イ-21)配剤 or 采配/加・減⑴
(記2021/4/8)
思想に色いろあるようだけど、加点主義と減点主義の二種の思想に分かれるかも‥分かれないかもって思いました。今回の発端は、あぶく(泡)のなかに袴田(はかまだ)事件が浮かんだのです。ご存知のかたは多いと思いますが、55年前に逮捕され・死刑が確定し・それでも今まで無実を訴え続けてこられた方の再審が話題になっています。裁判所は公正であろうとしますが、決着の如何に世間の関心は集まっています。ここで事件の内容にあぶくの関心はありませんので置いておきます。
刑事裁判の当事者は誰かしら? Ⓐ被告人・弁護人 Ⓑ被害者 Ⓒ検事 Ⓓ判事 ‥先ず、この四者でしょうけれど、あぶくはⒺ国民 を忘れてはならないと思います。刑法は国民が承認して作られていますから、刑法の結果責任(尻拭い)は国民に掛かります。結果責任を小さくする意味で裁判の迅速化は効果を発揮します。米国では死刑判決が下されてから短期で処刑されている現実があるようです。長期に及ぶ裁判では経費(税金)が多く使われますから経費節減のためには短期処理が喜ばれます。
米国国民の意思は経費重視として、経費がモッタイナイという声は日本でも聞きますが、冤罪を望まない国民の声のほうが多いようです。米国での冤罪処刑は多くても、米国民が支持する刑法であれば冤罪で処刑された人々の気持ちは無視されることになります。袴田事件の報道にみるように冤罪を起したくない日本人は多いようです。もっと端的に申せば「冤罪NO派」と「冤罪は仕方ない派」に分れます。NO派を死刑廃止論者が後押しします。仕方ない派を死刑存置論者が後押しします。
刑法は「減点主義」でないかしら?罰する思想は減点主義の産物と言っても言い過ぎでないと思います。仮に誰かがあなたを傷つけたら?怒ったあなたはその怒りに応(こた)えようとします。これが罰です。あなたは袋を持っていて、その袋には点数が入っています。怒りに応じて点数が漏れます。この袋を堪忍袋と申しますが、あなたの堪忍袋の緒が切れたとき罰を下すことになります。お目こぼしで済ます場合もありますけれど、過料刑・罰金刑・懲役刑・禁固刑・死刑‥これが刑法でしょう?
判事は判決を下すのが職務ですから下さなければなりません。どうやったら公正な裁きが可能でしょうか?減点主義の思想の下で判事は失敗できません。無罪か有罪か分らないのに判決を急がせる米国民。「法の支配」の国であれば『支配者に瑕疵はない』という思想がまかり通ります。結局、法の過ちは「過ちでない」とする思想。冤罪は気にしなくて構わない米国の判事であれば己の犯した過ちに心を咎められることはないでしょうか?私たちの国・日本の判事には良心が具わって見えます。
刑法の神は邪悪であっても、個々の判事の心の神は正義を望む。この法の矛盾に悩まされる判事でしょう。検事も過ちを犯したくない・赤点を貰いたくない。精一杯の調査結果を主権者に報告した‥その報告に過ちはないという自信を持つ。「証拠が揃ったら立件する」という義務を負う法曹。その証拠で無罪推定が可能であっても検事は有罪と言う義務を負う。その同じ証拠で弁護士は無罪と言う義務を負う。過ちを犯したい人はいない。過てば減点・出世にも響く。それで国民の責任は?
俺には関係ない事件‥そうやってノホホンと過ごしてきて自分の番が回ってきます。困ったときはSOSを発しますか?困ったときは遠慮せずに周りの誰かにSOSを発していいのです。検事を悪く言う人があって、弁護士を悪く言う人があって、司法を悪く言う人があって、国民を悪く言う人だけは嫌われませんか?国民の責任だっていうのに‥ちがいました?そりゃあ、減点されるのは国民もお厭なのは分らない訳ではありません。けれど事は国民が出なければ決着は付かない問題に思えます。
減点主義の法律に縛られて最早身動きが取れなくなっている人や組織が殆んどかも知れません。法の支配の真実は「国民の上に法(神)を置くことではない」ように思います。法と人との力関係を見直す哲学の出番があって好いかも知れない。神に支配されて佳しとする低劣な思想でなく、自分の神・自分の法を誉めてあげたい関係を築けたらどうかしら?あぶくにはそう想えてなりません。自分を諌め・護ってくれる「神=法」が好いなあ。無神論者には法しかありませんけれど、神は個々人のモノ!
神は個々人のモノという感覚であぶく(泡)と共鳴できる米国人・世界市民は多いかも知れない!
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