少年のウブなヴァレンタイン

 男子にとってもヴァレンタインデーは楽しみ一日だ。誰からチョコもらえるか?どれくらいもらえるか?男の子たちはもらえる瞬間を心待ちにしている。ここにももらえる瞬間を心待ちにしている男子が一人。


「よっ、リーダー。何、にやにやしてるんだよ?」

「え?……にやついてなんかいないよ」


「リーダー」と呼ばれる少年、城ヶ崎しげるは顔を赤らめた。


「誰かにチョコもらうことでも、妄想してたのか?あ、もしかしてあすか先生か?」

「からかうなよ。あすか先生からなんて……」


 しげるの顔はますます赤くなる。男子生徒に絶大な人気を誇る保健室のあすか先生。しげるもあすか先生に思いを寄せる一人だ。


『本命はさすがにないけど、義理はあるかな……』


 しげるの妄想は一時間目のチャイムがなっても消えなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る