メイトギア
『私は皆様方
<メイトと思しきもの>が発した言葉に、その場にいた全員にざわっとした緊張が奔り抜けた。
「やはり…か……?」
千治が重苦しく呟く。
無理もない。<メイトギア>という言葉が、文献の中でも見られる<メイト>の正式名称であるらしいことを知っていたのだから。
つまりこの<メイトと思しきもの>は、紛れもなく<メイト(=メイトギア)>だということだ。
「やはりメイトなのか…?」
「恐らく…九分九厘間違いない…」
千治がそう応えると、美園の体が小刻みに震えていた。あまりの事実に勝手に震えてしまうらしい。
「村長…!」
秘書の
「ああ…大丈夫…大丈夫だ……」
だがこの時、それがメイトであるという以上に、
『<あさぎ>とお呼びください』
とそれが言ったからだ。自分と同じ名だということに、彼女は驚いていたのだった。
しかしその日はもう、それ以上分かることはなかった。簡単なインフォメーションメッセージを告げるだけの今の状態では複雑な受け答えができず、やはりちゃんと再起動してからもっと詳しいことを調べようということになった。
美園は、
「市長に報告しないと…!」
と、
その間も、
重蔵の家に集まり、そのまま皆で酒を酌み交わすことになった。
こればかりは、従来の社会規範のようなものが意味を失くしたが故のことなので、誰も責めることができないだろう。
そもそも彼女らは<見捨てられた人間達>なのだ。三千年余り前に起こった大惨事において……
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