妖刀剣鬼少女譚:自動で戦う妖刀と、自動で戦わされる少女の話

紅藍

第一部 少女と妖刀

第一幕 家鳴屋敷の惨劇

一ノ一 プロローグ 寄る辺なき者の希望

「先遣隊十名が、全滅?」

「ええ、はい」

 会議室は物々しい雰囲気に包まれていた。円形の机にスーツ姿の黒い男たちが腰掛けて、手元の資料に目をやっている。

 主として言葉を発しているのは、その円卓から僅かに離れたところで立っている男だった。同じスーツ姿だが、誰が見ても、この中で一番位が低いのだろうなと思わせた。特に何か、確証があるわけではない。立ち振る舞いといい、言葉遣いといい、そういう推測を可能にする態度だというだけだ。

「関東は北西部に位置する家鳴やなり屋敷ですが、ここに三振りの妖刀があることは確認済みです。しかし銘はおろか能力も不明。先遣隊十名も手練れでしたが、誰一人生還せず」

「話が違うじゃないか」

 男の一人が話す。

「この屋敷の主人とその奥方、家鳴家定やなりいえさだと繭子は一般人だろう。剣の腕に覚えがある様な話は出ていなかったじゃないか」

「それなのですが…………」

 言葉を濁しながらも、先を続ける。

「あるいは剣鬼化している可能性も」

 部屋中がざわつく。

「なるほど。我々が強硬手段を取ったのが裏目に出たというわけかね?」

「はい。残念ながら」

「ではにお出ましいただくほかはないということかな?」

「しかし、あまりに情報が不足しています。この段階で剣士を動かすのはリスクが高いかと」

「それもそうだな……」

 会場はしばし沈黙した。そこにまた、一人の男が声を上げる。

「少し考えがあるのだが」

「何かね、理事長」

「情報が欲しいというのなら、人を送ればいいのだろう? たくさん人を送れば、一人か二人くらいは生きて戻ってくる可能性もあるだろう」

「それはそうだが……。こちらも腕利きの剣士をそうやすやすと、リスクの高いところへ送りたくはない」

「分かっている。だから、素人だ」

 何人かが息を呑んだ。

「素人ってあんた…………」

「私にいい考えがありますよ。なあに、ちょっと命の価値が低い連中を焚きつければそれで済む。その代わり……」

「分かった。もし君の考えが成功し、妖刀を回収できた暁には、その妖刀の如何は君に任せる」

「ありがとうございます」

 くすくすと、笑い声が響いた。


「おい、始まるぞ!」

 自習の時間中だというのに、男子は騒がしいものだ。

 わたしの隣の席で男子が数人集まって、スマートフォンの画面を真剣な表情で覗いていた。

『帝国放送局十四時の特集は、一昨日いっさくじつ、一月最後の貴族院通常国会を通過しました特殊刀剣徴発令についてです』

 スマートフォンの音量が大きい。こちらにまで、男性のよく通る声が聞こえてくる。どうやら彼らはテレビ番組を見ているらしい。しかし帝国放送局って。男子が自習中にこそこそ見る番組が国営放送というのは少し妙で、ちょっと気になってしまった。

『世間では妖刀刀狩り令とも呼ばれるこの法令について、本日は専門家を交えて討議したいと思います。ゲストは帝国大学法学部教授安藤真氏、そして刀剣整理局の局長でもあり、また妖刀剣士の中で最高位の剣聖『白鯨』こと魚住白眉氏です』

「来た来たっ!」

 集まっていた男子たちのテンションは、『白鯨』と名指された人の登場でさらに盛り上がったらしい。

 わたしは開いていた奨学金のパンフレットを閉じて、ちらりと男子たちの様子を窺った。

『――さて、まず安藤さんにお聞きしたいのは、このタイミングでの法整備についてです。確か特殊刀剣は政府への提出が既に義務化されていたと思うのですが、今回の法整備はどういった意図なのでしょう』

『はい。実は今までの法令は提出を義務化こそしていましたが、罰則規定などは特になく、実行力のあまりない法令だったんですね。で、今回の法令は徴発という言葉がある通り、いくつかの手続きを踏めば強制的に刀剣を回収できるようになったんです』

『なるほど』

『タイミングにつきましては、昨年の東京五輪中止から、特に我が帝国は諸外国との緊張状態が高まっています。そこでこれまであまり実行力の無かった特殊刀剣の徴発を通して、軍備の拡張を図ろうという思惑があると思われます。なにせ特殊刀剣、いわゆる妖刀を軍備に組み込むということを行っているのは我が帝国だけですから。この動きで、多少なりとも諸外国に対し軍事上の圧力を掛けられるのではないかと思われます』

