深まる疑惑 2
「そ、それってつまり、ウェーリ伯のお嬢様ってことなんじゃ……」
「いやいや、たしかなぁ、妾との子で、認知されてないんじゃなかったっけかなぁ。それで生活が苦しくて、レイングランドに渡ってきたんだよ」
「ウィリー、詳しいのね……」
「ま、宮殿の人間の背景ぐらいは、だいたいな。シルバは知ってんのかね?」
「結婚の約束を、していたそうですよ。でも、ロッテはありえないからと……」
「まぁ、普通に考えるとそうかもなぁ」
「それから、ロッテは、ミスター・ハワードに、なにか難しい贈り物をねだってしまったと、とても悔いているようでした」
「……贈り物?」
ずっと黙って話を聞いていたフローレンスが顔をあげた。
「シルバを困らせる贈り物って、何?」
「さあ、そこまでは…………でも、なんだか話を聞いていて、色々と気になってしまって」
急に黙りこくった男性二人の表情も険しい。私たちは沈黙の中でしばらく、それぞれに考えを巡らせていた。
「……エイミー、その勘を、もう一息働かせてみろよ」
ウィリーは腕を組んで、たたんだ新聞を睨みつけている。
「俺や警察がいま疑っているのはシルバ・ハワードだ。奴は今、ブライト領にいる。その隙を狙って突然屋敷を去るメイド……二人は恋人同士……難しいプレゼントをねだる、ウェーリの貴族の血を引く女。……ほら、なぁんか、ぞっとしないか?」
「……たしかに、私もちょっと気になって、だからあなたたちに相談したつもりだったんだけど……」
フローレンスは眉間にしわを寄せて、不快感を隠そうともしていない。それを見て、私の違和感がじわじわと不安に変わってくる。
点と点がいま、繋がりかけているような気がする。そんな焦燥感で、黙っていられなかった。
「……フローレンス様。乙女と四季の盗難に、ロッテが関わっていると、思いますか……?」
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