第3話

「奈江は今、朝練で疲れている」

「朝練だって?」

「そう。朝から練習するから、朝練だ」


 いつもより、早く家を出なくてはならない。そうなれば、必然的に奈江が食卓に居られる時間は減る。ついうっかり寝坊でもしたら、朝食を掻っ込めるだけ掻っ込んで、口より大きな食パンはくわえたままになるかもしれない。


「1.44%。かなりに高い数値だ!」

「いや、俺の試算では、5%を超える!」


 彰はしたり顔で続けた。


「朝練で疲れている以上、寝坊する可能性は跳ね上がっている!」

「ああっ!」


 目から鱗だった。『秋の食パンまつり』たす『朝練』は『寝坊して朝食を掻っ込めるだけ掻っ込んで、口より大きな食パンはくわえたまま家を出る』。そして、『与式』イコール『俺が、食パンをくわえた美少女と出会い頭にぶつかる』となる。その確率は5.76%。高い!


「俺、早速明日にでも試してみるよ!」


 俺の心は踊った。

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