薄闇を知っていて
はいどらんじあ
第1話
いつからか夜は眠れなくなったので、ずいぶんと遅くまで起きるようになりました。
家の屋根裏部屋についている小さな天窓から外の風景をながめ続けて時間をつぶすのです。
そうしていると、むだな時間を過ごしているな、とも思うのですがそれがどこか心地よくて、昨日も今日も、きっと明日もこうしているのでしょう。
藍色のふわっとしたパジャマは、こうも薄暗い屋根裏部屋ではほとんど黒と変わらないくらいに違いが分かりません。
たまに月明かりがさして色を浮かべさせないかぎりは、あたしはここに充満している暗闇の一部になっている気分です。
それもわるい気はしません。
望むなら、あたしは人間じゃない何かになりたい。
それが叶うのならば、いっそみにくい化け物でも構いません―――
薄闇を知っていて はいどらんじあ @nokonn
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