夜の公園

 ミッフィーはその頃家の外にいた。ものと一緒にあすか先生に投げられてしまっていた。ミッフィーはあすか先生宅に戻るのが怖くなり、暗い夜道を転がっていった。


 ミッフィーはしばらく夜道をさまよった後、とある公園にたどりついた。いつもモモと散歩にくるなじみの公園だ。ミッフィーが夜の公園をさまよっていると、突然丸いボールのようなものが高速で近づいてくる。痛恨の一撃!ミッフィーは150のダメージ!ミッフィーは気絶した……。


「あっ、ミッフィー!ミッフィー、大丈夫!ごめん、ミッフィー。なんで、こんなところにいるんだよ?!」


 その声にミッフィーが目覚めると、目の前にいたのは安永拳であった。どうやらミッフィーは安永の蹴ったサッカーボールに当たって気絶したみたいだ。


「ああ、よかった気がついて。それよりも早く電話しなきゃ」


 安永は携帯電話でモモに連絡をとった。


「あれ、ヤスケンどうしたの?」

「ああ、モモッチ。いま、公園にいるんだけど、ミッフィーがいてさ。迎えにきてくれないか?」

「え、ミッフィーそこにいるの?まったくどこをうろついていたのよ、もう。うん、わかった。すぐそっちに行く」


 十分後、モモは公園に着いた。噴水の前で安永とミッフィーが待っていた。


「ヤスケン、ありがとうね」

「うん、見つけたのは本当に偶然だから。ほら、ミッフィー、ご主人様が迎えに来たよ」

「ヤスケン、おとといは惜しかったね」

「うん……」


 安永はうつむいた。


「俺のせいで……俺のせいで……」


 安永の目に涙がこぼれそうになる。


「えい」


 モモが突然サッカーボールを安永に向かって蹴りだした。あわてて、ボールをトラップする安永。


「ヤスケン、パス」


 安永はモモの要求に応じて、モモが取りやすいようにやさしくボールを蹴った。おぼつかない足取りでトラップするモモ。二人はしばらくボールを蹴りあっていた。


「さすがサッカー部。やっぱり上手だね」

「モモッチも結構うまいよ」

「ふふふ。お世辞だと思うけどサンキュ」

「どうもいたしまして」


 安永の顔に笑みがこぼれた。


「お、少年やっと笑ったね」

「え?ああ」

「じゃ、気分転換に今度の海神祭、一緒に行くよ。いい、ヤスケン」

「うん、わかった。一緒に行こう」


 安永は笑顔でゆっくりうなずいた。


「それじゃ、明日。じゃあね、ヤスケン」

「じゃあね、モモッチ。って、ミッフィー!ミッフィー忘れてるって!」

「あ、ごめんごめん。ミッフィー帰ろう!」


 モモの呼んだ声に応じて、ミッフィーは帰っていくモモのあとを転がっていった。


「本当にありがとう……モモッチ」


 去り行くモモの背中を見送りながら、安永はつぶやいた。モモとミッフィーの姿が見えなくなると、安永はドリブルをしながら家に帰っていった。

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