１番素的な親友

第1話

世捨て人

文字通り、社会生活から離脱した人だが・・・

そうならないように、努力をしてきたつもりだが、

伝わらなかったのか、神様が見落としたのか、

「お前は、世捨て人だ」と、ののしられる。

そうですか、そうですか、

確かに私は、無能ですよ。

殺人事件が起こるたびに、

「役立たずのあんたが、死ねばよっぽど、世の中のためだったのに」

そう言われる。

これは、犯罪にはならないのですか？

俺はバカなので、わかりません。

でも、無罪ですね。

ある意味、犯罪者よりも、極悪だ。

なら、捨ててあげましょう。

のぞみどおりに、去ってあげますよ。

俺は、会社を辞職した。

周りはせいせいしている。

俺は、自分の事を疎ましく思っている連中を楽しませた。

幸せな一時だったろう。

お人よしだな・・・

で、俺には財産らしいものはない。

でも、ホームレスにはなれない。

そこで、山奥に引っ越しをした。

自然に囲まれた豊かなところだ。

動物や鳥もたくさんいる。

川では、魚もとれる。

農業は趣味だ。

後は、夜露をしのぐ家・・・

せめて、廃寺でもあればいいが・・・

あっ、洞窟があった。

ここにしよう。

さあ、残りの人生は、楽しもう。

元々、孤独だ。

人はいらん。

自然が、俺の親友だ。