第477話恒例の混浴 そして美幸

緊張感があった政治家候補者4人との面談の後は、恒例のお世話係たちとのにぎやかな混浴の時間。


「あーーーこの時間のためにダイエットしたけど、変わらんなあ」

「そやなあ、かえって、ふっくらさんになったんちゃう?」

「変わらんて、あなたも」

「食べ過ぎや、しゃあない、麗様が戻って来られると思うと、ついうれしゅうて」

「あはは、あかん、麗様のせいにして」

「そう笑わんと、そこで自慢げに揺らし過ぎや」

「かまわん、今のうちや、この張りは」


麗は、全くついて行けないので、目をほぼ閉じている。


それでも、少しは、まともな話になることもある。

「麗様のお言葉、当然やなあ」

「そや、意見するだけなら、誰でもできる」

「嵐山なんて、観光客が帰ればゴミ掃除タイムや」

「最近は、外国人ばかりやないもの、日本人の若い子も、ゴミを持ち帰らん」

「それを泣き寝入りさせられてな、ずっとや」

「行政も観光業者も、何もせんから、苦しんでいるのに、政治家候補者さんも、ただ意見して話が進みます?」

「行政は税金だけ絞り取って、観光業者は儲けだけや」

「住んどる住民のことなんて、何も考えとらん、住民はゴミ掃除係や」


麗はようやく目を開けた。

そしてポツリ、ポツリと話し出す。

「社家町を通った時に、住民の人が川に流れているゴミを拾っているのが可哀想になってね、神様からの水なのに、それを汚されて」

「何とか、せめて観光客のゴミがない状態にと」

「人を雇ってまでとは、悲しい話だけれど」

「現実的には、マナーがない観光客も多いから」

「住民とか地域の自治会で掃除、と言っても、仕事を持っている人は、特に日中は無理」

「かといって行政は自治会に押し付けるだけだろうし、観光業者は知らんぷりかな」


お世話係たちも、すぐに反応。

「そこで掃除専門の人を、行政と観光、場合により自治会で話し合って雇う」

「酷い重労働でもなく、経費もかからん、でも効果は高い」

「確かに麗様の言われる通り、そのほうが現実的かな、改善がすぐに見えるし」


麗は、それ以上の反応を手で止めた。

「やめましょう、お風呂です」

「のんびりしたい」


お世話係たちに、笑いが戻る。

「あはは、それはそうや、リラックスするのが風呂や」

「あなた、それを言いに、わざわざ麗様の前に」

「そや、さっきも言うたけれど、揺らし過ぎや」

「そやろか、そう言えば、また成長したから」

「そう?うちも負けんよ、ねえ、麗様」


結局、麗は目を閉じるしかない。


そんな混浴が終わり、麗は美幸と自分の部屋に。

美幸は苦笑。

「みんな、身体自慢が過ぎます」

「全員、健康そのものって、感じ」

美幸

「目の保養に?」

「うーん・・・最初は恥ずかしくて」

「今は、少し慣れて」

美幸

「麗様、観察されとるとか?」

「少し体型が変わったとかを?」

美幸は含み笑い。

「バストアップとかお尻引き締めとか、二の腕ダイエットとか、様々やっとります」

「うーん・・・そんなマジマジと見る余裕はないかなあ」

「でも、それ・・・見ないとせっかくの努力に申し訳ないのかな」

美幸は、それには答えず、麗を抱く。

「今は、うちだけを見てください」

「うちも・・・麗様をいただきます」

美幸は、耳まで赤くなっている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る