かめはめ波
あー……。
かめはめ波が撃てる人生だったらなぁ……。
「突然なんだ」
本日何にもしたくないモードの私は、ゴロゴロとベッドに寝転んで戯れ言をぬかしていた。外は雨。買い物も足りている。掃除も昨日済ませた。なので、何かしたいモードだったとしても特にやることは無い。
だから武士にそんな目をされる謂れは無いのだ。呆れた目をよこしてきやがった生意気なヤツの背中を、膝でつついてやる。
かめはめ波が撃てる人生だったら良かったと思わん?
「なんだそのかめはめ波とやらは。亀?」
あ、ドラゴンボール知らねぇのか。
言わずと知れた鳥山明先生の大傑作マンガだよ。
まあ私前半しか読んだ事ないんだけど。
「そうなのか」
うん。
でもアラレちゃんと、COWA! なら読んだよ。
「いや、某はかめはめ波が気になる」
あ、ごめん。
かめはめ波はね、ドラゴンボールの中で主人公とかが使う技なんだ。
こう、両手をこんな形にして、後ろに引いて、かーめーはーめー……。
波ーーーーッ!!!!
「ビクッ」
……とやれば、手からすげぇ威力のエネルギー弾が出て、相手は死ぬ。
「死ぬ!?」
ごめん、敵を倒すことができる。
「ぬぬぅ!」
ビックリさせてごめんな。
「しかし、大家殿。お主は何故そんな物騒な技を使いたいのだ?」
いや、さ。
会社とかで理不尽に怒られることがあったりするじゃん。でも私がかめはめ波撃てることを相手が知ってたら、「でもコイツかめはめ波撃ってくるんだよな……」って色々マイルドになるんじゃないかなと思ったんだ。
「そうか?」
そうだ。
あと、嫌なことがあっても、かめはめ波を空に向けて撃ったらスッキリできそう。
「すとれす社会、街行くサラリーマンから次々と空に放たれるかめはめ波……」
あ、でもかめはめ波撃てるんなら舞空術も習得できてるかな。そうなりゃもう満員電車使わなくていいんだ。全サラリーマンが空飛んで出勤、そして定時退社。
いやこうなってくると多分上司も技使えるな……。残業させようとする上司と、定時退社したい自分とでガチバトル。最後まで立っていられた方が、帰る。
「不毛過ぎではないか?」
うん。恐らく決着がつく頃には、会社も瓦礫の山と化している。
「いかんではないか」
いかんなぁ……。
「……」
……。
「平和が一番である」
そだな。
よーし、飯にすっか。
確か今日はきゅうり買ってたから、それとタコを混ぜて……。
あれ!? 無い!!
「ぬぅすまん! 某、腹が減って、ついボリボリと食べ申した!」
かーめーはーめー……。
波ーーーー!!
私の平手打ちに悶絶している武士を捨て置き、メシを作る。
食べたら言えっつの。やっぱかめはめ波は必要だな。
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