三話 対決! 伊藤ほのか VS 押水一郎 挫折と嘘 その九

 風紀委員室は使えないので、俺と伊藤は体育館裏に来ていた。以前不良を追い払ってからは誰も通らないので、話をするにはもってこいだ。

 伊藤がいなくなってからどうなったのか、簡潔に話した。

 風紀委員は現在、来年度から始まるプロジェクト、スクールアイドルの準備を手伝うことになったこと、押水の件は保留になったことを説明した。

 押水にまた女性が増えつつあることも付け加えた。

 伊藤は最初は笑っていたが、事態が押水に都合よすぎる展開になっていることを聞くたびに、暗い表情になっていく。


「……以上だ。伊藤、何か打開策はあるか?」

「……ないですよ。全部失敗しちゃいましたし」

「そうか」


 俺も伊藤も押し黙ってしまう。

 曇りで太陽は出ていないが、それでも蒸すように暑い。

 お互い何も話さず、時間だけが過ぎていく。


「ずるいですよね」


 伊藤がぽつりとつぶやく。


「ずるい? 押水のことか?」

「そうですよ。何もしないでモテるなんて馬鹿にしすぎです。男の子はどうかは知りませんけど、女の子はモテる為に、少しでも可愛くみせる為にどれだけ努力と苦悩をしているか……その千分の一でも知るべきです、彼は」


 伊藤の意外な言葉に、俺はつい聞き返してしまった。


「伊藤でも努力しているんだな」

「当たり前ですよ!」


 伊藤がムキになって反論する。伊藤の顔は怒りと悲しみが混じっていた。


「肌の手入れや服装、髪型、アクセにどれだけ時間とお金をかけていると思ってるんですか! 欲しい本もお菓子も我慢しているのに……全然楽しくないのに……」


 最後は聞き取れないくらいに弱々しくなっていた。


「辛いのか?」

「辛いですよ。でも、仕方ないじゃないですか、周りがそうさせるから……みんながそう言うから……」


 みんな……これが伊藤を苦しめている原因なのだろうか?


「周りやみんなって誰だ? それは伊藤の幻想じゃないのか?」

「幻想じゃない! 言われたもん!」


 伊藤は疲れきった顔でうつむき、体育館の壁にもたれかかる。

 伊藤は自分の過去を話し始めた。


「地味な子……そう言われました。私、中学二年生までは普通のおとなしい子でした。何の特徴とくちょうもない、ただ真面目で本が好きな女の子でした。人と付き合うより本の中の出来事のほうが面白くて……漫画や小説の最新刊がでるたびに嬉しくて楽しくて……それだけで満足でした。でも、言われたんです。地味な子って」


 伊藤は空を見上げた。昔の辛いことを語っているせいか、笑顔はなく、泣きそうな顔をしている。


「ある日突然、友達だと思っていた子にみんなの前で罵られました。ショックでした。信じていたのに……」

「伊藤、もういい。もういいから」

「地味だから彼氏がいない、面白みがない、一緒にいても楽しくない、友たちが少ない……散々でした。何で好き勝手言われなきゃいけないのか分かりませんでした。悔しくて悲しくて……泣いた後思ったんです。見返してやるって」


 伊藤は自分の髪をいじりながら話を続ける。


「それからは自分を変えるためにいろんなことをしました。みんながうらやむキラキラな学校生活を送るために化粧して、髪を脱色して、制服を着崩きくずして……恥ずかしかったけど、スカート短くして、胸元開いて……好きでもない音楽も、みんな歌っているから聴いて覚えて歌って……キャラ作って空気読んで……。楽しくもないのに笑うのが一番辛かったです。後からくるんですよね、私、何やってるんだろうって自己嫌悪が」

