらっ!きゅーちゃん!壊れるでしょ!?」


 マドロンに用はないー!


「あっ!スルー!したスルー!」


「店長、お静かに、ワンコさんをこちらに」


「ひっん!わっかりましたー!」


 扉を開けてもらって膝の皿蹴って副店長の元、いや、囚われの姉妹の元に!


「いっだー!今のしなくてよくない!?」



「うー!きゃん!きゃん!」返せ!この!


「あらあら、珍しく吠えて、負け犬のフリですか?この子達は今見本に写してしてもらってるんです、アクセサリーの模様等。」


 んえ?


「ンミ?」なにもされてないのー


「ピッピッ」このかちが、わかるやつがいるっ


 あ、そ、そうなんすか……イライラしてて……はぁー……


「へたりこんで、らしくないですね?流す練習が上手くいってないんですか?」


 土下寝状態でコクコク……人間と仕組みが違うとかー?


(余計な事考えすぎなんじゃないの?屁理屈ばっか普段から言ってるから!)


 地面でバタバタする、だってー!出来ないったら出来ない!何でー!


「……お兄さんお疲れてるみたいですね」


「ミーィ?」みぃがてつだえるならいっしょするのー?


「ピーィ」ぴぃはもうできるのだ


 え?ヒヨコさん出来るんですか!?


「ピッ」てんさいですから


 うるせー!ナマいうなよ!ヒヨコが!


「ンミッ!」にぃにおちつくのー!


 みーちゃんが降りてきてソッと寄り添ってペロペロしてくれる……ううっ俺の癒し!


「はぁ……以外と頭固いんですかねワンコさんは」



 暫くみーちゃんに毛繕いされてご機嫌になった、今は寄り添ってくれている、ヒヨコは机の上でお澄まし饅頭……ぐぬぬ!


 何故ぴーちゃんに出来て俺が出来ないのだ?にぃになのにっ!妹に先越されたー


(何かさ異世界と地球の固定概念が違う訳でしょー?ここは異世界なんだから地球の概念捨てて考えてみれば?)


 異世界の概念?……空気とは別の魔力……と言う物が分からないのだ、感じないし?見えないし……ん?空気と同じで見えない何かなんだよね?見えなくても当たり前……


 イメージで魔力がどんなものかを考えてみよう、アニメでなんかオーラみたいな?チャクラみたいな?いっそ目に見えるモノとして考えてみるかな……オーラ的な、むん!


 ……………………


「ミァ?」にぃになんかひかってるの?


 え?足元を見ると何やらユラユラしたモヤが、これがもしイメージで出来た魔力なら、頭の中でこのモヤモヤを頭から足先までグルグル血液が廻る様にイメージ……


 巡回、巡る、廻る、回る、廻ったモヤモヤを手に集中……ジッと両前足を見つめる、ここに集まれー集まれー集合!


 前足にモヤモヤが集まるのが見える、黙視出来る……


「あら、出来ましたね、魔力を流す、普通は目には見えないモノですけど。」


 え!マジ?これでいいの?


「ンミ」にぃにせいこうなの


「ピッ」チッ


 おぃ、舌打ちしたなぴーちゃんよ!どうやってんの?


(おー見える魔力かーそれもいいかもね、解りやすい)


 本当?天才?


(そだねー天才だと思ウヨ)


 棒読みで誉めるならいっそいらぬ!


(いらぬって、空飛ぶんでしょ?)


 でしたよねー!いるいるー!ポンコツ!


「ひゃーい!今行きますぅ!」


「うえっ!?きゅーちゃんがモヤモヤ光ってる!何で?カッコいい!」


 えーやだーもー照れるぅ!


 みーちゃんがモヤモヤをテンテン触るけど害はないよね?大丈夫?


「ンミッ!」なんともないの、あったかいの!


 あったかいの?魔力は暖かい?


(んーそれは普通はないけど、イメージに暖かいって入ったんだと思うよ?)


 ほう、確かにオーラとか見ると暖かそうとか思ったりしてたからかな?



「はい!来ました、あっ!きゅーちゃんが神様みたいー!凄いです!」


 神様ってモヤってんの?


(なってねーよ、ミネルバ変なこと言うなし?)


「んー?そうじゃなくて……キラキラしい?モヤモヤしい?」


「何それ?ポンコツさんの考えが分からない!でもきゅーちゃんが神々しいって感じ?」


「あっ!そんな感じで!」


 ……いいよもう、ほらこの、魔道具がやっと付けられる!


「あ!そうですね!着けますー!」


「え?何何、話みえない……」


「……奇妙な魔道具ですね、空を飛べる、と、何がいいんですかね?」


 男のロマンー!


 ポンコツがそそくさと青いスカーフを着ける、以前の様にピッタリとフィット!


「へえ?魔道具なんだ?空を飛べる……」



「ミッ!」とんでるにぃにみたい!


「ピッ」おちるのもみたい


 ぴーちゃんは置いといて、では、このモヤモヤ魔力をスカーフに流す……流す流す。



「ふぁっ!浮いてる!きゅーちゃん!」


 !足元見ると地面から体が離れていた……


「飛ぶというより浮くんですね」


 ちゃうねん!ちゃうねん!飛ぶの!


(んーもっと流してみな?慎重過ぎて少ししか流れてない)


 な、成る程!流す!モヤをいっぺんにスカーフに!!


(あっ!!馬鹿っ!いきなりすぎ!!)



 というアドリアナの声を聞いた俺の意識がブラックアウトォ…………

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