前衛的勇者

たいやき

前衛的勇者

「緊急だよ。緊急!村の外れの洞窟に住み着いているドラゴンに国が、賞金600万$を出した!」


「こりゃあ、大変だ。一体どんな勇者様が来られるのだろう。」


筋骨隆々な勇者なのか、それともライフル一つで獲物を狩るような勇者なのか。


村人たちの胸は昂まった。


しかし村人達の思いとは裏腹に、そのまま数週間の時が経った。


「ごめんください。ここの村の外れにいるドラゴンに賞金を懸けられたと聞いて来たのですが…。」


遂に村人達が待ちに待った、勇者様のお出ましである。


しかし、その勇者は勇者では無かった。正確にいうと勇者なのかもしれないが、村人たちが思い描いていた姿からは程遠かったのである。


彼は鎧なんて着ていなかった。持っているのは、金属は金属でも、剣ではなく小さな板のような物だった。


「失礼ですが、勇者様。本当にそれでドラゴンを倒せるのでしょうか?」


村人の一人が勇者に質問した。


「倒せる自信がなかったらここまで来ません。」


勇者はニコニコしながらしかし嫌味ったらしくこう答えた。 


村人に洞窟までの道のりを教えてもらい、その洞窟の中で遂に勇者はドラゴンと相対した。


勇者は手に金属の板を持ち、その背面にある黒い粒をドラゴンに向けながら何やら言い始めた。金属製の板の表面には、ドラゴンとLIVEの文字が映し出されていた。


しかし、ドラゴンはドラゴンで勇者が持っている物と同じ金属の板をずっと眺めており勇者のことなど、まるで気にしていないようだった。


「貴様が、この洞窟に棲むドラゴンか。」


「ああ、そうだ。」


「何故高貴な存在であるはずのドラゴンがここに居る?お前本当は落ちこぼれなんだろ。はーい。みなさん見ていますかー。ここに落ちこぼれのドラゴンさんがいまーす。ホントだっせえな。おまっe


ぷちっ


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「おいおい見たか。今の映像。」


「ああ。あいつ勇者だわ。ホント。」










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前衛的勇者 たいやき @taiyaki05

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