華の剣のお姫様

雪月華@33331111

夢心地

辺り一面白色の景色。何も見えないけど、なんだか、とても暖かい。頭から首、腰から足先が何かに支えられていて、とても心地よい感じだ。うっすらと目を開けると、ピンクブロンドの髪の毛が見えて、鈴のような声でなにかを言っている。ただそれはまだ私には理解できない。


そんな、不思議な夢の中、白い空間の中に光るところがある。懸命に手を伸ばすと、それは段々と形を顕にして手の中に納まった。白いレイピア。鍔の辺りから真っ白い百合が咲いていて、それは刀身も包むように丁寧に咲いていた。鞘は近くにあった。手を伸ばせば近づいてきて、段々とまた模様がわかるようになった。薔薇。白薔薇が丁寧に施された鞘。素人目にもその上質さがよく分かるほどだ。そして鞘のある所に


【 Lily white rose】


リリー・ホワイトローズ。百合と白薔薇。気高く美しい2つの花の名を何故か人の名だとわかった。

私の名だ。誰に言われるまでもなく理解した。リリー・ホワイトローズ。それが私の名。


そう確信した途端、意識は現実世界へ覚醒した。


「リリー、起きたのね。」


夢でも見たピンクブロンド。きっとこの人が私のお母様。


「あ、おか、さーま」

変なところを伸ばしてしまった。お母様と同じピンクブロンド。そして角度によりエメラルドグリーンにもスカイブルーにもなる瞳。私は貴族、ホワイトローズ家の長女にして嫡子、リリー・ホワイトローズ公爵令嬢だ。

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