『地獄のさんたも金しだい』

やましん(テンパー)

『地獄のさんたも金しだい』 《上》 (上中下全3部)

 *これは、すべて、フィクションで、登場人物は、この世とはなんの関係もございません。 


      👹    👹    👹



 みなさん、こんにちはあ!


 ぼくは、地獄参田です。


 みなさんには、あまり親しみがないと思いますが、ぼくは『火星の女王様』が運営している私立(わたくしりつ)の『地獄』の鬼さんです。


 転勤はありますが、いまは、『恐竜ランド』に配属中です。


 ここには、たくさんのアトラクションがあります。


 見学コースとしても、良く利用されます。


 まあ、見学者は、見るだけですが。


 実際のところは、たとえば、亡者さんたちが、『恐竜ランド』の中を、彷徨ううちに、恐ろしい恐竜さんたちや、架空のドラゴンさんなどを、ぼくが、けしかけて、むちゃむちゃと、食べさせるのです。


 亡者さんたちは、やがて、排泄された後、生き返ります。


 その繰り返しです。 


 この『地獄』は、思想、信条、宗教、人種、性別観とか、現世での社会的、慣習的地位とか、財産とか、そうしたものには一切関係なく、平等に、宇宙が続く限り、地獄の攻め苦を体験できます。


 また、『火星の女王様』は、常に新しいアトラクションの開発や、見学コースの充実なども図っております。(カクヨムのコース内では、『くまさん宇宙の大冒険』、を参考にぜひ、どうぞ。…コマーシャルでした。)


 しかし、このぼくの役職は、実は世を忍ぶための仮の姿。


 ぼくの本職は、『異空間査察員』なのだ。


 『火星の女王様』が支配する『異空間』は、広大なものです。


 そこに住む知的生物の中には、『平等・博愛・自由・公平・公正』のモットーを打ち砕かんとする、つまり、ちょっと、おいたの過ぎる方も、ときに、ですが、まあ、あります。


 そういう人たちを、調べ、観察し、適度な処置を行うのが、僕の役目であります。


 なので、お池で、悪人が向こうから飛び込んで来るのを待ち構えている、『不思議が池の幸子さん』たちとは違って、行動力が勝負です。


 たとえば、こうです。



     ******  👹  *****



 少し先日、この地獄に招待された、『某 ぼうぼう』というかたは、現生では思いっきりの金力と権力を、ほしいままとし、長年、ある国を率いていました。


 しかし、人間と言うものは、必ず、期限切れが来るのです。


 このかたも、そうだったのですが、生前のあまりにもひどい行いが祟ったのか、どこの天国も地獄も引き取ってくれません。


 そこで、可哀そうに思った女王様が、最後には、引き受けたのです。


 この方は、毎日14時間、さまざまな攻め苦にさらされております。


 あ、この地獄では、女王様のご意向があって、地獄の亡者といえど、休憩が必要であるとして、物理的な攻め苦は、地球時間の一日の内で、14時間までとされております。


 残りは、名高い『無限寮』で、休んだり、反省したり、カウンセリングを受けたりして過ごすことになります。


 激しい攻め苦の後の『反省の時間』というものは、実は、なかなか、こたえるものです。


 悪事をした人にとって、真実を語るということほど、苦しい攻め苦はないのです。


 もっとも《悪事》という概念は、多様です。


 この『某 ぼうぼう』さんは、自分は正義であったと信じているので、多くの人の命を奪ったにもかかわらず、平然と攻め苦に耐え、反省の色も全く見せません。


 こういうときも、また、僕の出番です。



『あなた、現世に心残りがあるのでしょう?』



 《無限寮》の、彼の部屋です。


 この《無限寮》は、それこそ、無限です。


 この、『地獄』の海沿いに、向こう側もこっち側も、無限の彼方にまで、建物が連なっているのです。


 宇宙空間のどこから見ても、空間が無限に広がるのと、同じなのです。



 そこで、ぼくが、そっと、問いかけるのです。



『ばかな、そんなんない。くそっ! 出てけ! 鬼め! 私を誰だと思う!』


『ここでは、生前の地位は、一切、関係ないですよ。あなた、たしか、娘さんがいましたね。派手に生活していたが、新政府に全財産没収されて、いまは、ほぼ、路上生活だ。ね。そうでしょう。』


