南瀬笑音

第1話-埃-

目を開けると、温もりに包まれていた。温もりの正体は恋人の腕。純粋に見えるそれは、私の体を隅々まで知っている。温もりに包まれているとはいえ、少し寒い。タオルケットにくるまりながら、恋人の顔を見る。窓からの光で埃が見えた。儚くて、でも綺麗で、私の天敵。舞いながら私の肌に付いた。それを払い、その手で寝息を撫でる。柔らかくて、柔らかくて、私も眠りに落ちた。

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南瀬笑音 @nase_ene_0

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