「まーたやってる。ねえ、鉄華てっか

 わたしの前にいたクラスメイト――周子しゅうこちゃんが話しかけてくる。

「男子って好きだよね。妖刀」

「うん。そうだよね」

「うちの弟も毎日うるさくって敵わないよ。今日の番組には妖刀剣士の何とかって人が出るから絶対見るんだーって」

「あはは」

 チャンネル争いか。ほほえましい光景だ。

「将来は妖刀剣士になるって言って聞かないし、そのために剣道だって始めたんだからね? 入れ込みようったらないよ」

「でも、夢があっていいんじゃない?」

「そりゃあねえ」

 周子は溜息を吐く。

「でも妖刀剣士って、要するに軍人でしょ? うちの両親ったら過保護だから心配しちゃって。別になれる算段もあるわけじゃないのにさ」

「妖刀なんかが軍事力になるのかな?」

 ついそんなことを口走ってしまう。男子たちがこっちを見た。

「なるに決まってるだろ!」

 男子たちの中で、スマホを持っていて特にニュースに食いついていたらしい眼鏡が答えてくれる。周子は呆れてぼやく。

あきらの言うことは信用できないんだよね」

 その眼鏡は昭くんと言った。クラスでも妖刀に詳しい妖刀博士なのだった。

「そりゃ、中には本当に妖刀かってくらいしょぼい刀もあるけどさ。本物はすごいんだぜ?妖刀と、それを扱える剣士が揃えば一個師団並みの戦力になるって試算もあるくらいで!」

「一個師団ってどれくらい?」

 よく分からない単位だけど、昭くんの言い分からしてたぶん相当なんだろうと思った。

『では次に魚住さんにお聞きしますが……』

「おい、始まったぞ」

「もっと音量上げろよ」

 もう一人のゲストに話が及ぶと、男子たちの注意はそちらに移る。スマホの音量がさらに上がって、わたしと周子ちゃんもそのニュースを聞きとれた。

『今現在、特殊刀剣はどれほど回収されているのでしょうか』

『試算によると、だな』

 今までに聞いたことのない重々しい口調が聞こえた。

『現在、我々が確認できている全刀剣のうち、およそ三割が回収できていると言われている』

『そ、それだけですか?』

『ああ。しかもそれはあくまで、我々が確認を取れている刀剣だけだ。帝国内にはいまだに、我々の目の届かぬところに特殊刀剣が転がっている事例が山とある。実家の蔵を整理したら刀剣が出てきたという話には枚挙にいとまがない。今回の法令は、ともかく我々が確認できている刀剣だけでもきちんと回収するために重要なものである』

「いやあ、やっぱかっこいいよなあ、剣聖って。こう、一言一言にも重みがあってさ」

 などと昭くんはうそぶいた。

「そんなに好きなら妖刀剣士目指したら?」

 周子ちゃんがからかうように言った。でもそれは藪蛇だったらしい。

「目指してるよ!」

 男子たちが同時に叫ぶ。

「だから花菱高校受験するんだろ。今ニュース見てるのだって、さぼってるんじゃなくて勉強なんだからな。妖刀の時事にまったく疎いと話にならないんだから!」

「はいはい」

 適当に周子ちゃんが流した。

 ふと、わたしは教室の扉を見た。

 気配がする。

「周子ちゃん」

「あ、先生来る?」

「うん」

「はいはい。男子どももスマホ仕舞いな」

「へーい」

 昭くんたちは意外に大人しく、スマホを片付けて自分の席に戻った。

 同時に、扉が開いて担任の教師が入って来る。そっけないジャージにブルゾンを着た体育教師だ。厚着をしていてもお腹が出ているのがはっきりわかる。口の悪い周子ちゃんあたりは「動ける豚」と揶揄していた。

「ひゅー。セーフセーフ」

 昭くんが呟く。

「本当、夜光珠やこうじゅのその気配察するスキルびっくりするわ。どうやってんだ?」

「どうやってるって言われても」

 何となく分かるとしか。

「お前らちゃんと勉強してたか? 入試が近いんだからな」

 担任がそう言いながら、教室中を見渡した。わたしと昭くんもお喋りを止めて、一応正面を向いた。

「特に男子ども、花菱に行きたいなら頑張れよ。あそこは倍率高いんだからな」

「へーい」

 男子たちはふざけ半分に返事する。その返事にはおざなりに答えて、担任は黒板の上にかかっている時計を見た。

「あと半分で終わりか。よし、お前ら、先生は職員会議があるからこの時間が終わっても戻ってこれない。帰りのHRは行わないから、自習の時間が終わったら各自帰れよ」

 クラスメイト達はまばらに返事をした。言うだけ言ってそれで伝達事項は終わりなのか、担任は教室を出ようとする。

 ただ、教室の扉に近づいたところで。

「夜光珠」

 とわたしの名前を呼んだ。

「はい?」

「ちょっと来い」

「え?」

「鉄華、あんたなんかやったの?」

「やってない、やってないっ」

 周子に茶化されて、思わず首を横に振る。担任が溜息を吐いた。

「別に説教じゃねえから早く来い。ちょっとした用事だ」

「は、はい……」

 言われるがままに席を立って、担任について教室を出た。

 廊下は北向きに窓があることもあって薄暗かった。窓の外から見える空に一面に重たい雲がかかっていて、太陽の光がまるで届いていないのもきっと原因だろうけど。

 この分だと帰るころには雨かもしれない。いや、ひょっとしたら雪かも。

「それで、用って……」

「ああ、ちょっと、応接室までな」

 歩き始めた担任に合わせて、わたしも歩く。

「お前に会いたいって客がいる」

「お客さん、ですか?」

「そうだ。しかも花菱高校からだぞ」

「花菱って……」

 さっき、男子たちが話に出していた。

「なーんで花菱の人がお前に会いたいかは知らないがな。進学の件で相談があるんだとさ」

「進学……」

 胸がドキリとした。

「とにかく会っておけ、失礼のないようにな」

 応接室にはすぐについてしまう。部屋の中まではついてきてくれないのか、担任は部屋の前でわたしが入るのをただ待った。

「し、失礼します」

 意を決して、扉を開いた。

 そもそも応接室なんて、中学に三年間通っていて入るのも初めてかもしれない。そんな部屋があるのも、きちんとは知らなかったくらいだ。

 応接室は殺風景な、わたしたちが普段授業を受けている教室を半分くらいにした広さの部屋だった。観葉植物をおいてそれらしさを演出しているけれど、それだけだ。基本的には部屋の中央にローテーブルと、それを挟むようにソファが置かれているだけの部屋だった。

 ソファには、既に人が一人腰掛けている。皺の無いスーツをきちっと着てネクタイも喉元まで締めた、神経質そうな男性だった。眼鏡をかけていて、髪は乱れないようワックスできっちりと固めているらしかった。ソファの脇には、ビジネスバッグが置かれている。

 一見して普通のサラリーマンのようだけど、あまりにかちっとしすぎていて少しうさんくさいくらいだった。

「やあ、あなたが夜光珠鉄華さんですね」

 わたしが入ると、スーツの男性は立ち上がった。

「私は花菱高校の事務員をしております小野と申します。本日はお忙しい中押し掛けて申し訳ありません」

 小野さん――と言った人は中学生のわたしにも慇懃だった。

「えっと、はあ」

 後ろを振り返る。扉は閉め切られて、やっぱり担任はついてくる気がないらしかった。部屋にはわたしと小野さんの二人しかいない。

 ともかく、そのまま立ちっぱなしではどうしようもないので、ソファに腰掛ける。小野さんも腰掛けた。

「あらためまして、こちらを」

「あ、どうも」

 名刺を差し出されて、受け取る。といっても、内容に自己紹介以上の情報はない。花菱高校の事務員らしいというのが裏書きされただけだった。名刺には花菱高校の校章らしい、菱形に花を描いて、何故か湾曲した角のようなものが突き出した紋章が描かれていた。

「それで、どんなご用件で……」

「はい。しかし込み入った話ですので、どこから話したものか悩みまして……」

 小野さんは頭を掻いた。

「まず夜光珠さんは、花菱高校をご存知でしょうか?」

「一応、あの、はい」

 男子が話していたし、有名ではあるから。

「妖刀剣士を育てるための高校、でしたよね。ただ、ぼんやりとしか知らなくて」

「よろしい。では念を入れて、一からご説明しましょう」

 小野さんは居住まいを正した。

「まず、この大日本帝国には全国津々浦々、多くの特殊刀剣、いわゆる妖刀です、これが存在するといわれています」

「はい、それは知ってます。学校の授業でも習いますし……。そう言えば最近、妖刀刀狩り令なんて法令もできたと」

「特殊刀剣徴発令のことですね。正確には貴族院を通過しただけですが、ほどなく法整備されるでしょう。はい、かようにして帝国政府は全国にある妖刀を回収し、管理しようとしています。これは全世界でも帝国だけの独自の試みですね」

「はあ…………」

「帝国政府が妖刀の回収を行っている理由は主に二点ありまして、一つは安全性の問題です。特殊な力や性質を持った刀を野放しにするのはそれだけで危険ですから、これは当然でしょう。第二は軍事力増強の観点からですね。妖刀は諸外国はあまり重要視しませんが、そのため、逆を言えば軍縮の対象にもならない。この点を活かし、妖刀を軍事力に編纂しようという試みです。妖刀剣士はこの点に関わってきますね」

