第29話「深夜に働く人たち」

深夜に都内を車で走らせていると、様々な働く人たちを見る事ができる。


工事現場で工事をする人、交通整理をする人、揉め事を止める警察官、

クラブの黒服や、オフィスから出てきた残業帰りのサラリーマン、

居酒屋の店員やトラックドライバー。


タクシー運転手もそのうちに入るが、

なぜか、一旦自分を切り離して、

そこで働く人たちを見ているときがある。


「ごくろうさまです」


という気分と共に。


深夜はよく工事が行われていて渋滞になるし、

その渋滞を捌ききれていないときもあるし、

市民の味方であるはずの警察官が違反をした時だけ

敵に感じることもある。

黒服の中には、なぜか威張ってタクシーの邪魔して歩く者もいるし

残業帰りのサラリーマンは行き先告げたらバタンキューで、

目的地に着いた頃に起きないこともある。

居酒屋の店員に酔っ払い客を押し付けられることもあれば、

深夜の空いている道路で目の前にトラックが居たら

邪魔だと思ってしまいそうになる。


それでも、その人たちのお陰で助かる人達が沢山いる。

当たり前になると、労いの言葉を掛けられることは少なくなるだろうし、

僕自身もそうなっているときがある。

だからいつも思う。


「深夜にごくろうさまです」


深夜に物思いにふけながら走ると、

ドキュメンタリーモードに入ってしまうからメンドクサイ。

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