第3話 スモアs'more〜食べ物として欠陥商品でしょう?
キャンプといえば、スモア~s'more
スモア、それはカナダで知らない人はいないスイーツというか、デザート。
「そんなに有名ならば、お土産で買ってきてよ」
と言われても、みやげもの屋で簡単に手に入る類のものではない。
実際、カナダみやげでスモアもらった人などいないはず。
なぜなら、スモアは自然の中で、卓越された技術を駆使して初めて食べられる物だから。
そんなスモアの作り方
1. まず屋外で火をおこし、薪をくべ、『焚き火』を用意。
2. デザートタイムまでじっと待つ。いきなりスモアを作り始めるわけにはいかない。なぜなら、スモアはあくまでデザートなのだから。デザートタイムに入ると、おもむろに各自、マシュマロの吟味に入る。お気に入りのマシュマロが決まると、長い鉄製の串の先端にそれをぶち刺す。
3. 焚き火にマシュマロを近づけ、遠火で四方八方いいあんばいに焦げ目をつけていく。この時、近づけすぎるとあっという間に真っ黒になるので、その場合は新しいマシュマロでやりなおす。そして、さらに気をつけなければならないのは、マシュマロが熱されると、外はカリカリ、内側はとろとろになってくる。そうすると、とろとろ部分は串からずり落ちやすくなり、結果、地面に落下する事がまま発生する。その場合、やはり新たなマシュマロで再挑戦。
5. いよいよ、いい感じのマシュマロができたら、つぶさないように気をつけつつ、串からそっと外す。
6. グラハムクラッカーを2枚用意し、各々にチョコレートクリームを塗り、クラッカー→チョコクリーム→マシュマロ→チョコクリーム→クラッカーの順で積み上げる。
ようやく、できあがり。
そして実食。
味の感想はひとこと『甘い』だ。
クラッカー(やや甘)→チョコクリーム(普通甘)→マシュマロ(極甘)→チョコクリーム(普通甘)→クラッカー(やや甘)の全面甘い攻撃。最終的に外国でありがちな、悶絶もんの甘さのスイーツになっている。
結果、辛党の私には、苦労のわりに、さしておいしくない。
しかも、クラッカー(固)→チョコクリーム(柔)→マシュマロ(極柔)→チョコクリーム(柔)→クラッカー(固)のサンドイッチ構造なので、噛んだ際、(固)に挟まれた(柔)が脇から押し出され、だだ漏れになる。
人間の性として慌てて漏れた部分を口ですくい取ろうとするも、熱されたマシュマロの半端ないベタつき、そのマシュマロの熱でゆるくなったチョコクリーム、更にそれにくっつくクラッカーの細かいくずで、顔も指もやられる。
どう考えても欠陥商品。
しかし、カナダでキャンプといえば、スモア。
ノーとは言えない、スモア。
さしておいしいとも思わないまま、私の焦がしマシュマロのテクだけが年々、確実に上昇中。
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