第94話 健気なみーちゃん

 うにーすっかりぐっすり寝てしもうたー


「ンミ」おはなの、にぃにー


「ピ」おそい


「むにゃむにゃー」



 姉妹は早起きしたの?俺、ポンコツより先だった!良かった。


「ミウ」ぴぃがこうふん


「ピー」おたから、おかね、はやく


 だから逃げないからードラゴンさんでっせ?そら期待も高まるのは分かるけどね。


 ポンコツ居ないと缶詰め開けられない、せめて自分で開けられたらなー、人間のて?にしてみるとか?


(……きもっ!!)


 想像すんな、やるわけない!ポンコツ起きろ!三匹でポンコツの体にアタックぅ!


「あぐっ!あたっ!たい!痛い!」


 はよ起きろやー?飯ー!


「もっと優しく起こしてー……?手紙読みました?」


 あ、忘れてた、見せて。


「はいー……?あれ?読めません!何故?」


 よこせ、と紙を置いてもらって見ると日本語で書かれてる、用心したのかな、つーか俺が日本人だったって知らないよね?馬鹿なの?


「読めるんですね?すごいー」


 そら故郷ですから?……とふむ。


 成る程そっちを選んだか……


「ピー」きになるーおしえろ


「ミ?」だれのおてがみ?


 倒した元勇者だよ、一般人になるには顔が割れてるから、お店で隠れて雑用したいんだって、あれだけ派手なパレードしたもんな?


「ピピ!」こきつかいまくる!


「ミィミ?」ぽんこつふえる?すごいー?


 お店は女しか店員居ないから重労働にはもってこいよ、ポンコツがあんまりにも使えないから、こいつらのがまともに働けると思う。


「反論しません!」



 一階に降りると階段そばに元勇者が立っていた、なにしてんの?


「どうしたんですかー?」


「あ、のさ、手紙読んだ?」


「はいーさっき読みました。」


「そっか……それで俺達あんたの所でお世話になるわけだけど、ダンジョンには入れないし、一緒に帰るのか、俺達だけで先に帰るのか聞きたくて……」


「んー?どうしますか?きゅーちゃん」


((俺達は邪魔されたくないから、お前ら先に店に向かえ、副店長に手紙書いておくから、言っとくけど、アレ逆らうなよ?死ぬよ?))


「ふっ、副店長さん……あれは怖い……」


((つーかお前らも王城の転移陣使ったんだろ?ここからナートの城下町までの時間って知ってんの?))


「いや、知らない、だからどうすればいいかなって、金は有るけど。」


((その金、強盗した金だろ?俺に全部寄越しな?お前らは店の給金だけで生きて行くんだよ、分かってんだろ?自分がしてきた事))


「わ、分かってる……一般人になって何か身に染みたっていうか……って全部渡してどうすんの?」


((あ?俺の金にするに決まってんだろ?いいか?覚えろよ、お前らは俺の下なの、ポンコツもそうだけどな、お前らは俺に飼われる立場に居るの、ペットなの、お分かり?))


「「「え!?」」」


((はっパンピー風情が俺に何が出来るよ?あん?嫌なら他に行けよ?))


「ぽ、ポンコツの立場になる……」


「でも俺達顔出しできないじゃんよ」


「そうだよ、他の国も知らないし……」




「わ、わかった!なる、ペットに!」


((よーしイイコだな、はよ金寄越せや!))


「まじ恐喝……」


((言っておくがな、今度みーちゃん狙ったらマジ死ぬから、みーちゃんは神様に愛されてんの、激熱なの!ファンクラブ会長なの!馬鹿だけど仕方がないないんだよ!))


「……え?そんな猫だったのか、神様馬鹿って言ってるけど許されてんの?」


((ハッ!みーちゃんは俺が大好きなんですぅ!離れないの!みーちゃんが居れば神様なんてチョロいわ!))


(言い過ぎー!間違ってないけど!!)


「そ、そうなんだ、あのお姉さんそんな人だったんだ……」


(お前のせいでまたあたしが馬鹿みたいに見られるの増えたじゃねーか!)


 いや、馬鹿でよくない?過去振り返ろう?


(…………ちょっと風にあたってくるわ)


 あんのかいーいってらー


((そう言う事に、後俺に舐めた口きくなよ?俺が飼い主様よ、ポンコツ見習いな!))


「うぐっー……難しいポンコツ!」


「簡単ですよ?きゅーちゃんの言う通りにしてればなれますから!」


「最早洗脳っ!!」


 ちょ、俺金取りに行ってくるから先に飯食べてて?


「ンミー」やなの、ゆうしゃにちかいのやなの


「ピー」おかねのためなら、がまんする


「えー?お腹空きましたー……」


 はい、満場一致でギルド行きましょう。


「またまた無視ー!」




「俺達もああなるのか?」


「そ、そんなのやってみないと!」


「なんで乗り気なんだよお前……」



((ごらーグズグズしてんなよ!みーちゃんがお腹空かせても行くんだよ!))