「……」


 雨がぽつぽつと降りはじめた。伊藤の頬が雨で濡れる。その姿は泣いているように見えた。


「高一の夏休みでした。男の子から告白されたんです。それも同じ日に三人も……でも、ひと夏の思い出っていうんですかね、Hしたい、童貞を卒業したいって魂胆こんたんがみえみえで……でも、ふっちゃうと調子乗ってるって周りから思われるから……返事は保留にしました。そしたら、いつの間にか三人と付き合ってることになってて。断ろうとすると怖い顔されて、言い出せなくて……でも、男の子と付き合ったことないのに三人同時なんて続くはずもなく、バレて……全て私が悪いみたいなことになって……またいじめられる、ハブにされる、今までの苦労が台無しになると思ったら泣いていたんです。そんなときでした。橘先輩に会ったのは」


 ここで左近が出てくるのか。だが、左近はどうして伊藤の悩みに気づき、手を差し伸べたんだ? 伊藤を利用するためだけか? 左近にしては回りくどい気がする。

 疑問は残るが、俺は伊藤の話に集中することにした。


「橘先輩に事情を聴かれてた時、わらにもすがる想いで話をしたら、交換条件を出されました。今の状況を解決してみせるから、手伝って欲しいって。そのとき、私は男の子が怖くなっていて、橘先輩も怖かったです。でも、この苦しみから解放されるなら……そう思うと提案に乗ってしまいました」

「そうか」


 そこから先は簡単に想像がついた。左近が伊藤の悩みを解決し、俺の補佐を伊藤に頼んだ。

 左近は伊藤の悩みを一時的に解決してみせたが、根本的な解決はしていない。それを俺にやらせようとしている。だが、なぜ俺なんだ?


 左近は言っていた。俺と行動をすることが、伊藤の問題の解決になると。その意味は伊藤の話を聞いても掴めない。

 左近、お前は俺に何をさせたい。どうしたら、伊藤の悩みを解決する手助けになってやれるんだ? 俺が誰かを救うような人間じゃないことを、左近はよく知っているだろ。


「ごめんなさい」


 伊藤が謝ってきた。目に涙をため、泣きながら謝っている。その姿に怒りが湧いてきた。

 悪くないのに謝っている伊藤に。慰めることができない無力な自分に。


「なぜ謝る?」

「……先輩には黙っていたんですけど、実は私、計画その四や五も先輩に隠れて実行していたんです」

「なるほどな……」


 これで理解できた。

 なぜ、押水姉が強攻策に出たのか、ずっと不思議だった。

 押水姉が俺に警告してから、俺は何もしていない。押水姉の怒りが収まった後、再度、押水姉に連絡し、俺の策でケリをつけるつもりだった。

 俺の策はもう、つかえないだろう。押水姉は実力行使に出た。もし、これ以上、押水に手を出せば、今度は俺を風紀委員から追い出すつもりだろう。


「怒ってますか?」

「多少な。だが、それは伊藤が本気でこの一件をなんとかしたくてやったんだろ? なら、文句は言えん」


 伊藤のやり方と俺のやり方、どっちが正しいかなんて結果が出なければ分からないだろう。

 俺のやり方では問題を先送りにするだけ。

 伊藤のやり方では、問題が解決ができたとしても、遺恨が残る。

 成功するのも、失敗するも実際にやってみないと分からない事だ。

 ならば、自分を信じて行動するだけなのだが……。


「違います」

「違う?」

「だって私、本気じゃなかった。喫茶店で先輩に注意されたとき、反省どころか、怒っていたんです。私のこと、邪魔者扱いする先輩に逆ギレしていたんです。だから、私は先輩を見返したくて行動していただけだった……真面目に頑張ってる先輩や、彼を慕う女の子達に対して失礼でした」


