第8話二重人格
「な、なんのことですか……? 僕はただこの道を通っただけですよ……。追いかけられてるなんて……ちょっと自意識過剰なんじゃないですか……?」
僕はおびえながらも必死に言い訳をする。
いつからばれていた?
もしかしてあの信号からばれていたのだろうか……?
というか何故ばれた?
こんなに暗いし、距離も十分とって追いかけていた。
ばれる要素は一つもなかったはずなのに、どうしてばれてしまったんだろう……?
僕は焦りと疑問で内心生きた心地がしなかった。
もしかしたら明日にはストーカー野郎としていじめられてしまうかもしれない……。
僕は冷静を
すると笹川詩織は、ドンっと大きく一歩ほどこちらに寄ってきた。
「ふーん……。あくまでしらを切るつもりね……。言っとくけど、どんなに言い訳をしても無駄よ。あなたが最初からつけてきてるのなんて分かっていたから、あらかじめ携帯で撮影していたの」
……。
笹川詩織のその言葉に僕は絶望した。
もうだめだ。
多分明日から変態ストーカ-眼鏡としていじめられながら生きていくんだ……。
どうして笹川詩織を追いかけようなんて思ってしまったのだろう……。
あの時笹川詩織が話しかけてこなければ、こんな過ちを犯すこともなかったのに……。
そうだ……。
もとはと言えば全部こいつが悪くないか……?
コイツが朝話しかけてこなければ、こんなことにはならなかった。
そう思うとだんだんとむかついてきた。
僕は自転車から降りると、笹川詩織の前に立ち。
「僕は確かに君のことをストーカーしました。だから何? 学校の奴らに言いふらすの? 別にいいさ、今更どう思われようが知ったことじゃない! 僕にはもう失うものなんて何もないんだから!」
開き直ったように、僕はそう言ってやった。
さすがの笹川詩織もこれには驚いたのか、口を歪めていた。
「あなた、急に別人のようになったわね……。もしかして二重人格? それとも精神病じゃないの?」
冷たい声でそう言ってくる笹川詩織だが、それだけはコイツに言われたくない。
「二重人格って、君の方こそそうじゃないの? 昼間と性格が全然違うじゃないか」
今の笹川詩織と昼間の笹川詩織は全く性格が違う。
きっと普段は猫を被っていて、今が素の状態なのだろう……。
ここまで性格が変わってしまうなんて、女は怖いと思った。
僕が笹川詩織にそう言い返すと、言われた笹川詩織は図星をつかれたような顔になった。
「に、二重人格って、あなた中二病じゃないの? そ、そんな人いるわけないじゃない」
「いや、二重人格の人は実際に存在するけど……」
明らかに動揺していた。
もしかして本当にそんなことがあるのか……?
確かに昼間と性格が全然違うけど、まさかそんなこと……。
っと思ったが、笹川詩織の顔はみるみるうちに青ざめていっていた。
え?
本当にそうなの?
自分から僕に二重人格とかいっといて、自分がそうなの?
だとしたら相当頭が悪くないか?
僕は笹川詩織の方をじーっと見ていると、笹川詩織はいきなり僕の腕を掴んで走り出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます