ぷりてぃぽっぽ君の日常

上山ナナイ

第1話 ぽっぽ君の日常

これは、僕と、僕の愛するひよことの、夢のような時間の物語だ。



哀れな飼いひよこであるぽっぽ君は、一緒に暮らしている保護者のこーちゃんがネクタイを結んでるのを見て、小さな身体でよいしょよいしょとネクタイを真似してつけようと試行錯誤していた。こーちゃんは、じゃ。僕先行ってるんだけど、くれぐれもあとつけてくんなよ。と言い残した。ぽっぽ君はこーちゃんの怒りの形相にビビり、顔からぷしゅっと煙が出た。


ぽっぽ君は、こーちゃんにとってはばればれのストーカー行為をし、こーちゃんの大学の研究室までつけてきた。そこに、ぽっぽ君お気に入りのじゃがいもにコードを刺して電池になっているポテトクロックをおいた。それといくつかのお菓子を。


少し経って縄跳びをしてると大学教員に目をつけられてしまう。君何歳?ここはそういうところじゃないんでね。ぽっぽ君はこの注意を受け、むなしく出て行った。着ているセーラー服とかわいいマスコットのぬいぐるみはためかせ、外の窓からこーちゃんの様子をのぞいた。


こーちゃんの声が響いた。いいからもっとおもちゃをよこせ!


大学の中庭でいつも一緒のお気に入りのぬいぐるみにブラシをかけていたぽっぽ君は、こーちゃんのためにお菓子の家ヘクセンハウスを作った。


それに喜んだこーちゃんは、ドライブに連れて行ってやろうか?と言った。


明くる日ぽっぽ君はこーちゃんの車の後部座席にのり、窓から小さな頭を突き出した。


何を探してるの?風船。小さい頃お祭りでみんなで上げたんだ。それならまだ飛んでるよ。探してあげる。もう飛んでないよ。いや、きっとまだ飛んでる。


こーちゃんは車を少し回して、どこからか来たのかわからない木に引っかかった風船をぽっぽ君に手渡した。ぽっぽ君は笑顔になった。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る