ルギーとあすか先生

「ただいま」

「ルギー!なんで帰ってきたの?」

「なんでって、ここ俺んちだから帰るの当然じゃない?」

「でも、この前なんて2時間でどっか行っちゃったじゃない」


 ルギーは一瞬目をそむけたあと、真剣なまなざしであすか先生を見つめた。あすか先生はルギーのまなざしをみて、顔を赤らめる。


「この前はごめん……」

「え?」

「すぐどっか行っちゃって。いや、なんて言えばいいのか……」

「でも、いつも結局ここに帰ってくるでしょ。ごはんできているわよ。おかえりなさい」

「うん、ただいま」


 ルギーは照れくさそうに家の中に入っていった。


 30分後、あすか先生宅で怒声が響き渡った。


「箸の持ち方にいちいち文句言うなよ」

「だって、本当に変なんだもん。許せないのよ、その持ち方が!」

「俺がどんな持ち方したっていいじゃない!第一ね、君はいつもいつも細かいことから指図して」

「しょうがないじゃない、細かいことまで気になっちゃう性分なんだから」

「君はいつだって自分の思い通りならないと気がすまないんだ。束縛するんじゃないよ、俺は自由、フリーダムなんだよ!」

「箸の持ち方を注意されたくらいで束縛されたなんて思うなんて、ちっちゃい男ね。そんなんじゃ、立派な指揮者になれないわよ!」

「それとこれとは、関係ないだろ!んー、もうまったくここじゃ落ち着いて飯を食べることもできしない!じゃあね!」


 ルギーはそのまま立ち上がり、家を出て行った。あすか先生は去って行くルギーに向かって涙を流しながらものを投げていった。


「ばかー!ルギーのばかー!」


 少しおちついたあすか先生は、家の中に入った。


「ぐすん。ルギーのばか……。いいもん、あたしにはこの子がいるもん……ってあれ、いない。どこ?どこいったの?」

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