鬱病編 小学生の私
いつだって、人の目を気にしていた。小学生の頃から中学に上がるまで、優等生として生きてきた。普通より少し上を目指して、誰から見てもあの子はいい子だと言ってもらえるような、そんな自分であろうと努力した。小さい頃の私は周りの子より大人びていた。人に褒められることが好きだったし、勉強もできる方だった。なにが正しくて何が間違っているのか、自分なりの正義が小さいなりにあって、それをすれば先生から褒められる。そんな浅はかな考えで行動することだってよくあった。そのせいか、怒られることに慣れていなかった。怒られることは私にとっては最大の恐怖であり、なんとしても避けたいことだった。けれど、怒られずに生きることなど不可能なのである。
小学生の頃、私は本を読むのが好きでよく図書室に入り浸っていた。私の通っていた学校では高学年からサークル活動があり、私はブックサークルに所属していた。いうなれば図書委員である。そしてじゃんけんに負けた私は、ブックサークルのサークル長を務めることになる。まとめ役は嫌いではない。他の人がダラダラとまとめるよりも、自分がパパッとまとめたほうが早い。そんな意地悪いことをよく考えていたからだ。私にとって苦痛だったのは、校内放送でサークルの集まりを呼びかけることだった。理由は単純で、放送のかけ方がわからないのだ。放送サークルの人に聞けばいいじゃないか、と思うかもしれない。ここで問題なのが、当時の私は極度の人見知りだということだ。そして私の友達で放送サークルに所属している子はいなかった。結局私は、その放送をしなかった。案の定、先生に怒られる。今ではくだらない、アホらしいと思うが、当時の私には大問題だった。怒られるのは泣きたいほど嫌だったし、今後もサークル長としてやっていくのかと思うと消えたくなった。しかしそんな悩みは、卒業さえすればどこか遠くへ行くのである。
そういえば、小学生高学年の頃にこんなことがあった。当時私は、スカートをはくことがなかった。理由は忘れたが、学年が上がるにつれてはかなくなっていったのだ。そんな時期に、可愛い黒のロングスカートを買ってもらった。私は何も考えずに学校にそのスカートをはいていったが、友達は驚いた。
「まーちゃんがスカートなんて珍しい!」
そう言って、可愛いと褒めてくれた。
ーーそういえば、スカートなんて久しぶりだ。
そこで初めて、自分がパンツスタイルばかりだったことに気がつく。そして担任の先生までも、私に「珍しいな。」と声をかけた。途端に恥ずかしくなった。みんなに反応されることで、気になりはじめた。本当に似合っているのだろうか。変に思われていないだろうか。可愛いと思って買ってもらったスカートが、途端に気持ち悪く見えた。
ーー早く帰りたい……。
一刻も早くスカートを脱ぎたかった。そしてそれから二度と、私は学校にスカートをはいて行かなくなった。何が言いたいかというと、私はそれぐらい過敏に人の目を気にするということである。なにごとも、気にしすぎは体に毒だ。中学生になって、私はそれを実感する。
私は、自分に自信があるのかないのかよくわからない。容姿には恵まれている方だと思っているし、性格もそこまで悪くないと思う。でもたまにすごく自分が嫌になるし、人に嫌われまいと必死だった。怒られることを嫌い、常に正しくあるように。だから少し、疲れてしまったのかもしれない。
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