第100話 上下関係は難しい

 そ、そして!ついにナートの城下町に着いたのであった。


(話の転移ぱねぇー)


 さて、まずギルドで、と思うだろ、だけど副店長に何言われるか分かんないから直行よ!


 普通の馬車に乗り換えてお店に帰る、そういえば元勇者三人は生きてるだろうか?


「お手紙では、ちゃんとお店には着いたって」


 ばっきゃろーそっちの生死じゃない!精神的に死んでるかもしれないだろ!


「ひゃあー!!そうでしたぁ!!」


 まずはうざいだろうマドロンと言う飼い主をどうするか考えるか、いや、副店長にお任せすれば一発解決よ!


「ピーピー」ぴぃのあくせさりー、わすれてないよね


「そう言えば貰う前にダンジョン行っちゃいましたねー」


 せやな、すまんのぅ、副店長の次に工房に行こうね、きっと出来てると思うよ!


「ピッピッ」あくせ、あくせー



 そういやドラゴン何匹なら買い取って貰えるのかな?聞いてみないと分からんか!


(精々二匹じゃないの?王にも買い取るか聞いてみるよーでも食べないんだ?)


 え?……食べれるの?


(そら高値で売れるのはそう言う事よ、相当美味しいらしいよ?)


 ま、マジか!優秀な非常食じゃねーか!


(ドラゴンが非常食とか……)


 



 帰って来たのを悟られない為、顔だししない馬車にしたのは良かった、お店の裏に回って貰ってコソコソ入ろう、ファンってのは時に狂暴と化すのだ!


 裏門に着くと門の側にいたヨーンが気づく、おっ、変わってないな!


((ぼすー!おかえりなさい!))


 おう、でも静かにな?マドロンに知られるのは不味い、副店長呼んできて?


((えっ……い、いえっさー……))


 すまぬ、すまぬ!


 コロコロと歩いて行くヨーンが扉に近づき、短い手足でテテテと扉を叩く。


 店員さんが気づくと、扉をあけてヨーンが副店長の所に、また短い手足でトントンする、暫く様子を見た後、マドロンさんに何か言ってる、店長が慌てて何処か行く、厄介払い成功!


 そして、ヨーンと一緒に裏門に案内される。


 と言う説明をしながら、少し震える。だって元勇者が居ない……消された!?


「ンミッ」こわいっ


「ピピ」おそろしや


「雑用の始まりですね……」




 案内してくれたヨーンにお礼を言うと逃げた


「一月半ぶりですね、相変わらずお変わりない様子で、安心しました。」


 イヤミなのか本音か読めぬ!


「本音ですよ、私だって心配位しますよ?」


 て、ですよねー!通じて欲しくなかった!


「た、ただいまですぅー……あの……」


「取り敢えず入りなさい、話は小屋で」


 いえっさー!!


 皆でそそくさと小屋に入る、と……居た。


「「「あ!」」」 生きてた!!


「心外な顔ですね、生死でも気にしてました?生きてますよ?」


 俺のテレパス!黙ってろぉ!


「ちゃんと此処に着きました、顔が割れているので普段は裏か小屋に居ますよ、まぁそのうち顔なんて忘れるでしょうけど。」


「お、お帰りなさい!生きてます……」


 一号の心が病んでそう……一番副店長とやりあったからな。


「さて、皆さん寛いで結構です、長旅だったのですから、話はリラックスしたままで。」


 出来たらね……取り敢えず毛布をバサバサ取り出すと、潜る様に姉妹が隠れる、ちょ!ずるくない!?


「ミッ」ごめんなさいー


「ピー」まかせた


 あうあうあー!取り敢えず踏まない様に毛布に寝そべる、ポンコツは正座、すっかり馴染んだ様子で……


 元勇者達もカチーンと座る。


 何があったんだ!目が死んでいる!


「んっ、それでは、ポンコツさん、通訳お願いしますね。」


「あいー!まむぅー!」


「……ふぅ、それでどうでした?上級ダンジョンは、楽しめました?」


 楽しいって言うか、たたの金稼ぎでアンデッドばっかでつまんなかった、でもドラゴンは中々強敵だった!


「……で、私は状態異常のマスターとも言えるべき成果を残しました!」


「成る程、つまり上級は制覇したんですね、これからも、ちょくちょく行く予定が?」


 ポンコツの話はスルー フルフル


「そうですか、お客様のファンがいつ帰るか五月蝿くて、流石に黙らせましたけど。」


 ナニシタノ


「それで、成果は十分ありました?」


 コクコク


「そうですか、お土産ないんですか?」


 サッとダンジョンの宝箱から出た物を差し出す、ど、とうですかね?


「………………これは、魔道具ですか?」


「はいーボスから出たやつです、副店長にはこれがあると安心かなって、相談して…」



「魔道具がお土産とは……太っ腹ですね?状態異常に抵抗を持つ、こんな大事な物を私に?あなた方は要らないのですか?」


 そもそも、そう簡単にはかからんからな。


「はい!私達は大丈夫なんで!是非!副店長がどうにかなるのが怖いです!」


 一言余計だったの……


「……そうですね、私が状態異常になったらまずポンコツを解雇しますね。」


「あう……っ!」


「まぁ、貰えると言うならば貰います、貴重な品をありがとう御座います。」


 いいんすよー!尻尾も振りますぅ!


(わっ分かるけど!分かるけど!プライド!)


