第59話 階段はみーちゃんの為にある

 トテトテ歩いている中級のダンジョン、スライムさんもちらほら見かけるが全部ピンク、もっとカラフルでもいいと思うの。


(え?そーかなー?ピンク可愛いじゃん)


 女が可愛いと思うのと男が可愛いと思うのは違うんだよーわかってないね?


(ただのスライムの色でなんでそんな事言われないといけないの!)


 何だよじゃあさー俺と同じで可愛くないと、常々思ってるのどれくらい居るの?


(そんなの知らない!どうでもいいもん!)


 出たー!神様のどうでもいい発言!


(んなっ!?)


 もっとさ細かいとこまで管理出来るヤツがやっぱ優秀って言うの?これ宇宙共通じゃね?どーでもいいとか趣味に走るからこんなポンコツが出来るんだよ!


(結局ミネルバの愚痴やんけ!)


 俺やっぱ、スライムは青か緑派なんだよ、こっちに来る勇者だってピンクのスライムに違和感バリバリたぜ?


(え!こんな事言われた事ないし!)


 ははっ神様にこんなにボロクソ言えるのは俺と姉妹位だぜ。


(そ、そうですね!!だったら青でもみ


 ゴブリンだー!いやっふー!みーちゃん俺に殺らせてー!


(結局どうしたいんだよ!)


「先輩ー突っ込みばかりは疲れません?」


(あんたに言われるのが一番ショック!)


 一階層はゴブリンの縄張りなのかゴフゴブうるせーやい!飽きてきたからみーちゃんに任せる、何かあれだよね?みーちゃんって戦闘狂じゃない?


「きゅーちゃんが育てたんですよ?」


 犬のせいにするなよ、異世界での猫の育て方なんて知らないよ?マニュアル希望。


(ほら!ちらほら青とか緑のスライム変えてみたけど、どうよ!)


 もうその話題は終わってる。


(……いいよ別に勇者の為だし?……)


「色々なスライムの色でいいですねー!」


(や、慰めはいいし……)


「す、すいません……」


 何やってんの?進むよ?置いてくよ?


「待ってーー!」


「ンミィー!」みぃのてんかなのー!


 よ!宇宙一!


「ピー」ねていい?


 ……きょ興味を持とうよ?感性が育つのよ?チャンスでふよ!


「ピ」きょういくによくないそだてかた


 ガーン!!


「あ、あれですよ!見解を開くチャンス?」


「ピ」ポンコツにおそわることなんてない


「ガーン!!」


(なにやってんだよ……みーちゃんが暴走してるぞ……)


 気がついたらゴブリンの山だった……


「ミッ!ミッ!」ぜんめつなの!せんめつなの!にぃにのためなの!


 やっぱ教育間違ったかなって思うの。


 みーちゃん!逃げるゴブリンまで追いかけなくていいから!逃がしてあげてー!


「ミィ?」きょういは?はいじょなの?


 分かるー分かるよでもまだ一階だから、ほら体力の温存しないとバテちゃうでしょ?訓練もそうだったでしょ?


「ミゥ」そうだったのー


 バーサクから普通のみーちゃんに戻った、目離したらアカンわ。


「あ、二階の階段見つけましたー」


 階段係な。


 二階にえっちらほっちら登る、初級より階段が高い!動物に優しくねーな!


(動物なんて冒険に来ないから!)


「でもぉ動物冒険者を作ったから配慮はした方が良くないですか?」


(ガーン!!)


 なんだよ……ガーン!!祭り?


「ミーイ」がーんなの


「ピーピ」……ガーン


 ……三階頑張ろうか。


 


 えっちら階段を上ったら直ぐ目の前に犬が居た、え?何や同士ですか?


「グルルッ」


 んだよ、警戒すんなよ?お仲間だろ?仲良く話そうぜ!!


「ガウガウッ!」


 何でよ通じないんですけどー?


「ピー」それもんすたーだし


 


 ……犬パンチ乱舞!!てめぇ!俺を辱しめやがって!!生意気なんだよ!!


「キャインー!」


(恥ずかしいからってやめろ!)


「ミー!」にぃにのかたきー!


(死んでないよ!?追撃してももう死んでるよ!嬲り殺しー!)


「ピッ!」ちゃんす!


(ヒヨコが都合よすぎ!)


 


 はぁはぁ、強敵だったぜ!!


「ミ!」ほんとなの!


「ピー」しんでた、けいけんちはいらない


(酷い光景を見た……)


「あんまり可愛くないですね?コボルトでしたっけ?きゅーちゃんのが何倍も可愛い!」


(お前ら何なんだよ……)


 チッ!この階は俺が殲滅しめやるよ!!俺を馬鹿にしやがって!!オラオラオラ!


