カップル?

 放課後、松葉杖をついて校舎を出るしげる。玄関には藤すみれが待っていた。


「一緒に帰りましょ、先輩」

「あ、藤さん。大丈夫だって、毎日送り迎えしてもらわなくても。松葉杖も大分慣れたし」

「先輩、油断は禁物ですよ。慣れてきた頃が一番危ないんですから。はい、つかまって」


 藤さんが強引にしげるの腕に絡んできた。


「ちょっと……みんなに見られてるよ」


 恥ずかしがるしげる。


「カップルみたいに見えるとか?」

「いや……そうじゃないけど」

「違いますから。あくまで看病ですから。ね」


 藤さんはしげるの腕をさらに強く抱える。しげるは顔を赤らめた。

 その様子を桜小路舞が遠くからこっそりと見つめていた。

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