鈴麗GALsBOUT―RGB

天球儀ナグルファル!d(*´ω`🎀)

プロローグ


 「まちやがれ…この野郎!」

怒号が背に響く。言われてハイそうですか、

とはまてない。

両手が塞がってる為にスピードは出ない。

目についた狭い路地へと飛び込む。

だが、路地の先はドン詰まり。両側にも抜け出せる路はない。

「ハッ…もう逃さねえぞ。観念しやがれ」

禿頭の偉丈夫はそう言いながら前に一歩、一歩とにじり寄ってくる。

フリルのついた前掛けがその容姿とはあまりに不釣り合いだ。

「わかったよ。ウチが悪かった。じゃあオッサンと勝負して勝ったらパンをそのままくれるってのはどう?」

油断を誘う為にフードを脱ぐ。

どうやら功を奏したようで男の顔に下卑た嗤いが浮かぶ。

「おまえ、女だったのか…フン…おもしれえ。俺に勝てたらタダにしてやるよ」

「や・く・そ・く」


       (だよ)


 宙に袋を投げると同時にアスファルトを蹴立てて重心を前に倒す。

意表をついたようで男が身構えるスキを与えずサイドステップで死角に回りこむ。

そのまま水面蹴りで姿勢を崩し、浮いた相手の側頭部へ当たりをつけ振り向きざまに蹴りを打ちこむ。

「ぐ、が…あ」

そのままパン屋の店員は後方へと倒れ背を壁に預ける形で座りこむ。 

「おっとと。取り落とすとこだった。んじゃ悪いけどコレありがたく頂くよオッサン」

  (って聞こえねえか)

「…おまえ、名前は」

  (おっと、まだ意識はあるようだ)

「レイファン」

「あ…?」

「麗煌」

「麗…煌……か。フッ」

聞くと納得したようで

店員は頭からその場に崩れ落ちた。

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