食パンをくわえた美少女と出会い頭にぶつかる方法
世界三大〇〇
第1話
「味噌だって? そんなの、机上の空論だ!」
「いや、やってみなくては分からないだろう」
荒唐無稽な彰の提案に、俺は苛立ちを隠せない。だが、彰は自信満々の笑みを絶やさない。そればかりか、とんでもない額の見積書を俺に見せながら続けた。
「米さえなければ。米さえ……。」
「たしかに、米は強敵だ……。」
俺たちの計画は、袋小路に入り込んでしまったかのように先へ進めなくなることが多い。その点、今回の彰の提案には、米という大きな壁を乗り越えることができるのではないかと思わせるだけのインパクトがあった。
「将を射んとする者はまず馬を射よ!」
「米の壁を乗り越えんとするものはまず味噌汁を買い占めろ……一体いくらかかる?」
だが、そんな彰の提案ではあったが、大きな欠点があった。それは……高過ぎるということだ。俺たちが美少女と呼ぶ奈江の自宅を中心に半径2キロの円を描くと、その中にはスーパーマーケットが3軒もある。圧倒的な品揃えとにして圧倒的なロープライス。さりとて、それらの店に並ぶ全ての味噌を買い占めるのに一体いくらかかるか、計り知れない。
「味噌汁だ。味噌汁さえなければ、食卓から白米は消えるというのに……。」
そうすれば、『食パンをくわえた美少女と出会い頭にぶつかる』確率は、0.03%から0.17%へと、飛躍的に伸びる。これは、あくまでも俺たち調べの数値ではあるが。
「俺たちは、もっと安い方法を検討しなくてはならない……。」
俺と彰の月の小遣いの総額は2000円。味噌を買い占めるだなんて、到底無理だ。蝉の声を聞きながら、俺たちは諦めることにした。そんな矢先、俺たちに朗報がもたらされた。
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