人間の姿
それらの地熱発電所の問題を対処するには一週間を要したものの、自分達ではだましだまし使い続けるしかできなかったものを完璧に解決してみせたひめの存在に、
「お前はまさに我々の救世主だ。確かにお前は危機に瀕していたこの世界をひっくり返してみせた。私は人間の代表としてお前に心から感謝する!」
ひめの手をがっしりと握り締め、目を潤ませて舞華は何度も礼を言ったのだった。
一方、そういうことがあったとは露知らず、
重蔵は彼女の師であると同時に親代わりでもある。また、重蔵にとっても
天蓋の一部が落ちてくることがあるのは、この世界の宿命だった。誰の所為でも誰が悪い訳でもない。ここはそういう世界なのだ。受け入れて生きていくしか道はない。重蔵の妻と娘は運がなかった。それだけなのである。
だから重蔵と
そんな彼女の下に、十日ぶりにひめが帰ってきた。地熱発電所の高出力のプラグを使って満充電になって。
「これからもお手伝いすることにはなりそうですが、しばらくは
そう言われてどういう顔をしていいのか分からなくて困りつつも、
その際に、ひめが受け取った天然魚などの褒章で、酒宴が開かれたのである。
ただ、酒宴の最中、
「! 地震…!」
メイトギアのセンサーは、地震の初期微動も感知することができる。身構えたひめだったが、数秒後に訪れた本震も震度は二程度だったことで、酔い潰れた
『この空間は非常に堅牢な地盤の上に存在しているようですね。そのおかげもありこれほどの地下空間がそのままになっていると……』
地震波の伝わり方を解析したひめがそのように推測し、安心する。安心した上で、
『にも拘らず地下にできた僅かな隙間からは蒸気も噴き出していて、それにより地熱発電が可能。まさに奇跡そのものという環境です』
そのようなこともありつつ、こうして改めてひめと二人の生活が始まり、二人で氷窟に入って凍土を掘る仕事を再開した。ひめは多めに残土袋を持って自らが掘り始めた氷窟に入り、一日一メートルのペースで掘り進めることとなった。そして帰りにはあの<物置>によってメディアを回収し
ひめは、そういうこの世界の住人達の力になりたいと考えた。
ただただ己の役目を淡々とこなし、口数少なく、酒を飲んではしゃぐくらいで他にはこれといった遊興もなく、己の命を全うしていく彼らこそ自身が支えるべきものだと思った。
自分の前を歩く
『これもまた、人間の姿なのですね……』
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