第11話 鈴麗
人の気配がする。ウチが中庭へと降りるのを待ち受けるかのように視線の先に少女が一人立っている。
「殺気立った気配の正体は貴女か。私から出向こうと思っていたところ」
「ふんッ!判ってもらえてたなら話ははええ。お前がジェネチャイナ代表…鈴麗だな
悪いがウチとの決闘を申し込ませてもらうッ!!」
「話が見えてこないな。何故に私と…」
(うらぁッ!!!!)
不意打ちを狙ったつもりが
ヘッドスリップで掌底をかわされる。
流石は代表選手だけはある。
「く…」
視線が交差する。
鈴麗は…ジッとコチラを見上げている。
掌底の引きが間に合いそうにない、
膝を垂直に持ち上げ、鈴麗の顎を跳ね上げる。
と、急所も急所、脳髄までに衝撃が達したのだろうか。鈴麗は糸が切れた人形の如くに
地面に突っ伏す。
勝ったのはウチなのに、何故か後味が悪い。倒したハズなのに殺意の気配が消えない。
全身に汗をかいていた。気絶させたとはいえ、一介の武人。意識を取り戻すのは早いかもしれない。とっさに恐怖にかられる気持ちとは真逆に手際良く衣装を剥いでいく。
蒼が際立つその衣装はウチが生まれ変わる心境とリンクしていた。
ジェネバトル国家代表権の証明証も同時に手に入ったのは、ありがたい。
鈴麗はリングネームだと聞いているし、
彼女の素顔を知っているのはロン一人だけ。
…今日からウチが鈴麗だ…
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