第15話 千夏ちゃんの苦悩?



 親父は帰りが遅いらしく、ひとりで夕食を取り風呂等することを済ませ部屋に戻った。さっきは焦ったなとポケットからスマホを取り出し、相楽とのやり取りを思い出す。相楽先輩、わざわざスマホを買っちゃうのかと少し笑いが出てしまった。でも、相楽先輩が俺のためにそこまでしてくれるということがとても嬉しかった。


 ふと、よく見ると、スマホにメッセージの着信ありとなっていた。差出人は遠藤先輩からだ。


「今日は、本当にありがとう。美樹がとても喜んでいたよ。私としても一安心できた。」


 どうも今日のことでお礼を言ってきたようだ。俺は返事を返すことにする。


「いえ、告白ならこの前のように受け入れられませんでしたが、友達なら嫌いな人や俺に恋人がいない限りは受け入れますよ。まあ、友達がひとりしかいなかった俺に偉そうなことは言えませんが。遠藤先輩こそ俺が友達になる条件として、遠藤先輩とも友達になるなんて無茶なことを言ったので困りませんでしたか? 」


 返事を返すとすぐに返事が返ってきた。


「いや、美樹が友達になる人だ。私が友達になることについてなにも問題ないよ。ただ、気になったのは、なぜあれを条件にしたのかかな? 」


 先輩は、条件で気になったことを聞いてきた。


「相楽先輩と友達になるのなら、相楽先輩の告白にまで付き添った遠藤先輩。信頼されてる友達ってことでしょう? 相楽先輩の側に遠藤先輩がいるということは、これから俺は遠藤先輩とも付き合っていくことになると思います。それなら友達として付き合っていくほうがいいでしょう? 何の関係かもわからない形で付き合っていくよりも。それに、俺と遠藤先輩の仲が悪かったら相楽先輩とも友達として付き合っていくのは難しいと考えました。だからです」


 俺は思っていたことをそのまま伝えた。


「私と美樹の関係のことも考えてくれたんだね。ありがとう。」


 遠藤先輩はまたお礼を返してくる。


「そんなお礼ばかり言わないで下さい。これからよろしくお願いします、先輩。」


 そう俺はメッセージを送り、うつ伏せでベットへと横になった。






 今回の「友達の申し出」も断られでもしたらとヒヤヒヤしたものだ。とりあえず、上手くいってよかったと私、千夏は山口くんにお礼を言うためメッセージを送っておいた。


 そこで山口くんとメッセージのやり取りをしてみたが、私への「山口くんと友達になる条件」は私と美樹の関係を考慮しての条件だったようだ。私にまでこういう気遣いをしてくれるとは本当にありがたかった。


 ただ、山口くんと美樹が一緒にいる時に居て良いものかと悩んでしまう私がいた。山口くんは私と美樹が一緒にいるという前提で考えていたが、もしかすると美樹は山口くんとふたりきりになりたいと思っているかもしれない。そうなれば私は邪魔になってしまう。それだけは避けたいと思うが、不自然に離れれば美樹はきっと私を怒るだろう。美樹は友達思いだからなぁ。


 さて、今後どうするべきかそんな悩ましい考えが私の脳裏をよぎっていた。

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