上納品
帰宅したら、
武士が、山ほどのポッキーとプリッツの箱を並べて、ドミノ倒しに興じていた。
食べ物で遊ぶなや!!
「ぬう! ならば某、責任を取って即刻処してくれようぞ!」
そう言うと、武士はまだ並べてない方のプリッツ(サラダ味)の箱を開け始めた。ので、ドミノの端っこに行き人差し指でツンと突いてやる。
パタパタと一気に倒れていくドミノ。
「ぬうううううううう!!」
んで、どうしたのよ、このポッキー&プリッツの山。
「……貰った」
あれ、私の金で買ったんじゃねぇんだ。
貰ったって誰に?
「秋山さん」
ああ、お隣さんから? 福岡出身で時々お裾分けをくれる優しいお方の。
でもこの量はすげぇな。どういう事情よ?
「うむ、実はな、年末に開く町内会の宴にて芸を披露してくれないかと言われたのだ」
へぇー。
「最近すゑひろがりずという漫才師が活躍しておろう。で、某の風体を見た町内会の手の者が秋山さんを通して打診してきたというわけだ」
ほうほう、なるほど。町内会の忘年会にお前が呼ばれたのね。
いいじゃんいいじゃん、行っておいで。多分楽しいと思うよ。
「うむ!」
うん。
あ、そこの極細ポッキー取ってよ。私それ三本同時に食うの好きなんだ。
「贅を尽くした食べ方であるな」
いいじゃん、好きに食わせろよ。
はぁー、美味い。なんか久しぶりに食べたけどやっぱ美味しいなー。
「うむうむ」
……。
…………。
ちょっと待て。すゑひろがりずって二人じゃね?
「大家殿は鼓を頼むぞ」
ええええええ!!? やだやだやだやだ!! なんで私がしなきゃなんねぇんだよ!!!! やだよ!!!!
「上納品を食べたではないか」
オッケー今から吐くわ、おい口開けろ武士。
「ぬうううう! 分かった! 某が鼓役をやろう!」
そういう! ことじゃ! ねぇんだよ!!!!
そんなわけで、武士と忘年会でとんだ出し物をするかもしれない。どうか穏やかな理由で中止になってくれと願わずにはいられない。
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