『きさまごときに、言われる話ではない。』


『心配もしてないのか・・・・やっぱ、あなたは、鬼以上の鬼。《ウルトラ・スーパー・鬼さん》なんだ。しかたない、娘さんも、ここにご招待しようかなあああ。』


『まて、まて。ばかなことを言うな。あの子は、無実だ。それに、子を思わぬ親がいるものか。あの子はきっと、這い上がり、やがては天下を取る! きさまごときに、言われる筋合いではない。』


『はあ・・・・・・まあ、そうですか。せっかく、会わせてあげようかと思たのになあ・・・・ま、いいか。じゃあ、また200年後に会いましょう。もう、娘さんには、永遠に会えないよ~~~ん。ちりり~~~ん(ぼくが叩いた鐘の音ですよ。)《♬ゆう~~~めのような~~~~200ねんよおお~~~。ああ、過ぎ去るあなた~~~~は、もういない~~~あわれ、わたしは、みらいえいごう ひとりぼち~~~えんやあ~~~やらや ♪》 と、じゃあ、ばい、ばははは~~~い。』


『こら、まてまて、きさま、うわさの、裏家業をする鬼か?・・・最近、女王に粛清されたと聞いたが。それにしても、へたくそな『うた』だ。』


『ふふん。鬼の数は星より多い。ぼくは、格が違うのだ。 ま、あなたほど、自惚れてないがね。『おうた』に関しては、余計なお世話様だよ。まあ、ぼくは、『女王様の妹さん』に、何度か、レッスンしてもらったこともあるのだ。彼女も、現世では、名高い音楽家だよ。ふふん。いまのは、自作の歌曲集『地獄にて』の第5曲です。『わたしの愛はいずこに?』なのだ。』


『じゃあ、まずい歌を聞いてやったんだから、娘に会わせろ。』


『そりゃまあ、いいすよ。そのつもりで会いに来たんだから。でもね、もっと、丁寧に言えばね。あなた、すこし、現世が抜けてなさすぎるからなあ。ここでは、僕の立場が、あなたより、ずっと、うえ。なのね。困ったなあ。その気にならないよなあ。』


『ばかな・・・私に頭を下げろと言うのか? 若き日、歌手志望だった私は、あの大歌手、ババロナッツィウスの弟子でもあったのに、今のを褒めろと?あの、大南北アメリカ国のライオン首相にも、日本合衆国の杖出首相にも、頭など1ミリも下げなかった、この私が!』


『頭を下げるなんて、ただでしょう? それよか、うたを、ちょこっと、褒めたら、もっといいのだけれどになあ。』


『むむ。わかった、では、娘に合わせてほしい、よろしくたのむ。『第6曲』は、もっと、いい歌なんだろう。』


『ぶ!!』


 まあ、前に頭を下げたというよりは、後ろ側にそっくり返った、という感じでしたが、この人にしては、ここまでやったのは、大したもんだ。


 ぼくのおうたは、並の亡者には、高尚過ぎるのは、わかってますし。


『いいでしょう。報酬は、一億ドリムです。あなた、たしか、隠し財産がいっぱいありますよに~。ただし、ここでは使えないけれど。そこは、ぼくが手引きします。。ただ、『地獄銀行』の口座に入れたら、さすがに、すぐばれるから、『タルレジャ王国』にある、とある『異空間口座』に、入れてください。あそこなら、金のままでも振り込めます。方法は、追ってぼくの弟子が指示します。あなた、これは、好い事ですよ。楽しみに、攻め苦を受けていて下さい。あすからは、《ロケット引き裂きの刑》だそうですよ。頭と足に、逆方向にロケット推進機を取り付け、両方から《さん。に。いち! どっか~~~ん! と、発射するのです。で、それで、あと、接着剤で自分のからだを、自分で探し出してくっつけて、また同じことする。痛いよなあ・・・・まあ、段取りには多少時間がかかるから。でもま、ここで言えば、まるで時間じゃない位のものですよ。あなた、地獄のサンタに任せたんだから、安心しなさい。ははは。あと、絶対秘密ね。しゃべったら、《最低地獄》に落とします。ぼくも、みたことないけど。何も見えない暗黒の地獄で、永遠の攻め苦が、ただ続くという、ブラックホールのような地獄なのだ!・・・こあ~~~~!!』




*********** 👹 中に続く! 連作ばかりやて、大丈夫か?  








 


 




 





 




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