ロイヤルババア

 ちょっと用があって昨日の検索履歴を確認した際。

 何故か、「ロイヤルババア」と残っていた。



 ?



「某のせいではないぞ!」


 聞かれる前に、察して答えるおりこうさんの武士である。ここで豆知識、彼のおすすめのYouTuberはきんにくんだ。

 まあ、武士は私のスマホのパスワード知らないもんな。そりゃこんな検索なんてできるはずない。

 ……。

 じゃあこのロイヤルババア、何者なのよ。


「大家殿が調べたんだろう。昨夜、まあまあ酔いながら『ロイヤルババア? どういう店だよ』と呟いていた」


 マジか? 覚えてねぇなぁ。


「して、どういう店なのだ」


 知らん……。ちょっと調べてみよっか。

 ロイヤルババア……ロイヤルババア……。


「思うに、煌びやかな老婆の集う湯屋」


 湯屋である必要がどこに。

 ロイヤルババア……。


「もしくは、豪遊する老婆の休日」


 ローマの休日みたいなノリで言うな。え、知らない? 知らないで言ったのか。じゃあちょっとした奇跡じゃん。

 ロイヤルババア……。


「または、着飾りし老婆の夢」


 もう適当になってんじゃん。つーか店っつってるだろ、何よ夢って。それもう怪奇小説のタイトルなんだよ。

 ……そんなことないか……。


 結局、ロイヤルババアが何かを突き止めることはできなかった。タイムスリップができるなら、昨日の私の胸ぐら掴んで真相を問い詰めたい。嘘だ、武士がやってくる前の私に引っ越せって言うと思う。

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