「「「はいっ!」」」



 と、言うわけで女将さんが不振な顔してるけど、ポンコツー大丈夫だって言っておけ。


「あ、先にギルド行くので後でご飯貰いますー!おすすめで!」


「あ?ああ、大丈夫ならいいんだよ、また変態でもって思ってね、行ってきなさい」


 やさすぃー!通りすがりに三匹でスリスリしておく、心付けよ!


「ふふっいいねーペットも」


「ですよねー快適ですー」


「あ、うん、そうだねーちゃんとしなよー」





 元勇者一号から三号まで連れてギルドに、取り敢えずドラゴンは騒ぎになりそうだから、後でね、今はこいつらの金ぶんどるから。


「ピー」ぶんどるー!


「ミッミッ」ぶっぶっぶんとー


「今日のオススメ何かなー?」



 ギルドに着いて、あ、と思う、囮に使った冒険者と鉢合わせ!向こうもあっ!て顔。


「ちょ、何で一緒に居るのそいつら?」


「え?あー勇者止めたんですー新しいきゅーちゃんのペットになりました!」


「……ごめん意味わかんない。」


「おい、そこは犬に任せたろ、ちょっかい掛けるなよ、黙っておけ。」


「そうそうー解決したならいいじゃん?」


「いいんだけと、今のが意味わかんなすぎ」



 さーせん、ポンコツのせいで、だーってろ!混乱巻き起こすなよ!ベシベシ!


「あだ!す、すいません!黙ります!」



「俺達もああなるんだ……」



 ペコペコ囮冒険者に謝って通りすぎる、受付はーどこでもいいか。


「犬ってあんな賢かった?」


「だから黙ってろ、色々あるんだろ。」




「おはようございます、ご用件は?」


((ほら、金全部下ろしな))


「あ、はい!あのお金を全部出したいんですけど……ついでに冒険者も返納します。」


「え?何か事件ですか?」


「いやっ!そういうんじゃなくて……向いてないなって、思ったんで。」



 ほう、一号なりに考えてたんだな、パンピーで冒険者は無理だもんな。


「そう、ですか、残念ですね、今確認しますので、カード宜しいですか?」


「あ、はい、ほら、お前らのも」


「「おう」」


「三人で?……そうですか、お預かりします、少々お待ち下さい。」


 金額驚くだろうな、城でも一億持ってったんだ、今はもっと有るんだろう。


「ピッ」むねあつっ

 

 そ、そうですね。



 長い、長いぞ?もう十分は待ってる、まぁ奥が騒がしいんだけどね、耳良いから?


「ミゥ」にぃに、ごめんなのおなかすいたの


 !!やっぱり無理したんでしょ!もう!素直に言って?にぃに寂しいよ。


「ンミー」こまらせたくないのー


「ピッー!」け、けなげ!おにぃ!


 おうともさ!隣に併設してる食堂に移動、一号達にはカウンターで待たせる。


 ほらほら、みーちゃんの缶詰め開けろ!


「ひゃい!待って!急がせないでぇ!」


「ミー?」みんなもたべるの?


 さ、さよか?そうしようか、忠実なみーちゃんは一人だと食べづらいだろう、ポンコツに俺とぴーちゃんのご飯も出してもらう、ポンコツは何か頼んで食べろー。


「あいあいさー!」


 食堂の邪魔にならない片隅で仲良くお食事、みーちゃんよっぽど我慢してたんだね、ガツガツだよーホロッとしてまう。


(ううっ……泣ける!)


 戻ったの……


 俺達の食事を冒険者が見てるけど無視、今はみーちゃんが大事。



「テイマーのペットかな?三匹で可愛いね」

「猫が凄い飼い主飯ちゃとやってんのかね?」

「今は飼い主も食事中だけど何かあったんじゃないの?ちゃんとあげてるし?」「そっか」


 痛いわー心が痛いー!駄目なにぃにだよ!


「ンミゥ」がっついたの、はずかしいのー


 ええんやで?可愛かったで?オヤツも食べよか?少しだけどね。


「ンミっ」ありがとなのーっ


「ピー」やっぱりねぇねが、なんばーわん


 もう否定なんかしないさ、それでいい、それがいい、正解だったわ!


 おやつのちゆーを両前足で少しずつ出す、ペロペロ懸命に嘗めるーほっこりー!


(あーほんとそれ好きだよね!幸せそうなのが堪んないっ)


「ちょっと、見てヤバイ、犬が猫にエサあげてる激カワ!」「ふあー何この幸せな気分」「心が……暖かい」「ずっと見てられるー」


 ふふふ家の子は可愛いんだ、存分に見るがいい、そして常連になってお金を落として?


「ピー」けっきょく、かねか


 ぴーちゃんに言われると心外……

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