プロローグ2
【異世界テレビ】
異世界テレビとは、今、松木鉄心の世界も含めた各世界のあらゆるできごとを報道しているメディアである。もちろん視聴者は天界の民(神様たち)である。
「と、いうわけなんですよー、ちなみに私はプロールと申します。以後お見知りおきを」
スーツ姿の男が強引に、鉄心に名刺を渡してくる。
名刺を見つつ頭をかく。
『で?あんたがなにもんかはわかった。それで俺になんの用なんだ?』
鉄心に対して満面の笑みを浮かべながら
「なんの用かですって?そんなのは簡単♪簡単♪単純な話ですよ。スカウトですよ、ス・カ・ウ・ト!私は、いえ私たちは今切実に困っているのです。そう、視聴率が取れなくて。私たちは異世界テレビで、あらゆる企画を試してきました。しかしながら時代とは厳しいものです」
『天界?とやらにも時代があるのか?』
「当たり前じゃないですか!?天界人は何千年も生きているんですよ?何千年も生きていれば段々といろいろに飽きてくる、そして日々娯楽を求めている。異世界テレビも娯楽のうちの一つです」
鉄心はベッドから立ち上がり、台所に向かう。冷蔵庫の中からお茶を取り出す。勢いよく飲み干した後、振り返る。
『それでなんで俺にスカウトなんだ?他にも世界とやらはあるはずだし、人だっているだろ?』
「そんな冷たいこと言わないで下さいよー。鉄心さんあなたを選んだのはあなたが優秀だからに決まってるからじゃないですか?例えば、あなたが女性相手に正論かまして陰で女性たちにグチグチいわれてるところなんて、けっこういい視聴率取れましたよ」
『マジかよ…勝手すぎんだろ異世界テレビ…』
「まあまあ、そんなわけであなたをスカウトしにきたんですよ!とにかく引き受けてもらえますね?」
『待て待て、条件もなにもかもすべて聞かされてないし、そもそも引き受けるかもわかんねーんだぞ』
「それはそうでしたね、すっかり忘れてましたよ」
プロールは両手を上げながら
「では、交渉に入りましょうか」
そして両手を叩く。
「パンッ」
鉄心の視界が歪んでいった。
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