瑠璃川の魔術師ライフ【異世界での非日常生活】

ふに豆

第一章 "蓬莱の薬"がもたらす光と影

第1話 陽気な魔術師

夜。うしの刻ばかりなる頃。

ここは軍国主義国家・ケンヴェイ帝国。

王城の敷地内には侵入者が1名、入り込んでいた。


「何の用でございましょう? 王。」

王に呼び出された国軍中佐の少女 Z・アルベルトは尋ねた。

「この城に侵入者だとな。指令部からの連絡が入った。」

「なんと。それは....」

「そこで、アルベルト。君に侵入者排除の仕事をしてほしい。」

「はっ! ご命令とあらば。」

「捕まえるが、殺しはせんとよい。拘束したらこちらへ渡せ。」

「承知しました。それでは.....」

「あぁ、待ちたまえ。」

アルベルトが部屋を出ようとすると、王が止めた。

「他にご用が?」

「あぁ。そう言えばだ。あの少年も援助に来ている。存分に使いたまえ。」

「.....あの少年、とは?」

瑠璃川 椿るりがわ つばき。」

「なんと....彼が援助に?」

「宜しく、頼もうぞ。」

「はいっ。」

アルベルトは威勢よく返事したあと、敬礼した。


一方。王城の敷地内の西部。侵入者である謎の女は王城の周りを奔走していた。

「オイ!居たぞ!」

憲兵の声が辺りに響き渡る。と同時に、銃声が夜の王城に響き渡る。

「撃てゐ!」

ドドドドドド.....

謎の女は銃弾を華麗に避け、その上、手のひらを憲兵らに向けた。

すると.....

ドカン!.....

大きな爆発と共に憲兵が吹っ飛んでいった。

「....無駄に弾丸を使いやがって....」

女は小声でそう呟く。と、


「おい.....酷いことするもんだな。女のクセに」

「何者か....!?」

女が後ろを振り向くと、軍服を身に包んだ少年が佇んでいた。

「貴様は.....軍人!? 私の計画の邪魔をする気か!?」

女は咄嗟に手のひらを少年に向けてまたもや爆発を起こした。

「甘い...!」

少年は爆発による黒煙の中から飛び出て、女の顔を目掛けて拳を振るった。

女はその拳を受け流し、少年の腕を掴み、投げ飛ばした。

「オィ...! ったく....コンクリ路上で背負投は危険さ。」

少年は綺麗に着地した。

「貴様のその動きも.....危険そのうえ極まりない。」

「お前は女のクセによくやるな。」

「少年...貴様は何者だ....」

すると少年は目を輝かせながら答えた。

「俺は......戦場からの転生者・瑠璃川 椿さ!」キラキラ~


続く

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