危機一髪
13:00。文化部室棟の前には校長とテロとの交渉を見にたくさんのヤジ馬が集まっていた。
口々にいろんな話をするヤジ馬たち。
「リーダーが捕まったみたいだぞ」
「え、さっきの女の子敵のスパイだったみたいよ」
「え、まさに『タイム・リミット』の展開じゃん」
一方、しげるが捕まっている『自由解放組』のアジトでも変化が見られていた。
「腹減ったな」
「ああ、昨日から徹夜だし、もう疲れたよ」
前日からの徹夜と空腹でテロたちは疲労困憊しているらしい。
「ねえ、もうやめにして帰らない?」
「何言ってんだ、フジ!この戦いは自由を勝ち取るためのものなんだ。疲れたなんて言わせない!最後まで戦うぞ!」
「もう、あんたテレビの見すぎよ」
「うるさい!」
フジを平手打ちするテロのリーダー。
「痛いわね。なにするのよ!」
「口答えするな!おまえは俺の言うことを聞けばいいんだよ!」
再びフジに平手打ちしようとするテロのリーダー。
しかし、振り上げた手が途中で止まる。
「女の子に手を挙げるのはサイテーだぜ」
「城ヶ崎先輩、なんで……」
テロのリーダーの手を止めたのは人質になっていたはずのしげるだった。
「桜小路さんが、紐をほどいてくれたんだ」
「え?お前ら、二人とも縛っていたいなかったのか?!」
「いや… …この子おとなしかったからこのまま座らせても大丈夫かなって思って」
「あの… …わたし余計なことしましたか?」
「くそっ!離せよ!」
テロのリーダーが手を振りほどこうとする。
しかし、しげるが強く握りしめる。
体操で鍛えた握力は強く、思わずテロのリーダーは悲鳴を上げる。
「うぎゃー!いててて……」
「リーダー、助けに来たぜ!」
突然安永が部屋のドアを開ける。
「ヤスケン、遅いよ」
安堵の溜息をこぼすしげる。
「バリケードはみんなで取り壊したから、みんな帰ろうぜ」
「サンキュ、ヤスケン。帰ろう帰ろう」
文化部室棟からでていく面々。安永と桜小路以外疲労の色が隠せない。
笑顔で迎える鈴井校長。
「みんな、避難訓練楽しかった?やっぱり普通じゃつまらないから、こんな展開もありかなって」
「もしかして、すべて校長の策略ですか?」
腰を抜かして座り込むしげる。
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