第2話意外な人物
「えー皆さん、今日から新学期が始まりましたが気を引き締めて、立川生として節度ある学生生活を送っていきようにしましょう。くれぐれもトラブルなどは起こさないように」
体育館に着くなり校長の話を聞かされる。
ほとんどの生徒は興味がなく、ほとんどの生徒が寝ているか雑談をしている。
もちろん僕もこんな話はどうでもいいのだが、ここで寝てしまったら教師たちの僕への評価が下がりそうなので真面目に聞いている……。
「それでは皆さん。長くなりましたが話は以上です」
校長の話が終わると同時に、A組から順番に教室に戻っていく。
そしてA、B、C、D組の生徒達が体育館から出ていき、僕たちE組も後に続くように体育館を出ていく。
教室に着くと、担任の鈴木先生が教卓の前に立ち。
「えーと皆さんこちらを向いてくださーい」
っとクラスメイトの注目を集めた。
「今日はもう全員居残りなしで下校です。明日からは授業があるのでしっかりと準備してきてください。では、かいさーん」
今日の時間はここまでか……。
クラスメイト達がぞろぞろと教室を出ていくので、僕も後を追うように教室を出ていく。
いつも通り誰とも喋らず、いつも通りの道をたどって家に帰る。
「ただいま」
小さくボソッとそういうと、すぐに自分の部屋に行く。
自分の部屋に着くなり、僕はしまってある一年生の頃の教科書を取り出す。
そしてその教科書を机に広げると、そのまま勉強を始める。
趣味なんてものがない僕は、暇な時間をずっと勉強に割いている。
趣味もなく目標もないつまらない人生……。
でもそんなつまらない人生でも、いい大学やいい企業に行けば何かしらいいことがあるかもしれない。
そんな希望を夢見て、僕はずっと勉強をしている。
…………。
もう何時間たっただろうか……?
窓の外を見てみると、もう空は真っ暗になっていた。
時計を見ると、その針は六時ニ十分を指していた。
集中していせいか、時間が経つのが早く感じる。
集中力が切れたからか、グーっと腹が鳴った……。
そういえば朝から何も食べていなかった……。
そろそろ夕食なのだが、その前に何か軽く食べたいと思った僕は、近所のコンビニに足を運ぶことに決めた。
制服姿にクロックスを履いた格好のまま、僕は家を出ていく。
三分ほど歩いてそのコンビニに着くと、僕は雑誌のコーナーなどを無視してお菓子コーナーに行く。
そこからプリンなどの甘いものをかごの中に入れると、すぐさまレジに並ぶ。
甘いものは良い……。
勉強で疲れた頭を糖分が
僕はそんなこれからの楽しみを想像しながら前を向くと、まだ順番が回ってきそうになかったので店内を見渡す。
食品コーナー、お菓子コーナーと左から順番に見渡していき、最後に雑誌コーナーに目を向けると、そこには僕と同じ制服を着た女子生徒が雑誌を立ち読みをしていた。
黒髪のロングヘアーの女子生徒の、コンビニで雑誌を立ち読みをしているというその姿はとても似合わなかった。
何故女子高生がこんな時間にコンビニの雑誌を立ち読みしているのだろうなどの疑問はあったが、何より思ったのがその女子生徒の後ろ姿は何故だが見覚えがあったということだ……。
僕がその女子生徒の方をじーっと見ていると、その女子生徒は持っていた雑誌を閉じるとそのまま振り向いてレジの方に向かってきた。
そして僕は、その女子生徒の顔を見た瞬間ぎょっとした。
何とこんな時間にコンビニの雑誌を立ち読みしていたのは、あの誰もが知る笹川詩織だった……。
コンビニとかそういう場所から一番遠いい存在だと思っていた彼女が、まさか雑誌を立ち読みしているなんて思いもしなかった……。
でも別にどうでもいい。
誰がどこで何をしていようが僕には関係ないことだ……。
僕は持っている商品の会計を済ませると、すぐにそのコンビニを出て家に帰った。
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