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―夕暮れ時・うさぎクラブにて―
『どうも~ ありがとねっ!』
「ふぅ~ やっと最後のお客さん帰ったね。さぁ、お片付けしょっか」
「えぇ――っ! リカちゃん、ちょっと休もうよ~」
「そうね。ちょっと休憩しょっか、疲れたもんね」
2人は再び奥のテーブルに向かい、残ったドライフルーツやナッツ類
をつまみ互に顔を突合せた。
「それにしてもミカちゃんどこいっちゃったのかな?」
「そうね、突然いなくなってからだいぶ経つわね」
「家や公園、川辺や市場、ミカちゃんが行きそうな所全部調べたけど
誰も見てないって言うし―、ホント不思議よね」
「あっ! もしかして……」
「何よ、急にびっくりするじゃない」
「もしかするとショ―ちゃんといっしょにトックに行ったかも!」
「それはないでしょ、もしそうならショ―ちゃん絶対事前に私たちに
言ってくれるはずよ」
「まぁ、確かにそうだよね」
……しばらくの沈黙後リンちゃんが急にテーブルに両手を付き
立ち上がった。
「もしかするとショ―ちゃんに黙って付いて行ったんじゃ……!!」
「それはありえるかも! ミカちゃん妙に特区に興味アリアリだった
もんね」「もしそうだとしたら心配だわ」
「どうして? ショ―ちゃんといっしょなら安心じゃない」
「あの子あ~見えてけっこうおちょこちょいなのよ。だから迷子に
なってなければイイんだけどな~」
「そうね、ミカちゃんならありえるかも。ウロウロしてる間にコワイ人
に連れてかれちゃたりね」
「変なこと言わないの!」
「へへっ、ゴメン! ところでコワイ人っていえば最近市場やお花畑
で変な男の人見かけるんだけど」
「変な人?」
「そう、服装は私たちと同じ感じなんだけどなんか素材が違うって
いうか妙に違和感があるんだよね」
「気のせいじゃない、そんなの」
「そうかな~ でも何かが違うの、怪しげっていうか」
「人を色メガネで見ちゃダメよ」
「うん、まぁ、そうなんだけど……」
〈ピョ〉〈ピョ〉〈ピョ〉〈ピョ〉……
「また小鳥が入って来たよ」
「最近やけに多いわね」
「コッチに向かってなんか言ってるよ、リカちゃん」
「そうね、でも分かんないわよ」
「あっ! それ食べちゃダメ!」「シッ」「シッ」「あっち行って!」
「こんな時にミカちゃんがいてくれればな~」
「ホントそうね。どこで何してんだか、まったく」
「ホントダメだって、チョット、あっ! もぉ――っ!」
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