 見返したくてか……。

 伊藤の告白を聞いて、最初に思ったのは怒りではなく、申し訳ない気持ちだった。

 俺はもっと伊藤に気をかけるべきだった。左近から何度も頼まれていたのに、俺は何もしてやれなかった。それどころか、キズつけてしまった。

 もっと、伊藤のことを頼りにしていれば、伊藤をここまで悲しませることはなかったかもしれない。

 申し訳ない気持ちでいっぱいになる。


「後輩の不手際は先輩の責任だ」


 だから気にするな。そう言いたかった。


「先輩らしいですね。少しは気にしてくださいよ。悩んでいる私が馬鹿みたいじゃないですか」


 伊藤は背を向ける。これ以上、泣いているところを見られたくないのかもしれない。

 結局、口下手な俺では、伊藤を慰めることすらできなかった。

 ならば、黙っていよう。


 俺は伊藤のことを考えていた。

 伊藤のいう『みんな』とは無責任な風評だと思っていた。実態じったいのない思い込みの偶像だと。

 俺にも経験がある。

 みんながいうから、みんながそうしてるから……誰かも分からない『みんな』に踊らされて、自分の意見を持たない優柔不断な回答だと思っていた。


 しかし、伊藤は違った。実際に言われて傷つき、自分を変えようと、『みんな』と同じになろうと努力していたのだ。

 そうすることで、自分を罵った友を見返すつもりだったのだろう。

 伊藤はリベンジを果たせたのだろうか? 果たせたとして、彼女は満足しているのか?

 いや、していないからこそ、悩んでいるのだろう。

 伊藤の悩みを解決する方法は……駄目だ、思いつかん。


 考えろ。

 俺にできることなんてたかがしれている。それより解決しなければならないことから対応するべきだ。悩んでいるのは伊藤だけじゃない。


「先輩……」


 伊藤は笑ってみせたが、まだ回復してはいないようだ。笑顔に影がある。


「これから……どうするつもりですか?」

「どうするとは? やることは最初に説明したとおりだ」


 押水の対応だ。

 このままでは風紀委員がなくなってしまう。なんとかしなければ、俺達がやってきたことが水の泡になってしまう。

 それだけは避けなければならない。


「でも、んでますよね」

「まだやれることはある。今は反撃の準備をしている最中さいちゅうだ」

「本当にいいんでしょうか?」


 伊藤の瞳が不安げに揺れる。


「いいとは?」

「だって……私達が何してもダメだったし、余計に状況が悪くなってます。もう、無視してもいいんじゃないですか?」

「伊藤はそれでいいのか?」


 伊藤はぶんぶんと頭を振る。


「よくないですよ。でも、やっぱり世の中勝ち組ってあるじゃないですか……彼は勝ち組なんですよ、きっと。物語の主人公です。モブである私達がかなうはずないのかもしれません。それに先輩の言う通りです。私の作戦がもし成功していたら、彼が誰か一人の女の子を選んでしまったら、誰が幸せになれるのでしょうか? フラれた女の子はどうなるのでしょうか? 報われない気持ちはどこへいくのでしょうか?」


 伊藤の問いに、俺は何も答えられなかった。俺も、押水に彼女が一人できればいいと思っていた。しかし、フラれた女の子のことを真剣に考えていただろうか?

 恨みを買うことは分かっていた。それほどの強い想いだとも理解していたはずだ。

 けれど、伊藤の作戦がうまくいきそうになったとき、俺は何をした? 伊藤の作戦がうまくいくよう祈ったではないか?


 俺も伊藤と同じだ。問題の解消ばかり考えていて、その後のことを考えていなかった。

 俺はこの一件をさっさと終わらせたかった。俺の相手は悪さをする不良共だ。

 だから、適当に切り上げて、自分の本来の役目を果たそうとした。

 そのせいで、押水を慕う女子も伊藤も傷つけた。風紀委員も存続の危機に陥った。

 この現状は相手のことを考えず、自分勝手な行動をした報いだろう。


 俺も伊藤も反省することばかりだな。でも、それでも……。

 伊藤の懺悔ざんげが続く。


「人様の恋愛を他人の私達が口出しするなんて、おこがましいですよね? はははっ……本当に情けないです。私、全然恋愛のこと、分かっていませんでした。私達、間違っていましたか?」

