ダブルブッキング

 23:00。ベッドに入っても、モモはなかなか寝付けない。安永と話せたこと、そして来週の約束で興奮して眠れなくなっている。


「来週か。楽しみだな。るんるん」


 一人妄想にふけっていると、突然携帯が鳴り出し、モモは現実へ引き戻された。


「もしもし、三日月ですけど」

「もしもし、モモ?あたしよ、夏子」

「あー、なっちゃん先輩!お久しぶりです!」


 去年の3月に卒業した吹奏楽部の先輩、日向夏子からの電話だった。


「ねぇ、あんた来週ヒマでしょ。ひなまつりパーティやるから、来週の日曜13:00、駅に集合ね。じゃねー」


 一方的に用件を言うと、なっちゃん先輩は早々と電話をきってしまった。


「えー、どうしよう……。安永君とも約束あるのに……。でもなっちゃん先輩の誘いも断れないしな」


 モモは悩みでますます眠れなくなってしまった。

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