階段の史奈さんは相談される
芥庭 深乱
第1話 階段話
今日はとても暑い日である。そう、夏である。夏、と言えばやはり恋愛なんだろう。夏休み明けのカップルの量が目に見えて増える。だが、私はどうせ一人である。何度か告白は受けたが、恋愛など無縁の関係である私は全て蹴飛ばした。次は音楽の授業で、移動教室である。西側の階段を上がる。ここにはある怪談話がある。階段なだけに…寒い。
それはどんな怪談話なのか?とてもしょうもない怪談話だ。教えてほしい?仕方ない。
階段の4段目に足をかけて、こう言うの。
『どうか私の相談事を解決してください、
史奈さん』
昔から、人は見えないものが私には見えていた。人の見えないもの、それは幽霊だ。大抵の人はその姿を見ることはできない。でも私は見えた。だけど、特別何かをするわけでもなく、ただ見えただけで。だから、この時も特別何かをする気は無かった。階段で一人、虚空に向かって何かを言う姿が見える。普通の人がみればそういう情景である。だが、見えないものが見えてしまう私にとっては違う情景が見えている。アゲハ蝶の髪飾りをつけた黒髪の少女が面倒くさそうにその子の話を聞いている。ふてくされたその顔はまるで生きているようだ。だけど、違う。
あの少女が、『階段の史奈さん』
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