「そんなことはない」


 それだけは言い切れる。勝ち組だろうが負け組みだろうか、俺達のやり方が間違っていようが関係ない。

 確かに押水達の恋愛に口出しする権利はないだろう。だが、押水達の行動で迷惑をかけられている人達はいる。風紀が乱れている。

 それならば、風紀委員として行動するべきだ。


「そうでしょうか? 自分一人だけ真面目でも、周りと違えば後ろ指をされましたよ。周りに受け入れてもらえなければ生きていけません。今回だって、あれだけあおったのに、周りは何の反応もないじゃないですか。それって、彼の行動はみんなから受け入れられているんですよ。でしたら、私達二人がいくら頑張っても無駄ですよ。それどころか異端扱いたんあつかいですよ。私、ハブにされるのはもう嫌です」

「……そうだな。俺も仲間はずれにされたことはある。辛いな」


 孤独はまだいい。自分の意志でなれるから。でも、一人にさせられるのはとても辛い。


「でしたら……」

「貫くは己の意思。恥じるべきは自分を誤魔化すこと」

「えっ?」

「祖父の言葉だ。一人にさせられるのは辛いが、それでも、納得いかないことを押し付けられるよりはマシだ。そっちのほうが何十倍も辛い。俺は今回の件は、周りが押水に言いたくてもいいだせないだけだと思う。だったら俺一人でもやり遂げるだけだ」


 人は一人では生きていけない。だが、一人でも行動はできる。その行動が周りを変えていくことだってある。俺はそれをよく知っている。

 それに俺はある理由で祖父を尊敬している。祖父の口癖を真似るだけで勇気と強い意志がわいてくるし、その言葉を信条に生きていきたい。

 たとえ、どんな辛いことがあってもだ。


「先輩、昔、何があったんですか?」


 伊藤の問いに、俺は目をつぶり、黙り込む。


「あ、聞いちゃマズイことでした? すみません……」

「……いじめにあった」

「えっ……」


 伊藤は自分のことを、辛い過去を話してくれた。俺も簡潔に話そう。

 俺の根底にあるものを。なぜ、不良に立ち向かうのかを。


「親友がイジメられていたんだ。助けようとしたが、多勢に無勢で、逆にイジメの標的にされた。親友を助けることができなかった。後悔した、苦しんだ。でも、俺達をイジメたヤツは平気な顔をして過ごしている。こっちの苦悩を知らないで……納得できなかった。周りが助けてくれないのなら、一人でも解決するために行動しなければならない。そう思ったのがきっかけだ。それ以降は自分から行動するようにしている。ただ、それだけだ」


 そう、それだけ。本当にそれだけだ。

 自分にいい聞かせるように伊藤に告白した。


「……すみません、辛いこと思い出させてしまって」

「昔のことだ、気にするな」


 伊藤の顔は暗い。相当参っているようだ。仕方ない。


「で、伊藤はどうする? 強制するつもりはない。嫌ならおりていい」

「……」


 返事がない。ここまでか……。

 そう思ったとき、伊藤は急に、雨空に向かって叫んだ。


「雨ヤンデー!」


 もちろん、雨はやまなかった。俺は伊藤の奇抜きばつな行動に唖然としてしまった。


「ど、どうしたんだ、伊藤?」

「ハハッ。アニメであったんです。ヒロインが叫んだら雨がやんだって話。それで前に進んでいくんですけど、現実はやっぱり、やまないですよね。モブの私には無理です。奇跡でも起きない限り、彼を止めることはできませんよ」