「でも軍事力って、そんな大層な」

「ええ。確かにそうお思いでしょう。ですが世界は今、未曽有のテロ危機にあえいでいます。戦争と言えばミサイルや無人機の時代と言われていましたが、今は前線もない、宣戦布告もない、ある意味では歴史上もっとも個人規模なものになったと言ってもいいでしょう」

「じゃあ、軍事力って……」

「はい。軍事力と言ってしまうとミサイルや戦車のようなものを思い浮かべてしまいますが、妖刀剣士に求められる軍事力はテロ対策としての戦士なんですね。また同時に、妖刀を安全に管理する上でも、一振りにつき一人、専門の剣士がついていた方が何かと都合がいい。そのため、妖刀剣士という職業が生まれたのです。そして我々花菱高校は、未来の妖刀剣士となる子どもたちを育てることを主眼において設立されたのです」

 事情は呑み込めた。でも……。

「そんな花菱高校さんが、なんでわたしに……?」

「ここからは少し、恥ずかしい話なのですが……」

 小野さんは眼鏡を押し上げた。

「花菱高校は九年前に設立されました。来年度で十周年ですね。しかし設立時、多額の助成金を政府から得ていたことで、あることないこと叩かれまして、一時期、花菱高校のイメージは最低と言ってもいいところまで落ち込んだんです」

「そ、そうだったんですか?」

「昔の話です。夜光珠さんもまだ小学生でしょうから、ご存じなくても無理はない。それから花菱高校はイメージアップ戦略に苦心しました。幸い、妖刀剣士という職業自体はすぐに人気職となりましたから、翻ってその剣士を育成する高校である我々も受験者に困らないようになりました。しかし昔とは言っても、イメージが悪かったのはたった十年にも満たない、最近とも言える話です。油断はできない」

 そこで、と小野さんは意気込む。

「もうひとつのイメージアップ戦略として、花菱高校では学費免除制度を導入しています」

「学費……免除?」

「もちろん、条件はあります。学費を免除するからには、花菱高校に通常の手段で入学する生徒より、妖刀剣士として大成する可能性の高いことが示されなければなりません。それを確認するための選抜入試が行われます」

 そして、衝撃的なことを言われた。

「私は今回、その選抜入試にあなたをご招待しようと考えているんですよ、夜光珠鉄華さん」

「……………………え?」

 小野さんの言葉は、あまりに衝撃的ですぐには呑み込めなかった。

 選抜入試に、わたしが。

 花菱高校の?

 それはつまり……。

「わたしに、妖刀剣士になれってことですか……?」

 そういうことだろう。今までの話からして、そういうことを言っているに違いない。

「無理です無理です」

 思わず首を横に振っていた。

「だってわたし、妖刀剣士に自分がなるなんて考えたこともありません。それにわたし万年図書委員の運動音痴のインドアで、剣なんて真剣はもちろん竹刀だって握ったことがなくて、それに…………」

「まあまあ落ち着いて」

 わたしの言葉を小野さんが制した。

「悪い話じゃないでしょう?」

「悪すぎですよ!」

「しかし…………だとしたら、あなたは進学しますか?」

「あ………………」

 小野さんの言葉で、我に返る。

「失礼ながら、既にいろいろ調べさせてもらいましたよ。夜光珠さん。半年前、あなたのご両親は強盗に遭って亡くなっていますね。そのご両親が残した遺産はほんのわずかで、奨学金を借りても、進学はかなり苦しいと」

「…………はい」

「だからこそ、今回私はあなたにこのお話を持ってきたんです。あなたの他のクラスメイトではなく、あなた自身に」

「でも……。学費免除の代わりに妖刀剣士になるって……それって陸軍とやってることが変わらないというか」

 陸軍の防衛学校も、ほとんど無料に近い学費で入学できる。ただし当然、卒業した後は陸軍に入隊することが前提となるコースだ。もし仮に途中でドロップアウトしたり、陸軍以外の道を進めばそれまでにかかった費用を請求されることになる。

「その点でしたらご心配なく」

 と、小野さんは胸を張る。

「花菱高校では、最終的に学費免除を受けた生徒が妖刀剣士にならずとも問題はありません」

「ほ、本当ですか?」

「ええ。いわゆる先行投資の類と我々は考えていますからね、陸軍のようにケチなことは言いません。それにさきほども言ったように、イメージ戦略の一環でもありますし。なにより生徒の未来を狭めるようなことを学校がするわけにはいきませんから」

 じゃあ、わたしは学校に通える?

 妖刀剣士にならなくても?

「はい。ただ、試験はかなり高倍率です。ですが、だからこそまず試験だけでも受けてみてはいかがでしょうか。せっかくのチャンスを棒に振るのはもったいないでしょう?」

 そこまで言われて、ぐらつく。

 試験だけなら。

 そうだ。別に試験だけなら受けてもいい。どうせ高倍率。受からないかもしれない。でももし受かったら?

 その時のことは、その時考えればいいのだから。

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