第40話【怖い話】彡(゚)(゚)「せや、非常階段で下りたろ」

彡(゚)(゚)「はい……はい……今後そのようなことがないように、気を付けますんで……」


彡(゚)(゚)「……」カチャリ


彡()()(ハアー、連日クレーム処理の電話対応。もう何件目か数えるのも面倒なくらい謝ったで)


彡()()(ありえないような発注ミスに、連続しての人身事故。呪われとるんちゃうか? この会社)


彡()()「朝の3時(もうクタクタやで)」


彡(゚)(゚)(みんな顔色悪いで)キョロキョロ


(´・ω・`) 「……よし、今日はこのくらいにして帰ろう。みんなごくろうさま」


彡(-)(-)(所長、もっとちょっと早く帰らせてほしいんやけど)


同僚「ハァー、おわったー」


係長「残りは明日だ」








同僚「……あれ? 動いてない」カチ


彡(゚)(゚)「あっ、エレベーターの電気止まっとるやないか」カチカチ


(´・ω・`) 「メンテナンスかなにかかな? いつもなら連絡来るはずなんだけど、おかしいな」カチカチカチカチ


係長「ウチにだけ連絡するの忘れられてますね」


同僚「ふざけんな! ここ7階だぞ、歩いて降りろってのか!」バン


彡()()「こっちは、もう疲れきっとるんやで」ドン


係長「勘弁してくれよ!」ガンッ


(´・ω・`) 「まあまあ、みんな落ち着いて……オラッ!」ガゴンッ


同僚「ハアハア」


彡()()「ハァ(エレベーターのドアに八つ当たりしてもしゃーないな)」


係長「エレベーターがダメとなると」チラ


(´・ω・`) 「……ふー。しょうがない、非常階段で下りるか。カギ持ってくる」スタスタ


彡(゚)(゚)「そういや非常階段使うのはじめてやな」


同僚「うわぁ、あそこか」








彡(゚)(゚)「中はどうなってんやろ? 開けるで」カチャリ


ぎいぃいぃぃぃぃ


彡(゚)(゚)「どれどれ」


彡()()「うっ、クサッ。ゴホゴホッ、オエッ」


同僚「げっ、きたねー」


係長「エホンッ、んっ」


(´・ω・`) 「ゔっ、そこらじゅう鳥のフンだらけだな」


彡(゚)(゚)「手すりも、コーティングされとるみたいや(絶対に触らんどこ)」


彡(゚)(゚)「明かりも暗くて、足元がよく見えんわ(もしも滑ったりしたらおしまいやで)」


(´・ω・`) 「はやく下りよう」








カン カン カン カン カン カン カカン








彡(゚)(゚)(いつもならエレベーターで、あっという間やけどな)カン カン カン


同僚「……」カン カン カン


係長「……」カン カン カン


(´・ω・`) 「……」カン カン カン











ぼそぼそ


彡(゚)(゚)「あれ? (何の音や? 声? )」カン カン カン


同僚「……」カン カン カン


係長「……」カン カン カン


(´・ω・`) 「……」カン カン カン





ぼそぼそ ぼそぼそ


彡(゚)(゚)(所長の声? いや違う……振り返って見たろ)クルッ


同僚「……?」


係長「……」


(´・ω・`) 「……」


彡()()(ワイらの他に、誰もおるわけない。所長も、係長と同僚も返事しとらんしやっぱり気のせい)


ぼそぼそ ぼそぼそ


彡()()(いや、気のせいやない。でもこの声、聞き覚えがあるような無いような)ゾクッ


彡(゚)(゚)「オワッフ」ガッ


同僚「おい、大丈夫か?」


彡(-)(-)「だ、大丈夫やで(もう少しで、こけるとこやったで)」


彡(゚)(゚)「思いきり手すりつかんでもうた……オエ」ベタ-








彡()()(ただの階段やのに長く感じるで)


ハハハッ


彡()()(えっ! 係長の声や。でも、こんな明るい声はじめて聞いたで)


ぼそぼそ ぼそぼそ


係長「へえー、そーお。ふふふ」


ぼそぼそ


係長「アハハハッ」


彡()()「うぅ(あの堅物の係長が、こんなふうに喋るわけないで)」


係長「所長」


(´・ω・`)「なに! 君はさっきから、誰と話してるの?」


彡(゚)(゚)(所長は、この状況がおかしいのに気づいてないんか?)


ぼそぼそ ぼそぼそ


同僚「……」ドス ドス


彡(゚)(゚)(同僚も、怖さを感じとるんかな)


なあ、みんな。ああ、やきうくんもちょっといいかな?


彡()()(所長の声? でも、なんやこの明るい声は)


(´・ω・`)「おーいっ、やきうくーんってば」


彡()()(振り向いたらアカン、振り向いたらアカン……)カン カン


係長「ぼそぼそ」


同僚「ぼそぼそ」


彡()()(うううう、身体が震えてきたで。喋り声は、よう聞き取れんし)ブルブル


カン カン カン カン


ぼそ


彡(゚)(゚)(最初の声は、遠ざかったか)


彡()()(ゆっくりでもええから下りるんや、一歩ずつ)カン カン


彡()()「ハッ……ハッ(あれは! あの鉄格子の先は出口や)


彡(゚)(゚)(この鍵のダイヤルを合わせて)カチャ


カンッカンッカンッカンッカンッカカンッ


彡()()「うっ(ワイのすぐ後ろに、妙な気配が)」ゾゾゾゾ


「やきうくん! こっち、ちょっとこっちきて」


「おいおい、どこに行くの? 出口はこっちだよやきうー!」


「やきうくーん、やきうくん」


「やきう、やきう、やきう、やきう。ねえ」


「やきうーっ! アハハハハッ、ハハハハ」


彡()()「ハアッ、フウッ、アアアアーッ(アカン! 振り向いたらアカン、アカンアカンアカン)」カチャカチャ


カチャリ ぎいぃぃぃぃ


彡()()「ハッ、あ、開いた! オエ(もう、すぐそこが道路や)」スタスタ


シーン


彡(゚)(゚)「え?」








「おい」












彡(-)(-)「……」


「おい」ユサユサ


彡(゚)(゚)「んー。え、あれ?」


(´・ω・`) 「おい、やきうくんどうした? 大丈夫か」


彡(゚)(゚)「はい(ワイ、エレベーター待ってる間に眠ってたんか)」


彡(゚)(゚)「あれここは、非常階段の……」


(´・ω・`) 「階段? ああこのドアね」ガチャガチャ


(´・ω・`) 「向こうは非常階段になってるけど、もう何年も使ってないよ」


彡(゚)(゚)「……」


(´・ω・`) 「明日も早いから、すぐ帰るんだよ」


彡(゚)(゚)「はい」








チーン


彡(゚)(゚)「エレベーター、いつも通り動いとるな」


彡(゚)(゚)「帰ろ」


彡(゚)(゚)「ん?」チラ


彡(゚)(゚)「ここが非常階段の入口か」


彡(゚)(゚)「あれ? あそこの鍵開いとるような、あっ」


彡()()「思い出した! あの声……先輩や」


彡(゚)(゚)(確か、少し前に事故に遭ってそのまま……)


彡()() フラッ


彡(゚)(゚)「あかんあかん! さっさと帰るで!」スタスタ


彡(゚)(゚)(ここ、辞めよかな)








【怖い話】彡(゚)(゚)「せや、非常階段で下りたろ」 完

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