 伊藤は諦めきった顔をしている。辛いことを思い出して、心が弱っている。

 元気になって欲しい。こんなのは伊藤らしくない。

 生意気で……反抗的で……お調子者で……でも、根性があって、人を想いやれる心がある。


 伊藤が元気になる方法があるのなら……奇跡を望むなら……お望み通り奇跡を起こせばいい。

 雨空を見上げた。この雨を止めるには……。

 隣で伊藤の気配がする。黙って空を見上げている俺を不審に思っているのだろう。

 この雨は止む。俺達は前へ進むんだ。息を大きく吸い……。


「雨やめぇえええええええええええええええええええええええ!」

「ひゃ!」


 伊藤の驚いた声が聞こえてきた。

 今も雨は降っている。

 降っている……降って……。


「うそ……」


 雨の勢いがだんだんと弱くなり……やんだ。

 隣を見ると、伊藤はぽか~んと口をあけたまま、空を見ていた。

 空は……晴れている。


「な、なんで? なんでなんでなんで! うそでしょ! やんじゃったよ!」


 伊藤が詰め寄ってくる。

 どうだ? 元気になったか?

 笑いをこらえて、そっけなく伊藤に告げる。


「別に驚くことじゃないだろ?」

「驚きますよ! えっ? なんで? 意地悪しないで教えてくださいよ、先輩!」


 伊藤は悩んでいたことなど忘れて俺の体に密着して、どういうことか聞き出そうとしている。その姿は無邪気にはしゃいでいる子供の姿だった。

 その姿こそ、本来の伊藤であると思った。

 今日は俺から説明してやるか。


「あのな、伊藤。夕立だぞ? やむに決まってるだろ」

「ゆ、夕立だからって、なんで先輩が叫んだらやむんですか? ずるい! 私の時はやまなかった!」

「雨がやみそうなときに叫んだからだ」

「あっ」


 伊藤は間抜まぬけな顔になっていた。そう、待つだけでいい。雨空の様子と雨の降る量から想像はできていた。

 だから、やむタイミングを待って、叫んだだけだ。

 俺の回答に、伊藤は大笑いしている。


「何コレ! 馬鹿みたい! 奇跡でもなんでもない!」

「当たり前だ。でも、奇跡がなくったって止められる。それに伊藤も俺も大事なものを見ていない」

「大事なもの?」


 俺は伊藤にもう一度、意思を確認する。


「そうだ。俺はもう目をそらさない。どんな結末になろうとも、受け入れる。伊藤、お前はどうだ? このまま、泣き寝入りをするか? それとも、俺と一緒に見届けるか?」


 俺は伊藤に向かって、手を差しのばす。


「わ、私でいいんですか? 私、先輩に逆らってばかりだったのに」


 伊藤の手は空をさまよっている。俺の手を握っていいのか……自分に何が出来るのか、悩んでいる。

 俺は本心を伊藤にぶつける。


「伊藤、俺達は全然気が合わないよな。考え方や行動方針が全く違う。反発し合ってばかりだ。分かり合えないのかもしれない。だから、俺は遠慮するのをやめる。これからは言いたいことはハッキリと言わせてもらう。俺のことを知ってもらう。俺も伊藤のこと、理解するよう努力する。その、なんだ……俺が言いたいのは」


 俺が伊藤に伝えたいこと、それは……。


「伊藤の力を貸して欲しい。奇跡は起こせる。一人では無理でも、二人ならやれる。俺達はまだ負けていない。頼む、俺に力を貸してくれ」


 これが俺の精一杯だ。

 ハーレム騒動で沢山の女子を見てきたのに、女子の心を全く理解できていない事を思い知らされる。

 どんな言葉をかければ、女子が落ち着くのか、安心できるのか分からない。

 だったら、ありのまま話そう。嘘偽りない気持ちはきっと、人の心に届く。

 そう信じている。


 俺の手を伊藤は……。


「……私も遠慮しませんから」


 伊藤は俺の手を握った。

 小さな手だ。でも、心強い手だ。


「遠慮なんかしてたのか?」

「手加減していましたから」


 本当に憎まれ口だけは達者だ。

 俺達は肩を並べて歩き出す。

 伊藤はもう泣いていなかった。とびっきりの笑顔がそこにあった。

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