6-1(18)

――私の1日は夕方から始まる。

 お化粧など一通りの準備を終える頃にはクラブが開店する。

 そこで私は暴力やエッチな行動を閉店までひたすら耐え続け、その後

私のみ外出など一切許されぬまま小部屋に監禁される毎日を送っている。

 いまさら後悔しても遅いけどちょっとした好奇心からまさかこんな

事態になるなんて考えもしなかった。

 今はまるで闇の世界にいるようだ。

 朝日を浴び、お気に入りのジュース片手にうさぎクラブに通っていた

頃とのあまりの違いなのかここしばらく体調がすぐれない。

 それでも今日が当たり前のようにやって来て私は当然休むことなく

クラブで接客にあたっていたがクラブ内では暴力やエッチな行動以外

にも困る私を楽しむ客がいたりと全てが許されるまさに欲望渦巻く

空間と化していた。


「ちょっとアンタ何ボーっとしてんのよ」

「えっ? あっ、ごめん」

「ごめんじゃないわよ、グラス空いてるじゃない。早くドリンクお作り

して!」

「はっ、はい!」

 

 私はグラスに音立てないよう氷を入れ、ゆっくりウイスキーを注いだ。

 いつものように繰り返されるヘンタイ行為や暴力に対し満面の笑みで

対処するも体調が悪いせいかお客も不満気だ。

 やがて香水やお酒の臭いが妙に鼻に付き、徐々に気分が悪くなる一方な

私だが席を立つ事に恐怖心を覚え必死に我慢していたが遂に限界を迎えた。

 

「アンタさ~ さっきから顔色悪いけど大丈夫?」

「うぐっ……」

「ちょっとどうしたの? えっ…… ト、トイレ行きなさいよ!」


 先輩ホステスの問いかけに緊張の糸が切れた私はとうとう胃の中の物を

全部テーブルの上にぶちまけてしまった。


「何してんのよ! キッタナ――い!」

「ごめんなさい」

「ちょっと――! 誰か来て!」


 この失態以降トラウマとなった私は席に着くたびたび原因不明の吐き気

に悩まされ、遂にホステスから裏方の仕事に回される事となった。

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