一級在宅師と幼女神〜異世界ニートと幼い女神〜

小町レン

第1話 始まり。そして終わり。

プロローグ


『あぁ…突然異世界に飛ばされたりしねぇーかなー。』



異世界小説大好き人間ならおそらくそんなことを考えたことがあるだろう

超かっこいい詠唱唱えてだれも打てない最強魔法繰り出したり。

超強い仲間たちと魔王を倒す旅にでたり。

超かわいい女の子に囲まれてハーレム生活を送ったり。


……し か しだ、人生そんなに甘くない。

この現実世界でそんなことを考えても待ってるのは地獄と言わんばかりの日常だ。そう大抵の人は思っていることだろう。

そんな地獄を見たくないからニートという種族が年々増加している。



「…悪循環ではなかろうか」


この現状をメルヘンちっくな部屋にある結晶体から見ていた幼女神 イズモはふと思った。

幼女神と謳われるだけあって見た目も思考も幼いが、空色の長い髪と瞳、そしてその整った顔つきは誰が見ても『か、かわいい……』と思ってしまう程だ。


「よし」


イズモはその場で立ち上がり、小さな両手を結晶体に向け、不気味な詠唱を唱え始めた。


そのとき


「「待って!!!」」


後ろの棚に置かれていた二匹のうさぎ人形がイズモに飛びかかって詠唱を強制終了させる。


イズモの顔が結晶体に直撃。


「いたーい!!アメ!ユキ!何をするのよ!!」


鼻と額ほ真っ赤にしてイズモは小さな手を激しく振り回してアメとユキを払う。


「それはこっちのセリフ!」

「イズ!今の上級魔法で何しようとしたの!!」


二匹のうさぎ人形アメとユキはイズモにそう問いかける。二匹はイズモが生まれた時から面倒を見ている親のような存在だ。


「……い、いやぁ、地球に退屈してる人がいるならその人たちみーんな異世界に転生させたらいいかなあぁぁって……テヘペロっ」


もう一度言っておくがイズモは神だ。だが考えがまだ幼い。

アメとユキは呆れた目で幼女神かのじょを見る。


「考えなしにそんなことしないのっ!」

「そんなことをしたら地球で大パニックが起きちゃう!!」

「そもそも!どこの異世界にこれだけ沢山の人を転送させるの!」

「行動する前にしっかり考えて!!」


二匹は半泣きになっているイズモに叱りつける。


「…ぐすっ…ご、ごめんにゃしゃい………」


彼女のこういう素直な所は褒めるべきである。


「…だけど、イズの思ってることは分からなくもないよ!」

「少し工夫して実験すればもしかしたらできるかも!!」


「ほんと…?うれしい!ありがと!!」


イズモはそれを聞いて満面の笑みを浮かべる。

彼女の笑みは全ての人を幸せにできるかわいさである。


「よーし!そうとなればその工夫と実験に参加してくれる候補者を探さないと!」


やる気を取り戻したイズは早速本題に取り掛かろうとする。


「そのことなんだけど、私たちに任せて欲しいの!」

「いい考えがあるから!!」


アメとユキは自信満々にイズに言う。


「そっか!わかった!じゃあアメとユキに任せるね!」


イズはそういうとぴょんぴょん飛び跳ねながらこの部屋を後にした。


これが、幼女神 イズモと、一人の少年 佐藤 悠夢の出逢いのきっかけ。そして【天空都市】 アカデメイアを中心に数々の歴史が大きく変わっていくことになるのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る