 どっかのゴミ箱に捨ててきました。


「ダンジョンに関しては私は興味ないので聞きません、成果があったか聞きたかっただけなので、それで?これからギルドへ?」


「あっ!あのーぴーちゃんの……」


「ああ、はい、足輪ですね、出来ていますよ、私が預かっていますので、お持ちします」



 と、扉から出ていった、瞬間皆がホッ。


「ざ、雑用に関しては問題ないんですけど、生憎苦手なもので……はぁ」一号


「初めて会った瞬間分かったんだ、逆らうなって、本能が」二号


「いつも副店長の周辺は凍り付いてますよね、外でもそうなんだと……」三号


 よく生きてたな……コクコク。


「やっぱりここでは内緒なんですね?」


 そうだよ、一号君、弱味を見せてはいけないのだよ、これ教訓。


「だそうですぅ……」


「此処にいる時点で弱味なんですけどね俺達」


 あうちっ!そうだったわ!



 暫く生存報告やら、乗り合い馬車の話やら、普通のレベルはやはり大変だとか、話し合ってた「ミッ」きたのっ、で黙ると、三人も黙る。



 キィ……っ扉を開くんだけどアレわざとだよね!敢えてゆっくり開けてるよね!



「ヒヨコさん出てきなさい?貴女のです」


「ピッィ!」ほうせき!ねぇねとおそろ!


 毛布の中で歓喜する、もがいてるけど出れない模様、中に居たみーちゃんが小さなお手々でサッと毛布からヒヨコを出す、と引っ込む。


「ピ、ピ」う、うらぎられたきぶんだ


 察しろ。


「ボサボサですね、整えましょう、アクセサリーを着けるんですから。」


 ひょいとぴーちゃん持ち上げて、両手で握る。握る……


 な、なんだってー!!潰すのかっ!!


「何かおかしな顔してますね、こうやって暖めると直しやすいんです。」


 あ、そうなんすか、へへさーせん!


 副店長の両手から出てきたヒヨコはカチコチに固まり、心なしか死んだ目をしていた……副店長が毛をササッと整える、確かに直ぐ直った、ドライヤー的な効果か?


「ピ…」しんだとおもったら、いきてた…


 にぃにもそうするのかなって思いました。


「それにしても、雑用さんは本当に洗うの下手ですよね、少しベトついてます。」


 す、、すいやせん、浄化だと菌だけ殺す的な効果で、ポンコツ頼りなの……


「れ、練習します!練習!」



「これですよ、ヒヨコさん、私には瓜二つだと思ったので持ち帰りましたが」


 パカッと木の箱を開けると前にも見た足用の輪っか、模様……みーちゃん、見せて?


 毛布をうにゅうにゅ、させて耳輪だけ付いた耳を出す、器用ですね……


 交互に見る、俺には同じに見えるが女心には違いが分かるらしいので黙っとく、ぴーちゃんが交互にキョロキョロ、じっと見た後小さな翼をバサバサさせて歓喜のぐるぐる!


「ピーッ」ねぇねとおそろー!



「合格ですか、良かったですね、それでは着けてあげましょう。」


「ピ」うごけば、しぬ


 流石に……否定は出来ない。


「本当に小さい足ですね、着けにくい。」


 誉めたのかディスったのか分からねぇ。


 ひょいと片手で握られる、固定してる!いやヒヨコが固まっている!足さえ動かないまるでお人形の様だ。


 足を上にして足輪を嵌める、正面に宝石じゃないと怒られるのー!


「はあ!あの宝石はしょ、正面につ


「それくらい承知してますので。」


「あ、はいー…」 ポンコツに睨まれた。


 着けて暫く待つとポワンと光って足輪がぴーちゃんの足にピッタリなサイズになった。


 そして下ろされるヒヨコはカチコチになったまま足輪を見る、細小さい足にピッタリな青い宝石がキラリ、なかなかゴージャス!


「ピ、ピーッ!」お、おそろいー!


 バサバサしながら毛布にダッシュ!もにゅもにゅします、中で自慢するんでしょう!


「それでは、まぁ後はギルド位ですよね、このグズ達と懐かしいお話でもしてて下さい」


 あ、グズ呼ばわりされてた……仕方ない。



「店長はまだ余裕で足止め出来ますから、後、本当にお土産頂けるとは思っていませんでした、ありがとう御座います、店長にも用意してるんですよね?拗ねたら放っておきますよ」


 コクコク 


 お宝は何個かいいのが出たのだ!……あれ何か忘れてる様な?


「あ、きゅーちゃん!副店長にアレです、流すーを教えて貰うのです?」


 そっそうだったわ!俺の空飛ぶ犬の夢が叶うのだー!


「何ですか!何を流すんですか?ポンコツを島流しするならお手伝いします。」


 したいんだけどー、魔力の流しかた!


「どっちも酷い!魔力の流しかたです!」


「あら、そんなの、流すだけでしょう?」


 なんて?


「あの、流すのはあれ、説明を欲しいかなって、私も流すーとしか分からなくてっ」


「そういう事ですか、鑑定しか使えないのにどう、なんて理屈知りません、そちらのグズに魔法使いが居るでしょう、教えてあげなさい」


「あいー!まむ!」調教済みなりぃー!


「では、失礼します。」キィ……パタン




 ドッと全員がへたり込む……ああお久しぶりの副店長は変わらなかった!


 毛布からうにうに姉妹が出てくる、卑怯なりぃー!にぃに守ってくれなかったのー!


「ミァー」ごねんなさい、あのひとはさからえないのー


「ピー」にげるがかち


 あれ、今俺たちのピラミッドの頂点副店長なの!?俺じゃなかったぁ!

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