「ミイ!」にぃにらんでぶー!


「ピィ」そっとしてあげて、ねぇね



 はぁはぁーやり過ぎた反省はしてない!


(全滅だよ、次のポップまで時間掛かるのに、あんたら暴走しすぎー)


 他の冒険者なんぞどうでもいいわ!俺の心に傷をつけたんだ罪は重いぜ。


(勝手に勘違いしてそりゃないわ…)


 だーってろ!さっさと四階行くぞ!ポンコツ階段係だろ!


「ふぇうっ!そうだったんですか!さっ探します!」


(ミネルバ……マップの探知しろよ)


「あ、そうでした、ホントに魔法に縁がなくって、えへへー」


(疲れるこいつら……)


 何で付いてくんだよ、みーちゃんのストーカー何時まですんの!世界見ろよ!


(ちゃんと見てるわ!みーちゃんには特別な目があるんだよ!)


 ちょ……こいつ額に目があんの?目が三個ってネタが古い!


(神様がそんな実物で見るわけないでしょ!?ちゃと二個だよ!)


「四階見つけました!!」


 ふわっふわっ!いこーぜー!


(………………)



 ……あれ?何か階段が上がりやすい、少し低くなった?ダンジョン頭いい!


(わざとなの?わざとなのー!?)


 でもみーちゃんには上れない高さだな、まだまだ甘いダンジョンだぜ。


(ふっ……………まっ平らでいいかな)


「先輩!冗談だとおもいます!」



 えーと四階には何が居るんですか?えーブヒブヒいってるから知ってる、これは!


 豚だね!!


(突っ込まないし?)


 チッはいはいーくっころさんですね!


「ンミ?」くっこよー?


「ピィ」ころー


「ミイミイ?」くっころころ?


「ピー」そんなかんじ


 ぴーちゃんが諦めた……それか!教育のヒント見えたなりー!


 前方からブヒブヒいいながら豚が二足で歩いてるくる、賢い豚だな。


「ピー」こんどはぴーのでばん


 なんと……出来るのか!!


「ピー」にぃにがんば


 応援ありがとう、行ってくるー!


「ミィー?」こんどはみぃのでばんなの?


 豚ですよ?駄目よあいつら女が好きすぎた変態だから近寄ったらメッ!よ!


「ミィ!?」へんたいゆうしゃ!?


「ピー」ねことひよこはかんけいない


 ポンコツやっときゃいいか?


「きゅーちゃん!?」


 いや、お前も魔法使えば?


「……でしたね!」


(おい、大丈夫なのか?)


 だって地上で試すのはリスキーだろ?ダンジョン最適。


(崩壊させないでよね……)


「きゅーちゃん!何の魔法がいいですか?」


 やっぱ豚は丸焼きだろ?


「ではー!」 結界!!


「ファイアーランス!!」


 マニアックな方で逝った。


 ダンジョンを埋め尽くす炎の槍がドカッーンと遠方まで飛んで行った、悲鳴も聞こえなかったわ。


「あっ!熱い!熱いぃー!!」


 自分も焼いた。結界便利!


 燃えながらゴロゴロしてるので鬱陶しいからウォーターボールを全力ブッパ、水に流されて何処かに逝った。


 ミネルバ……ポンコツだったが楽しかったぜ!あばよ!


(殺しにいくなよー!!)


 探してみたらちょうど五階の階段前に転がってた、死んでなお階段係を全うか、よくやったな……スライムサーン?ここに死体が!


「い……生きてますぅ……」




 自分に特大ヒールしてボロボロの服も着替えてた、服買えたの?


「はいー、店長がお古くれました!」


 五千円と聞けばそうなるか……


 よし、五階だー、何階まであんの?何か飽きてきた。


(早くない!?)


 犬は熱しやすく冷めやすい。


(猫だろ!)


「ミィ?」みぃが?なに?


 何でもないよ、神様ってたまに変なこと言うから放っておいていいよ。


「ンミ」わかったの


(みーちゃん……)


 


 更に低くなった階段をあがる、本当にまっ平らにしそうだな。


 みーちゃん上れるかなー?


「ンミ!」やってみるの!


 みーちゃんが二足で立って手が届く高さだが、あれでは登れないな、つかえねーダンジョンたよねー?背中においでー。


「ンミィ」ざんねんなの


(待ってね、今の感じで低くするから!)


「せ、先輩!人間に不便になってます!」


(階段はみーちゃんの為にあるんだよ!)


「そ、そんなー!」


 ズズズと目の前で低くなる階段、あんな感じですか!みーちゃんを背中に乗せたまま快適な階段を駆けあがる。




(うおおおおおー!違うだろ!)

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