図書委員会で作業をしていた“私”こと石田は、図書委員長である松井に声をかけられる。曰く、石田が使っている鉛筆は超レアものである……。それをきっかけに石田は文具マニアの松井から文具の奥深さをレクチャーされることとなる。
マクガフィンといえば登場人物の動機付けや物語の推進剤となるプロット・デバイスというやつなわけですが、それが見事に生かされてるのに目を惹かれました! 主人公の石田さんが偶然持ってただけのレア鉛筆が松井くんとの縁を繋いで、結果、彼女をぐいっとドラマへと引っぱり込んでいく。構成的にも物語的にも完璧です。
さらにはオチです。内容を言うような野暮はしませんけども、作中に埋め込まれた伏線が最後で「ああ、そういうことか」となるハッピーエンドを見せてくれる様、繰り返しになりますが構成的にも物語的にも完璧です!
読み手の方はもちろんのこと、書き手の方にもぜひ読んでいただきたい、仕掛けの効いた一作です。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)